今回「見かけの等級」がテーマです。

そもそも等級は何か知っているか?簡単に言うと天体の明るさを示す単位です。昔は星の明るさを6つに分類し、最も明るい星を1等星、ギリギリ見える暗い星を6等星としていた。星の等級にはこの観測者(地球)から見たときの明るさを示した見かけの等級の他、天体を地球から10パーセク(約32.6光年)の距離にあるとしたときの明るさを示したものがある。これを絶対等級という。

今回のテーマは「見かけの等級」という事で、等級の意味を解説し有名な星の見かけの等級を紹介する。解説は天文について勉強中の科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

国立大学工学部化学系出身の化学系科学館職員。理科教育に携わりたかったので科学館の仕事が大好き。わからないことは参考書を読んだりインターネットで検索している、とことん調べないと気が済まない派。

「見かけ」の「等級」とは?

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星の明るさを表す用語が等級で、「地球から見た時の天体の明るさ」が「見かけの等級」です。これだけではちょっとイメージしづらいですね。そこでまずは等級について解説していきます。

星の明るさ

星の明るさ

image by Study-Z編集部

星は地球からはるか遠くにあります。同じ明るさの電灯でも近くのものと遠くのものでは、見える明るさが違いますね。また、明るい電灯と暗い電灯があっても、距離が違えば実際にどちらが明るいかはわかりません。

同じように星もその距離によって地球から見える明るさが異なります。そこで天体の明るさは測光標準星(明るさが安定している星)と比較して決めているのです。等級は明るいほど小さく、暗いほど大きくなります。そして明るさは1等級小さくなるとで2.5倍の比で明るくなりとなり、100分の1の明るさになると等級は5等増加するのです。等級にはマイナスのものもあります。

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見かけの等級が同じでも、距離が違えばその天体の絶対等級(後程解説します)は異なります。天体の明るさは距離の2乗に反比例するので、地球から同じ明るさに見えても距離が10倍違えば絶対等級は遠い方が5等小さくなるのです。

星から出た光が照らす面積は、距離の2乗に比例して増加します。そして見かけの明るさは距離の2乗に反比例して減少するのです。これを逆二乗の法則といいます。

ポグソンの式

見かけの等級でよく出てくるのが「ポグソンの式」です。これは星の等級と見かけの明るさの関係を定めています。この公式を提案したのはイギリスの天文学者、ノーマン・ポグソン(1829~1891)です。

m等級の星の見かけの明るさをIm、n等級の星の見かけ明るさをInとすると

\次のページで「補足:天文学の距離」を解説!/

m-n=-2.5log(Im/In)

となります。

この式から5等級違うと明るさは100倍違うことが分かるのです。

補足:天文学の距離

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ここで天文学を学ぶときに必要な基礎知識として、星の距離の表し方を紹介します。

天文単位(1au)=1.49597 ×1011m

 地球‐太陽平均距離

1光年=9.46×1015m

 光が1年で進む距離

1パーセク=3.26光年

絶対等級

先程も登場した絶対等級とは天体が10パーセク(32.6光年=3×1014㎞)離れた位置にあるとしたときの明るさのことです。同じ距離にあれば当然、光が弱い方が暗く、強い方が明るくなりますね。

見かけの等級は地球からの見え方を表したものです。一方、絶対等級はその星自体の明るさを示していて標準等級標準光度とも呼びます。

\次のページで「この星は何等級?星の明るさ~見かけの等級編」を解説!/

この星は何等級?星の明るさ~見かけの等級編

1.シリウス

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地球から見える恒星の中で太陽の次に明るいのはおおいぬ座のシリウスです。見た目の等級は₋1.46である一方、絶対等級は1.42となります。

ところで、先ほど紹介したように太陽の見かけの等級は-26.7と圧倒的にシリウスより明るいです。では、絶対等級はどうでしょうか。太陽は地球から1億4960万kmのところにあります。それは光年で表すと0.00001581光年ほどの場所です。絶対等級の基準は32.6光年であり、太陽の絶対等級は4.82となります。一方、シリウスは8.6光年ほど離れた場所にあるのです。

見かけの等級で比べると暗いシリウスですが、シリウスと太陽が並んだらシリウスの方がずっと明るく見えるのですね。

2.カノープス

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りゅうこつ座のカノープスは太陽、シリウスに次いで明るい恒星です。見かけの等級はは-0.74ほど。

