この記事では「言い淀む」について解説する。

端的に言えば言い淀むの意味は「話の途中で口ごもる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「言い淀む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「言い淀む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「言い淀む」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「言い淀む」の意味は?

「言い淀む」には、次のような意味があります。

すらすらと言葉が続いて出ないで口ごもる。言いかけてためらう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「言い淀む」

「言い淀む」は、言葉がすらすらと出ずにつっかえたり、言うのをためらったりすることです。「新人が実況すると肝心なところで言い淀むので、感動がそがれてしまって残念だ」という文章では、単純に、言葉がすらすら続かずにつっかえることを指しています。

「彼が事件に巻き込まれたと分かっていたなら、あのとき彼女が彼の居場所について言い淀んでいたのもうなづける」の場合は、「言いづらいことをためらって言わない」という意味です。

どちらの意味であるか、厳密に読み取る必要はないでしょう。「話の途中で口ごもる」ニュアンスが分かれば、文脈は理解できるはずです。

「言い淀む」の語源は?

次に「言い淀む」の語源を確認しておきましょう。「言い淀む」は、「言う」と「淀む」がくっついてできた言葉です。

「言う」は説明におよびませんね。言葉を口から出すことです。「淀む」は「流れが止まっている」という意味のほか、「動作が順調に進まない」という意味があります。「淀む」については、下に辞書からの引用を載せたので確認して下さい。合わせると「言葉を口から出す動作が順調に進まない」となりますね。それが「言い淀む」の基本的な意味合いです。

ちなみに「よどむ」は「淀む」とも「澱む」とも書きますが、「言いよどむ」は「言い淀む」と書くのが一般的。注意してください。

\次のページで「「言い淀む」の使い方・例文」を解説!/

1.水や空気などが流れずにとまって動かない。
2.底に沈んでたまる。また、どんより濁る。
3.動作などが順調に進まない。滞って動かない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「淀む/澱む」

「言い淀む」の使い方・例文

「言い淀む」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女の話し方は自信にあふれていて、言い淀むということが全くなかった。言葉遣いも丁寧で、周りに与える印象も問題ない。聞き手に回れば、完璧なタイミングであいづちを入れ、絶妙なフォローとサービス精神で相手の話を引き出す。我々の研究所が、まさに必要としていた人材だ。
2.日本の名だたる国立病院で循環器系の権威といわれる人間が、病状について言い淀むなんてらしくないじゃないか。治療が難しいならそう言えば良い、はっきり言ってくれ。そう僕が言うと、彼は説明を始めた。脳卒中、脳梗塞、血管、血液、血栓、心房細動、可能性…こういった病気について、僕が知っているすべての言葉が総動員したようだった。
3.キャラクターをイメージしたメイクをほどこしたお姉さんに、イベント特典の限定特別プレゼントはいかがだったかにゃ?と聞かれて、無粋かもしれないが言い淀んでしまった。かわいらしいしぐさのお姉さんには申し訳ないが、中身はあまりにもショボすぎたのだ…。

例文1の「言い淀む」は、「言葉がすらすら続かずにつっかえる」という意味です。「言い淀むということが全くなかった」とは、言葉がすらすらと続いて出てきたということですね。

例文2と3では、「言うのをためらう」という意味で「言い淀む」を使っています。例文2は、患者に重い病状を伝えるのをためらって「言い淀む」。例文3では、プレゼントの中身があまりうれしくなかったとは伝えづらく、「言い淀んで」います。

「言い淀む」の類義語は?違いは?

