

今回は原作漫画「ドラゴン桜2」11巻より18ページを無料で公開。日曜劇場「ドラゴン桜2」3話でも披露した俺の伝説のスピーチ「馬車馬になりたくなければ、東大に行け!」をとりあげる。元国語科教員ライターminの解説と共に、俺からのメッセージをしっかり受け取ってくれ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/min
高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。
まずは「ドラゴン桜・桜木伝説のスピーチ」をチェック!
早速以下の漫画を読んでみてください。生徒たちに対し「なぜ勉強するのか」「なぜ東大へ行くべきなのか」を桜木が熱く語る、ドラゴン桜の名シーンといっても過言ではない場面です。このシーンで登場する桜木のスピーチは、日曜劇場「ドラゴン桜2」の第3話でも、東大専科をバカにする生徒たちに向けて披露されていました。
「東大へ行け!」と生徒たちに訴え続ける桜木の真の思いとは一体何なのでしょうか。桜木の思い、そこからわかる「ドラゴン桜」からのメッセージを一緒に読み解いていきましょう。


















勉強する真の目的は「自分で生きるため」
ぼんやり生きていると「馬車馬」として搾取され続けることになる…社会人として生きる筆者にとっても衝撃的な発言でした。
「今の日本は平等だ・自由だ」そう言われると、納得できないという気持ちが湧き上がってくる人も多いでしょう。そんな世の中に私たちが一石を投じるためにはどうすればいいのか。それはただ文句を垂れることではなく、「自ら正当な権利を主張する」ということです。そしてそれには「権利を知り、権利を使うこと」が必要になります。
桜木はこれを「自分で生きること」と言い換えていました。深く考えず国や社会に身を委ねて生きることは「自分で生きること」ではなく、「馬車馬として生きている」のと同じ。「本当にそれでいいのか?」「自分で生きるために勉強しろ」桜木はそのように私たちに訴えかけているのです。
「勉強して東大へ行け!」桜木からのメッセージ
「勉強して制度を変える立場になる」なんて、筆者も大学受験のときに想像だにしなかった考え方です。桜木からのメッセージは衝撃的ですが、「日本の未来はお前らにかかっているんだ!」というメッセージになっており、身の引き締まる思いがしますね。
では、ここからは「馬車馬になりたくなければ勉強して東大に行け!」そんな桜木の主張を3つのポイントに分け、さらに詳しく解説していきます。
その1:ぼんやり生きるのは「馬車馬」になるのと同じ
馬車を引く馬は、ただ黙々と主の指示に従って走り続けます。桜木にとって見れば、国民は国にとってこの「馬車馬」にすぎないと言うのです。
国を動かす原動力は国民に他なりません。教育、労働、納税、全て国が作ったルールに基づいて私たちは生きています。まず私たちが理解しておく必要があるのは、このルールは決して完璧ではないということです。細かく目を向ければ、実情との齟齬や必要以上の制限や搾取を余儀なくされているルールも多く存在しているでしょう。
もちろん、そこに気が付くだけで物事が改善することはないですし「変えたい」と思って行動に移す人も少ないでしょう。桜木はそうしてぼんやりと生きてしまうことは「馬車馬」と同じだと主張しています。
その2:権利を知り、権利を使え
「でも自分で世の中を変えるなんて…」そう思う人の背中を押すのが桜木の「権利を知り、権利を使え」という言葉です。
ルールの前提として、私たちには豊かな生活を送るための権利が与えられています。ではその権利が具体的にどんなものか、説明できる人は少ないでしょう。しかし、それができない限り私たちは正当に権利を主張できないどころか、それに基づいて正しくルールを改善していくこともできないのです。また、「権利や自由を与えられている」というつもりでも、実は私たちがそれらを理解し「行使しよう」としない限り、その恩恵を十分に受けられてない可能性もあります。
そんな状況を打開する第一歩が「勉強すること」、そして物事の本質を見抜く力を身につけることだと桜木は主張しているのです。
その3:優秀な仲間と世の中を変えろ
しかし、一人で世の中を変えることは現実的に難しい。そこで、同じ志を持った仲間と出会うために「東大へ行け」と桜木は強く訴えます。もちろん、これは東大でなければならないわけではありません。受験勉強というハードルを乗り越えて入学した大学では、同じ苦労を乗り越えた仲間に多く出会うことができます。
筆者は教育大学出身ですが、大学では教師になるという夢に向かって不断の努力を重ねている人はもちろん、「教育制度を根本から変えたい」「教師の労働環境を改善したい」など、国が決めた制度に真っ向から立ち向かおうと励んでいる人もいました。そんな人たちから多くの刺激を受けられたことは、筆者にとって大きな財産です。
「世の中を変えてやる」そこまでの志を持てなくとも、勉強するだけで自分の世界は大きく広がりますし、そして行きたい大学へ行って仲間と出会うことで、さらに自分の価値観は広くなります。大学受験がもたらしてくれるものは、実はとても重要なものばかりなのです。
勉強は「世界を変える」第一歩
勉強はどうしてもノルマのように感じたり、強制的にやらさせるものだと縛られてしまったりして、ネガティブに捉えられがちな面もあります。勉強が全てではないという主張も、間違いとはいいがたい部分もあるかもしれません。
しかし、勉強は多くのことを与えてくれることも事実です。勉強を通して「幅広い知識」「本質を見抜く思考」を身につければ、「世界を変える」ことにも繋がります。大袈裟なことと思うかもしれませんが、今の世の中を形作ってきた先人たちは皆、勉強によって世界を広げてきたといっても過言ではありません。
これからの世の中を動かしていくのは、今の子どもたち、学生、青年たちです。変わらない世の中を憂いながらも「自分には関係ない」と生きるのではなく、真っ向から向き合って生きていってほしい。桜木、そしてドラゴン桜という作品のメッセージはそんなところにあるのではないでしょうか。
元国語科教員の筆者の感想
この桜木の主張を目にしたとき、筆者が高校3年生に現代文を教えていたときに出会った、とある教材のことを思い出しました。
「自由や権利は行使されて初めて得られるもの」であり、当然与えられていると思っている「権利」「自由」そして「民主主義」というものも、行使するための努力を怠れば意味がないという趣旨で、初めて読んだときに衝撃を受けたのを覚えています。まさに桜木の言う「権利を知り、権利を使え」の話に共通するものがあり、そのために必要なのが「勉強」だという桜木の教育に対する熱い思いをひしひし感じました。
勉強はなんとなく周りに流され、目標がはっきりしていないと非常に苦しいものです。しかし、勉強がもたらすもの、その先で自分が得られるもの何かがわかっていると、挑む姿勢も変わりますよね。勉強に悩んでいる人、そして今まさに頑張っている人、また、これを読んでモチベーションが上がった人。そんな前向きなビジョンを思い描き、目標に向かって突き進んでほしいと思います。
ドラゴン桜・桜木が教えてくれること
ドラゴン桜・伝説のスピーチ「馬車馬になりたくなければ、東大に行け!」について、理解を深めていただけたでしょうか。これから受験を迎える方はもちろん、受験を終えた社会人の方にとっても非常に突き刺さるスピーチだったと思います。勉強し始めるのに、遅すぎるなんてことはありません。今の世の中のことを知ろう、向き合おうとするだけでも、見える世界は変わってきます。その第一歩として「勉強」という手段を選んでみるのはいかがでしょうか。