この記事では「突っぱねる」について解説する。

端的に言えば突っぱねるの意味は「突き飛ばす」「拒否する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「突っぱねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「突っぱねる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「突っぱねる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「突っぱねる」の意味は?

「突っぱねる」には、次のような意味があります。

つっ‐ぱ・ねる【突っ×撥ねる】
[動ナ下一][文]つっぱ・ぬ[ナ下二]
1 突き飛ばす。
2 要求や願いなどを手厳しく断る。拒否する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「突っぱねる」

突っぱねる」には2つの意味があります。1つ目は体を使った行動である「突き飛ばす」、2つ目は「厳しく断る」「拒否する」という意味です。

特によく使われるのは2つ目の意味で、ポイントは単に「断る」のではなく、「手厳しく」と定義されている点にあります。どの辞書にも「断る」の前に「手厳しく」「厳しく」との記載がある通り、きっぱり断るというニュアンスです。1つ目の意味をヒントに「突き飛ばす勢いで断る」というイメージを持っておくといいでしょう。

「突っぱねる」の語源は?

次に「突っぱねる」の語源を確認しておきましょう。ここでは「突っ撥ねる」と漢字変換して、それぞれの漢字の意味から分析していきます。

まず「」は、元々「穴」から「犬」がいきなり飛び出してくる様子から「つきでる」という意味でできた漢字です。今では「衝突」のように「ぶつかる」という意味も持っています。そして「」ですが、こちらは「ハツ」と読み、現代表記では「発」と置き換えられることもある漢字です。「反撥(発)」などから考えると「はねかえる」「はじく」のイメージができるかと思います。

そうして「ぶつかる」ほどの勢いで「はねかえす」という2語の組み合わせによって「突き飛ばす」という意味が作られ、そこから派生して「拒否する」の意味でも使われるようになった表現です。

\次のページで「「突っぱねる」の使い方・例文」を解説!/

「突っぱねる」の使い方・例文

「突っぱねる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女は突然彼を突っぱね、走り去っていった。
2.みんなの意見を簡単に突っぱねるようなリーダーは嫌だ。
3.自分の要望ばかり押し付けるような依頼は突っぱねざるを得ない。

1の例文は「突き飛ばす」の意味で使われています。こちらは動作を意味していますが、「拒絶しているのだろうな」という印象を強く受けますよね。

一般的には2、3のような「拒否する」の意味で使われることが多いです。こちらの場合は先述したとおり、「手厳しく」というニュアンスになりますので、「やんわり優しく断る」といいたい場合は不適切になります。この2通りの使い方をしっかりと理解しておきましょう。

「突っぱねる」の類義語は?違いは?

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次に、「突っぱねる」の類義語や関係する言葉についてみていきましょう。

その1「断る」

ここまで「突っぱねる」の説明で何度も登場した言葉です。「依頼や要求などの働きかけに従わない意志を示す」という意味で「突っぱねる」と共通した意味になっています。

ここまでの記事を読んでくれた方は「突っぱねる」との細かい違いが既にピンとくるかと思いますが、「断る」は抽象的な表現、「突っぱねる」は「断る」の中でも「手厳しく」というニュアンスを含んだ具体的な表現です。また、「断る」は多義語で、「あくまで個人の意見であることを断っておくよ」というように、「前もって事情や理由を説明する」の意味も持っているので、こちらも合わせて覚えておいてくださいね。

\次のページで「その2「退ける」」を解説!/

その2「退ける」

しりぞける」と読みます。こちらも「突っぱねる」「断る」と同じく、「依頼や要求に従わない意志を示す」という意味を持った言葉です。

違いとしては、「退ける」も「拒否」以外の意味を持っている点にあります。具体的には「後へさがらせる」「追い返す」「撃退する」のような「後退」の意味、その他にも「採用しない」「地位をおとす」「解雇する」といった意味も持っている表現です。さまざまな場面で幅広く使われる表現になりますので、理解しておきましょう。

その3「否む」

読み方は「いなむ」で、「承知しない」「拒否する」「否定する」という意味になります。文脈によっては「拒絶する」「厳しく断る」の「突っぱねる」と似た意味と判断できる場合もあるでしょう。そのままの形よりも「否めない」という形で「否定できない」の意で使われることが多いです。また、基本的には文章などで用いられる硬めの表現であるとされています。

「突っぱねる」の対義語は?