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「言い淀む」の類義語には「言葉に詰まる」「返答に窮する」があります。

\次のページで「その1「言葉に詰まる」」を解説!/

その1「言葉に詰まる」

「言葉に詰まる」とは、ちょうどよい表現が見つからずに、話が止まってしまうこと。「言葉がすらすらと出ずにつっかえる」という意味の「言い淀む」の類義語です。

「彼女と話そうとすると委縮して思考がフリーズしてしまい、言葉に詰まってしまうのが常だ」のように使います。「言葉を詰まらせる」とも使いますね。

その2「返答に窮する」

「返答に窮する」とは、質問に対してうまい答えが見つからずに苦しむことです。「言うのをためらう」という意味の「言い淀む」と似たニュアンスを持つ言葉といえます。

「言い淀む」「返答に窮する」のどちらを使っても表現できるのは、本当は答えを知っていながら、それをズバリ言うわけにいかず困るシーンなど。芸能レポーターに「○○さんと破局したのは本当ですか?」と突撃された人は、「言い淀む」「返答に窮する」のどちらの様子も当てはまることでしょう。

「言い淀む」の対義語は?

「言い淀む」の対義語は「言い切る」です。

「言い切る」

「言い切る」は、きっぱりと断言することです。「言い淀む」は話の途中で口ごもることですから、まさに対義語といえますね。

「『間違いない』と言い切る」という姿と「『間違いない、と言えるかなあ…どうだろう…』と言い淀む」姿。全く反対の姿をあらわしています。

「言い淀む」の英訳は?

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「言い淀む」の英訳は「hesitate to say」であらわすことができます。

「hesitate to say」

「hesitate」は「行動をためらう」「気が進まない」という意味です。「say」は「言う」。「hesitate to say」は「言うのをためらう」という意味になり、「言い淀む」をあらわす英訳としてピッタリです。

「hesitate to say」の使い方にはバリエーションがあります。例で紹介しましょう。

\次のページで「「言い淀む」を使いこなそう」を解説!/

I hesitated to say clearly.
(私ははっきりとは言えず、言い淀んだ。)

He hesitated and did not say about it clearly.
(彼はためらい、それについてはっきりとは言わなかった。= 言い淀んだ。)

「言い淀む」を使いこなそう

この記事では「言い淀む」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「言い淀む」は、単純に「言葉がすらすらと出ずにつっかえる」という意味と、「言うのをためらう」という意味があります。厳密に区別して使う必要はなく、文脈で読み取れれば問題ありません。「話の途中で口ごもる」というニュアンスを覚えましょう。

「言い淀む」こととは無縁の話し上手の人、というのがときどきいますね。意志がはっきりしていて、頭の回転も口の回転も速いような人。生まれつき「言い淀む」こととは無縁だったのでしょうか。意外とそんな人ほど、言い淀まないための訓練をした期間があったりするかもしれません。

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国語言葉の意味

「言い淀む」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「言い淀む」について解説する。

端的に言えば言い淀むの意味は「話の途中で口ごもる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「言い淀む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「言い淀む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「言い淀む」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「言い淀む」の意味は?

「言い淀む」には、次のような意味があります。

すらすらと言葉が続いて出ないで口ごもる。言いかけてためらう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「言い淀む」

「言い淀む」は、言葉がすらすらと出ずにつっかえたり、言うのをためらったりすることです。「新人が実況すると肝心なところで言い淀むので、感動がそがれてしまって残念だ」という文章では、単純に、言葉がすらすら続かずにつっかえることを指しています。

「彼が事件に巻き込まれたと分かっていたなら、あのとき彼女が彼の居場所について言い淀んでいたのもうなづける」の場合は、「言いづらいことをためらって言わない」という意味です。

どちらの意味であるか、厳密に読み取る必要はないでしょう。「話の途中で口ごもる」ニュアンスが分かれば、文脈は理解できるはずです。

「言い淀む」の語源は?

次に「言い淀む」の語源を確認しておきましょう。「言い淀む」は、「言う」と「淀む」がくっついてできた言葉です。

「言う」は説明におよびませんね。言葉を口から出すことです。「淀む」は「流れが止まっている」という意味のほか、「動作が順調に進まない」という意味があります。「淀む」については、下に辞書からの引用を載せたので確認して下さい。合わせると「言葉を口から出す動作が順調に進まない」となりますね。それが「言い淀む」の基本的な意味合いです。

ちなみに「よどむ」は「淀む」とも「澱む」とも書きますが、「言いよどむ」は「言い淀む」と書くのが一般的。注意してください。

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