この記事では「目の敵」について解説する。

端的に言えば、目の敵の意味は「憎んで敵視すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「目の敵」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「目の敵」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「目の敵」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目の敵」の意味は?

「目の敵」は、よく使われる慣用句・ことわざです。次のような意味があります。

憎んで敵視すること。また、その人。「目の敵にする」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「め-の-かたき【目の敵】」

まず、「目の敵」の敵は、てきではなく「かたき」と読みます。

意味は、相手を憎んで敵視することです。また、その相手の人を指すことも。見るたびに何かにつけて憎むこと、その憎しみを向ける先のものも「目の敵」です。

通常、「目の敵にする」という形で用いられます。

「目の敵」の語源は?

次に、「目の敵」の語源を確認しておきましょう。

目の敵は、「目」と「敵」で成立する用語。「目」は、視線や目線を意味し、一方、ここで「敵」は勝負や争いごとの相手ではなく、憎しみや恨みがある相手を意味します。

これらが組み合わさって、視線や目線の先にある憎しみや恨みがある相手、つまり、顔を見ると憎らしく思う人間となるわけです。

ちなみに、「かたき」にもう1つ「仇」という言葉があります。これは「あだ」とも読みますが、意味は、恨みがあって仕返ししたい相手であり、復讐という意味があるのも覚えておきましょう。

\次のページで「「目の敵」の使い方・例文」を解説!/

「目の敵」の使い方・例文

「目の敵」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.昨日の自分の言動や行動が不愉快だと、職場にいる男性の同僚たちに仕事で目の敵にされた。
2.他人への見方を少し変えると、周囲から目の敵とされた理由が解決するかもしれない。
3.家族は、恋人未満友人以上の女性の出現で、あなたを目の敵にしている。

それでは、それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、職場で起こりうる場面で、まわりの同僚に敵視された状況。例文2も、相手に憎まれたり恨まれたりする理由があったのでしょう。

例文3も同様で、相手が自分を「害をなすもの」だとして見ていることの意味で用いられています。

「目の敵」の類義語は?違いは?

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次に、「目の敵」の類義語(類語)を見ていきましょう。

類義語として、天敵、ライバル、親の仇、不俱戴天、大嫌いな人、怨敵、恨み対象、敵対、憎悪、修羅の妄執、恨み骨髄に徹す、心に鬼を飼う、敵愾心、などがあります。

その1「天敵」

「天敵」は、ただ単に目の敵というだけでなく、実はもっと詳しい意味がある言葉です。

ある生物を攻撃して殺すか、または、繁殖能力を低下させる他種の生物を、天敵と言います。一般的に、害虫や雑草など、有害生物の個体数を低下させる有益生物のこと。寄生性天敵、捕食性天敵、病原微生物の3つに大分されます。

「目の敵にする」と「天敵だ」というのは、やや違う意味なので注意しましょう。

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その2「不俱戴天」

「不俱戴天」は、ふぐたいてん、と読む四字熟語です。

同じ天の下には一緒にいられない、生かしておけないという意味であり、恨みや憎しみが異常ではなはだしい、つまり、最悪の間柄をさします。

この世でともに生きられないほどの深い恨みや憎しみを向ける相手という点では、目の敵よりも上です。

その3「修羅の妄執」

「修羅の妄執」は、しゅらのもうしゅう、と読みます。意味は、修羅道におちた者が、現世に対して抱く執念のこと。

修羅道は、仏教における六道の1つであり、阿修羅の住む争いや怒りが絶えない世界です。阿修羅道ともいいます。

「目の敵」の対義語は?

「目の敵」の対義語(反対語)は、はっきりとした用語はありません。

ただ、憎むべき相手、との意味なので、その逆、相手に対して好意的な気持ちを抱くことを意味する言葉としては、仲間意識、フレンドリー、好意的、親しい、和気藹々たる、親密、睦まやか、などが考えられます。

「和気藹々たる」

「和気藹々たる」について、念のため確認しておきましょう。この言葉の意味は、大勢で集まって和やかにワイワイと楽しむ様子です。

もともと、和気藹々は中国の書家である李邕(りよう)が記した『春賊』(はるのふ)で「和気藹として寓に充つ」(わきあいとしてぐうにみつ)との一文があり、これが語源。「寓」は住まい、「充つ」は満ちていることを指すと言われます。

「目の敵」の英訳は?

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さらに、「目の敵」について、英訳も見ていきましょう。

「目の敵」をそのまま英語に訳すと、sworn enemy であり、ただ単に enemy  のみのこともあります。一方、「目の敵にする」となると、always treat someone like an enemy などです。

「sworn enemy」

sworn enemy は、日本語に訳すと「目の敵」です。

sworn は、swear の過去分詞形であり、この場合、悪態をつく、ののしる、毒づくといった意味。enemy は、敵、敵対者、競争相手などです。

それでは、例文を見てみましょう。

\次のページで「「目の敵」を使いこなそう」を解説!/

・I wondered why he hated me for a long time.

彼はなぜ私を長い間ずっと目の敵にしているのだろうか。

・I don’t understand her act of regarding a person woth enmity.

私は、彼女の目の敵にする行為が理解できない。

・She always treat her ex-husband like an enermy after their divorce.

彼女は離婚後ずっと元夫を目の敵にしている。

「目の敵」を使いこなそう

この記事では「目の敵」の意味・使い方・類語などを説明しました。

目の敵の意味は、憎んで敵視することや相手、です。公私ともに、よく使われます。

わからない言葉があれば、辞書で調べる、インターネットで検索すると、その言葉をより知るヒントとなるので、習慣づけるのを心がけていきましょう。

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【慣用句】「目の敵」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「目の敵」について解説する。

端的に言えば、目の敵の意味は「憎んで敵視すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「目の敵」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「目の敵」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「目の敵」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目の敵」の意味は?

「目の敵」は、よく使われる慣用句・ことわざです。次のような意味があります。

憎んで敵視すること。また、その人。「目の敵にする」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「め-の-かたき【目の敵】」

まず、「目の敵」の敵は、てきではなく「かたき」と読みます。

意味は、相手を憎んで敵視することです。また、その相手の人を指すことも。見るたびに何かにつけて憎むこと、その憎しみを向ける先のものも「目の敵」です。

通常、「目の敵にする」という形で用いられます。

「目の敵」の語源は?

次に、「目の敵」の語源を確認しておきましょう。

目の敵は、「目」と「敵」で成立する用語。「目」は、視線や目線を意味し、一方、ここで「敵」は勝負や争いごとの相手ではなく、憎しみや恨みがある相手を意味します。

これらが組み合わさって、視線や目線の先にある憎しみや恨みがある相手、つまり、顔を見ると憎らしく思う人間となるわけです。

ちなみに、「かたき」にもう1つ「仇」という言葉があります。これは「あだ」とも読みますが、意味は、恨みがあって仕返ししたい相手であり、復讐という意味があるのも覚えておきましょう。

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