

端的に言えば用を足すの意味は「用事を済ませる、排泄する」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「用を足す」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/ヤザワナオコ
コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。
トイレに行くことを「用を足す」と表すなど、恥ずかしい(とされる)ことの婉曲な表現法は奥深く感心するとのこと。用を足すとはどんなときに使う言葉なのか、解説してもらう。
「用を足す」の意味は?
「用を足す」には、次のような意味があります。
1.用事を済ます
2.大小便を済ます
出典:デジタル大辞泉(小学館)
何かやらなければならない用事があって、それを済ませることを「用を足す」といいます。また、「トイレで排泄(はいせつ)する」ことを表すこともあり、どちらの意味で使われているかは状況や文脈から解釈しなくてはなりません。
排泄の意味で「用を足す」というのは、若い人はあまり使わない表現でしょうか。ですが、格式ばった場などで「トイレに行ってきます」と直接的に言うのははばかられる場合、「用を足してきます」がすっと出てくると雰囲気を乱さず、相手に失礼にもならずにすみますよ。
「用を足す」の語源は?
次に「用を足す」の語源を確認しておきましょう。2つの意味合いどちらについても、「用事や大小便をなくす行為なのに、なぜ『足す』を使うのか」という疑問が浮かびませんか。
この「足す」は、「増やす」の意味ではなく、「十分にする」の意味で使われています。処理すべき用があったり、尿意や便意があったりという「不足がある状態をそうでなくすること」を「足す」と表すのですね。
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