この記事では「猿に烏帽子」について解説する。

端的に言えば「猿に烏帽子」の意味は「人柄に対してふさわしくない行動や言動」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「猿に烏帽子」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「猿に烏帽子」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「猿に烏帽子」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「猿に烏帽子」の意味は?

「猿に烏帽子」には、次のような意味があります。辞書や辞典で正確な内容を確認しましょう。

1.人柄にふさわしくない服装や言動のたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猿に烏帽子」

動物の「猿」と和装の「烏帽子」。今回はこの珍しい言葉の組み合わせから成り立っている「猿に烏帽子」ということわざをご紹介しましょう。「猿に烏帽子」とは見かけだけで取り繕って中身がないさまや人柄にふさわしくない振る舞いや言動」の意。読み方は「さるにえぼし」です。ある人が柄にもない行動をする場面やある人がそぐわない改まった発言をするさまを示す場面で使われている表現。主に「ネガティブなニュアンス」で使用されることがポイントです。正しい意味を理解しておきましょう。

「猿に烏帽子」の語源は?

次に「猿に烏帽子」の語源を確認しておきましょう。「猿に烏帽子」の「烏帽子」とは平安時代から近代で和装の礼服を着る時に成人の男性が被る日本の伝統的な帽子。この「伝統的で格式高い烏帽子」を被っている猿の帽子姿は、外見だけは立派に見えるが猿は猿のままで中身は何も変わらないことを示しています。ここから派生して「猿に烏帽子」「人柄にふさわしくない服装や言動や外面だけ取り繕って中身が伴っていないこと」という意味を示すようになったとされていますよ。なぜ「猿」と「烏帽子」というユニークな言葉の組み合わせなのか謎が解けましたね。

\次のページで「「猿に烏帽子」の使い方・例文」を解説!/

「猿に烏帽子」の使い方・例文

「猿に烏帽子」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この用語は、たとえば以下のように用いられます。

1.いつも口の悪い彼が彼女には気障な台詞を吐いていた。猿に烏帽子とはこのことだ。
2.彼女は友人の結婚式で素敵な着物を着ていた。しかし、立ち居振る舞いが悪く、まるで猿に烏帽子だった。
3.とてもかわいいと若者に人気のモデルが映画の主役に抜擢された。しかし、猿に烏帽子だと陰口をたたかれている。

例文から「猿に烏帽子」の使い方を学びましょう。例文1は「言動」です。「いつも口が悪い彼が彼女には気障なことを言っていた場面」を示しています。彼にとってふさわしくない言動であることが伝わってきますね。例文2は「服装」です。「彼女は友人の結婚式で素敵な着物を着ていたが所作が伴っていなかった場面」を表しています。外見だけは素敵でも中身が伴っていないことが感じられますね。

例文3は「実力」です。「人気モデルが映画の主役に抜擢されたが実力が伴っていなかった状況」を言い表しています。女優としての実力が足りていなかったことを表していますよ。例文のようにマイナスなニュアンスが強いことがポイントです。ポイントをしっかりとおさえておきましょう。

「猿に烏帽子」の類義語は?違いは?

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「猿に烏帽子」の類義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。一緒に確認しましょう。

「沐猴にして冠す」

「猿に烏帽子」の類義語には「沐猴にして冠す」が考えられるでしょう。「沐猴にして冠す」とは「外見は立派でも中身が伴わないさま」の意。読み方は「もっこうにしてかんす」です。「沐猴」は「猿」の意。少し難しい漢字ですね。「史記の項羽紀」という故事から由来することわざ。中国の秦(しん)の武将であった項羽(こうう)は手柄を挙げて故郷の楚に帰り、みんなに自慢したいと考えていました。

すると、側近が「楚の人は沐猴にして冠す(=猿が冠を被ったような男)と聞いていたがまったくその通りだ」と悪口を言いました。これを聞いた項羽はこの側近を釜ゆでの刑にしたという故事です。この故事から「猿が冠を着用した姿のように外見を飾っても実力が伴っていないさま」を意味するようになったとされていますよ。とても歴史のあることわざだということが感じられますね。由来も一緒に覚えておきましょう。

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「猿に烏帽子」の対義語は?