「突き飛ばす」「厳しく断る」という意味ですので、どちらにも完全に該当する対義語を定義することは難しいでしょう。しかし後者の「厳しく断る」だけに着目すれば対義語が見えてきます。

突っぱねるの対義語「受け入れる」

後者の「拒否する」の意味に絞って考えると「受け入れる」という対義語を挙げることができます。文字通り、依頼や要求を断るのではなく、承諾・受諾するという意味ですね。

「断る」と同様に「受け入れる」も抽象的な表現で、派生する類義語が多く存在する言葉です。時間がある方は、辞書などでこちらもぜひ調べてみてくださいね。

「突っぱねる」の英訳は?

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最後に、「突っぱねる」の英語表現について考えていきましょう。

突っぱねるは英語で「turn down」

「突っぱねる」には2つの意味があるため、どちらの意味になっているかに応じて英訳を分ける必要があります。

まず使われることが多い「拒否する」の場合は、言い回しが多く存在しますが「turn down」や、一単語であれば「reject」などで英訳することができるでしょう。また、「突き飛ばす」の場合は「knock down」という表現を使って訳すことが可能です。

最後に例文を用意しましたので、参考にしてみてください。

\次のページで「「突っぱねる」を使いこなそう」を解説!/

I proposed to her , but she turned me down.
彼女に結婚を申し込んだが、突っぱねられた。

He rejected my plan.
彼は私の計画を突っぱねた。

The man knocked me down and field.
男は私を突っぱねて逃げた。

「突っぱねる」を使いこなそう

この記事では「突っぱねる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

普通は「拒否する」という意味で使われることがほとんどですが、実は実際に「突き飛ばす」という意味も持っています。「突き飛ばす」の意味から派生したと考えた方が意味は覚えやすいですね。桜木先生の言う通り、関連語や似た意味の言葉が非常に多い表現は、調べると一気に視野も広がります。時間をかけてしっかり語彙力を強化したい方は、類義語や関連語をセットで調べる習慣をつけるようにしておきましょう。

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国語言葉の意味

「突っぱねる」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員ライターがわかりやすく解説!

この記事では「突っぱねる」について解説する。

端的に言えば突っぱねるの意味は「突き飛ばす」「拒否する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「突っぱねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「突っぱねる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「突っぱねる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「突っぱねる」の意味は?

「突っぱねる」には、次のような意味があります。

つっ‐ぱ・ねる【突っ×撥ねる】
[動ナ下一][文]つっぱ・ぬ[ナ下二]
1 突き飛ばす。
2 要求や願いなどを手厳しく断る。拒否する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「突っぱねる」

突っぱねる」には2つの意味があります。1つ目は体を使った行動である「突き飛ばす」、2つ目は「厳しく断る」「拒否する」という意味です。

特によく使われるのは2つ目の意味で、ポイントは単に「断る」のではなく、「手厳しく」と定義されている点にあります。どの辞書にも「断る」の前に「手厳しく」「厳しく」との記載がある通り、きっぱり断るというニュアンスです。1つ目の意味をヒントに「突き飛ばす勢いで断る」というイメージを持っておくといいでしょう。

「突っぱねる」の語源は?

次に「突っぱねる」の語源を確認しておきましょう。ここでは「突っ撥ねる」と漢字変換して、それぞれの漢字の意味から分析していきます。

まず「」は、元々「穴」から「犬」がいきなり飛び出してくる様子から「つきでる」という意味でできた漢字です。今では「衝突」のように「ぶつかる」という意味も持っています。そして「」ですが、こちらは「ハツ」と読み、現代表記では「発」と置き換えられることもある漢字です。「反撥(発)」などから考えると「はねかえる」「はじく」のイメージができるかと思います。

そうして「ぶつかる」ほどの勢いで「はねかえす」という2語の組み合わせによって「突き飛ばす」という意味が作られ、そこから派生して「拒否する」の意味でも使われるようになった表現です。

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