今回は月の満ち欠けの仕組みを説明します。
月が満ち欠けすることの説明はいらないな?月の形がその日によって違う事は皆が知っているはずです。ではなぜ月の形が変わるのかの説明はできるでしょうか。月の形は適当に変わっているわけではない。月と地球、そして太陽の位置関係によって決まるんです。また、通常の月の満ち欠けと別に月、そして太陽も形が変わることがある。
今回はなぜ月が満ち欠けするのかを学ぶ。解説するのは科学館職員の髙橋ふみかです。
ライター/たかはし ふみか
国立大学工学部化学系出身の化学系科学館職員。理科教育に携わりたかったので科学館の仕事が大好き。職場にプラネタリウムがあることから天体についても勉強中。
そもそも月とは何か、ということを満ち欠けする理由と絡めながら解説していきます。
月は衛星の一種です。衛星とは惑星、準惑星、小惑星の周りを公転する天体のことを言います。月は地球の唯一の衛星ですね。そして月が輝くのは太陽の光が当たっていて、地球にいる私達は月が跳ね返した太陽の光を見ているのです。そのため、月にどのように太陽光が当たるのかによって、見え方が変わります。
天体の種類についてはこちらを参考にして下さい。
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月の満ち欠けの秘密はこの月が地球の周りを回っていて、自ら光っていないということに注目するとわかります。
太陽は日食(日食については後程解説)の時を除くといつも真ん丸に見えますね。それは太陽自身が光を放っている、恒星だからです。電球や懐中電灯をイメージしてください。さえぎるものが無ければそのままの光が目に届きますね。一方、自分は光らず、光をあてられてその姿が見えているものはどうでしょうか。光が当たっている部分は明るいですが、当たっていないところは暗い影になっていますね。
これは月も一緒です。地球の周りを回っている月は、その位置によって太陽の光が当たるとき、当たらない時があります。自ら光ることのできない月は太陽光を反射して光っているため、その太陽光の当たり方によって地球にいる私達から見る形が変わっているのです。
image by Study-Z編集部
月は月齢ごとに、その見かけで呼び名が変わります。皆さんはいくつ思いつきますか。
月が無い状態を新月、朔(さく)と言います。これは太陽と地球の間に月があるときで図でいうと1の状態です。ここからどんどん月は大きくなっていきます。月は向かって右側からどんどん大きくなり、2の時に三日月(眉月)、3のときに半分明るい上弦の月とどんどん大きくなっていくのです。
そして月と太陽に間に地球が来た5の時、地球から見える面には全て太陽光が当たり、満月となります。満月は他に十五夜、望月とも呼ばれていますね。そして今度は右側から欠けていき、7で下弦の月、8で有明月となりまた新月を迎えるのです。
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地球から見て太陽と月の位置が垂直の時に見られるのが、半分だけ輝いた半月です。この輝く部分がどっちにあるかで上弦の月なのか下弦の月なのかを判断することができます。ちなみに「弦」とは、半分の月が弓に似ているからです。半月の輝く部分と影の境が弓の弦にあたり、半月は弓月(弓張月)又は弦月ともいいます。
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右に輝く月が上弦の月、左に輝く月が下弦の月です。上弦の月は夕方から夜にかけて見るしては南の空に現れて西の空に沈みます。一方、深夜から明け方にかけて見える下弦の月。下弦の月は東から南の空に見ることができます。上弦の月は明るい部分から登り、弦が上の状態で沈むため上弦の月と言うのです。反対に、沈む時に弦が下に来る方が下弦の月となります。
月齢は目安として下さいね。紹介した以外にもいろいろな呼び方があるのでぜひ、調べてみてください。
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月の満ち欠けが分かったところで、ちょっと変わった天体の満ち欠けについても解説します。
時々、日食や月食が話題となりますね。皆さんはこの違いが分かるでしょうか。日食とは「太陽・月・地球の順で一直線になり、太陽が隠れて見えること」、月食とは「太陽・地球・月の順で一直線になり、月が欠けて見えること」です。
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太陽の周りを公転する地球、そして地球の周りを公転する月。その位置は日々変化しているのです。日食は地球と太陽の間に月が入り、太陽・月・地球と一直線に並んだ時に起こります。これは月によって太陽からの光が届かなくなるからです。太陽が月に完全に隠れるのが皆既日食、月の周りに少し太陽がはみ出し、輪の用意見えるのが金環日食となります。
なぜこのような違いがあるのでしょうか。その理由は月の回転軌道が楕円形をしていることにあります。月と地球の距離は最も近いときで35万㎞、遠く離れた時は40万㎞と5万㎞も差があるのです。そのため地球から月が近い時は月が大きく見えて太陽が完全に隠れて皆既日食になります。反対に地球から月が遠い時は月の見た目の大きさは一回り小さくなり、太陽がはみ出して金環日食となるのです。そして、地域によっては太陽の一部だけが陰に隠れる部分日食となります。
それでは日食の様子を見てみましょう。写真は2019年12月26日にインドで観測された金環日食です。
金環日食と言う名前の通り、まるで金の輪のように見えますね。
日食の起こる日は国立天文台のHPなどで確認できます。ぜひ観測してみて下さい。なお、日食と言えどもちろん直接太陽を見るのは危険です。日食を観察するときは必ず、日食用のグラスを使いましょう。
月食(月蝕)は太陽の光が地球によってさえぎられ、月が欠けて見えることです。月食には皆既月食・部分月食・半影月食があります。すっぽりと月が本影(太陽光が地球によって完全にさえぎられた部分)に入ってしまったときに起きるのが皆既月食です。一方、月の一部のみが本影に入る場合もあります。この時に起こるのが月の一部のみが欠けた部分月食です。そして半影(太陽光の一部のみが地球によってさえぎられえいる部分)にある時に見られるのが半影月食で、半影は影が薄くなっています。
月食の起こる日程も日食同様、国立天文台のHPなどで確認できるので興味がある人は是非チェックしてみてください。
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月の満ち欠けは昔から観測されている、とても身近な現象です。月はその形によって呼び方が決まっています。三日月、満月はともかく、他の呼び方を知っているの人は少ないでしょう。月の名称を覚えて夜空を見上げてみるのもいいですね。
普段の月の満ち欠けの他に、月食と言う現象もあります。これは太陽と月の間に地球が入って影を作る現象です。うまくいけば日本からも年1回くらいは観測できるので、是非地チェックしてみてください。