「猿に烏帽子」の対義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。関連する言葉を確認しましょう。

「分相応」

「猿に烏帽子」の対義語には「分相応」が考えられるでしょう。「分相応」とは「その人の地位や能力にふさわしいさま」の意。読み方は「ぶんそうおう」です。「分相応」の「分」は「身分や能力、身の程」の意。「相応」とは「つり合いが取れていることやふさわしいこと」を意味しています。この2つの言葉から「地位や能力と釣り合いが取れているさまや身の丈に合った」という意味を示していますよ。「分相応な暮らし」「分相応な態度」というフレーズで使われていることが多いでしょう。どのような場面で使用されているのか観察してみて下さいね。

「猿に烏帽子」の英訳は?

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「猿に烏帽子」は英語でどのように翻訳するのでしょうか。キーワードとなる英単語を一緒にチェックしましょう。

「No fine clothes can hide the clown.」

「猿に烏帽子」は「No fine clothes can hide the clown.」と英語訳できるでしょう。「No~」は「どんな~もない」の意。「fine clothes」は「立派な・素敵な服」のことです。「hide」は「隠す」を意味する動詞。「clown」は「サーカスのピエロ」という意味で有名ですが、ここでは「田舎者・役立たず」です。直訳すると「どんな素敵な服装でも田舎者を隠すことはできない」という意味になり「猿に烏帽子」の英語訳と考えられるでしょう。「猿=the clown」、「烏帽子=fine clothes」と表現していることがポイント。文化の違いが感じられる興味深い英語訳ですね。

「猿に烏帽子」を使いこなそう

この記事では「猿に烏帽子」の意味・使い方・類語などを説明しました。大道芸で愛嬌たっぷりな猿回しを披露する猿たち。サルカニ合戦でカニに意地悪をし、カニたちに懲らしめられてしまうずる賢い猿。農作物を荒らし民家に襲来する凶暴な野生の猿たち。このように、猿は人間と同じようにいろいろな顔を持っていますね。人間との共通点が多いことが「猿」がつくことわざや慣用句が多い理由なのかもしれません。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「猿に烏帽子」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「猿に烏帽子」について解説する。

端的に言えば「猿に烏帽子」の意味は「人柄に対してふさわしくない行動や言動」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「猿に烏帽子」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「猿に烏帽子」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「猿に烏帽子」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「猿に烏帽子」の意味は?

「猿に烏帽子」には、次のような意味があります。辞書や辞典で正確な内容を確認しましょう。

1.人柄にふさわしくない服装や言動のたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猿に烏帽子」

動物の「猿」と和装の「烏帽子」。今回はこの珍しい言葉の組み合わせから成り立っている「猿に烏帽子」ということわざをご紹介しましょう。「猿に烏帽子」とは見かけだけで取り繕って中身がないさまや人柄にふさわしくない振る舞いや言動」の意。読み方は「さるにえぼし」です。ある人が柄にもない行動をする場面やある人がそぐわない改まった発言をするさまを示す場面で使われている表現。主に「ネガティブなニュアンス」で使用されることがポイントです。正しい意味を理解しておきましょう。

「猿に烏帽子」の語源は?

次に「猿に烏帽子」の語源を確認しておきましょう。「猿に烏帽子」の「烏帽子」とは平安時代から近代で和装の礼服を着る時に成人の男性が被る日本の伝統的な帽子。この「伝統的で格式高い烏帽子」を被っている猿の帽子姿は、外見だけは立派に見えるが猿は猿のままで中身は何も変わらないことを示しています。ここから派生して「猿に烏帽子」「人柄にふさわしくない服装や言動や外面だけ取り繕って中身が伴っていないこと」という意味を示すようになったとされていますよ。なぜ「猿」と「烏帽子」というユニークな言葉の組み合わせなのか謎が解けましたね。

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