ところで、そもそもりゅうこつ座って何?と言う人も多いでしょう。りゅうこつ(竜骨)とは船底の中心を船首から船尾へと貫いている主要部材のことで、船の背骨のようなもののことです。

3.ベテルギウス

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冬の夜空に輝くオリオン座。ベテルギウスはこのオリオン座にある赤色巨星で、その直径は太陽の700倍以上もある大きな恒星です。550光年先にあり、その見かけの等級は0.4等級ですが周期的にその明るさは変わり1.3等級ほどまで暗くなることもあります。一方、絶対等級は-5.7程です。

ちなみにオリオン座にはもうひとつ1等星があります。脚に相当するリゲルは地球から860光年ほど離れたところにある恒星です。リゲルの見かけの等級は0.13、絶対等級は-7.0ほどでベテルギウスよりさらに明るい星なのですね。

\次のページで「4.アンドロメダ銀河」を解説!/

4.アンドロメダ銀河

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恒星の等級についてわかったところで今度は銀河(様々な星の集まり)の等級を紹介します。アンドロメダ銀河は、地球から約250万光年ほど離れた場所にある銀河です。見かけの等級は4.3ですが絶対等級は-21.4とかなり明るいのですね。

5.月

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地球のただ一つの衛星、月。月はその見え方によって等級が異なります。

満月の時、その見かけの等級は-12.7等級です。これは1等星の30万倍以上の明るさになります。一方、半月の時その見かけの等級は-10等級程度です。

見かけの等級

地球から見た明るい、暗いで表す見かけの等級。星本来の明るさを示すのは絶対等級です。明るい天体と言えば太陽ですね。しかし、絶対等級で比べると太陽よりも明るい天体はたくさんあるのです。

おおいぬ座のシリウスは見た目の等級では太陽よりも暗い恒星ですが、もし同じ距離に並べたら太陽よりも明るくなります。それだけ宇宙は広大なのですね。

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地学宇宙理科

「見かけの等級」って何?星の明るさを分類する方法とは?科学館職員が分かりやすくわかりやすく解説

今回「見かけの等級」がテーマです。

そもそも等級は何か知っているか?簡単に言うと天体の明るさを示す単位です。昔は星の明るさを6つに分類し、最も明るい星を1等星、ギリギリ見える暗い星を6等星としていた。星の等級にはこの観測者(地球)から見たときの明るさを示した見かけの等級の他、天体を地球から10パーセク(約32.6光年)の距離にあるとしたときの明るさを示したものがある。これを絶対等級という。

今回のテーマは「見かけの等級」という事で、等級の意味を解説し有名な星の見かけの等級を紹介する。解説は天文について勉強中の科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

国立大学工学部化学系出身の化学系科学館職員。理科教育に携わりたかったので科学館の仕事が大好き。わからないことは参考書を読んだりインターネットで検索している、とことん調べないと気が済まない派。

「見かけ」の「等級」とは?

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星の明るさを表す用語が等級で、「地球から見た時の天体の明るさ」が「見かけの等級」です。これだけではちょっとイメージしづらいですね。そこでまずは等級について解説していきます。

星の明るさ

星の明るさ

image by Study-Z編集部

星は地球からはるか遠くにあります。同じ明るさの電灯でも近くのものと遠くのものでは、見える明るさが違いますね。また、明るい電灯と暗い電灯があっても、距離が違えば実際にどちらが明るいかはわかりません。

同じように星もその距離によって地球から見える明るさが異なります。そこで天体の明るさは測光標準星(明るさが安定している星)と比較して決めているのです。等級は明るいほど小さく、暗いほど大きくなります。そして明るさは1等級小さくなるとで2.5倍の比で明るくなりとなり、100分の1の明るさになると等級は5等増加するのです。等級にはマイナスのものもあります。

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見かけの等級が同じでも、距離が違えばその天体の絶対等級(後程解説します)は異なります。天体の明るさは距離の2乗に反比例するので、地球から同じ明るさに見えても距離が10倍違えば絶対等級は遠い方が5等小さくなるのです。

星から出た光が照らす面積は、距離の2乗に比例して増加します。そして見かけの明るさは距離の2乗に反比例して減少するのです。これを逆二乗の法則といいます。

ポグソンの式

見かけの等級でよく出てくるのが「ポグソンの式」です。これは星の等級と見かけの明るさの関係を定めています。この公式を提案したのはイギリスの天文学者、ノーマン・ポグソン(1829~1891)です。

m等級の星の見かけの明るさをIm、n等級の星の見かけ明るさをInとすると

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