1.難しい文章の翻訳に悩んでいたが、ヒントをもらったおかげでちょうどいい訳語が浮かび、思わずはたとひざを打った。
2.前後の流れと全く関係のない質問が飛んできたので、回答者ははたと口をつぐんでしまった。
3.ただ歩いていただけなのに注意を受けた親子は、警備員をはたとにらみつけた。
4.いったいどうしたらいいのか、これ以上の解決方法が浮かばないという閉塞感に、はたと困り果てた。
「はたと」は4つの違った意味を持っていますね。文脈によって意味が異なってくることになります。
例文1は、「急にぶつける」ことを意味する「はたと」の使い方です。「はたとひざを打つ」という表現が最もよく使われますが、「はたと手を打つ」など他にも使うことができますよ。例文2は、「急に変わる」さまを意味する場合の使い方です。「はたと気づく」「はたと手を止める」「はたと泣き止む」など、この意味で使われることが最も多いのではないでしょうか。例文3は、「一点を見据える」さまを意味する場合の使い方です。「はたと睨む」というのがよく使われる表現ですね。例文4は、「完全に」の意味での使い方です。「はたと行き詰った」「はたと迷った」などこの意味で使われることも多くありますね。
その1「ぱたっと」
「急にぶつける」ことを意味する「はたと」の類語として「ぱたっと」があげられます。「ぱたっと」は「あまり重くない物が落ちたり倒れたりする音や、そのさまを表す語」なのですが、「続いていたものが急に途絶えるさま」も表す言葉です。「はたと」とよく似ていますね。
その2「出し抜けに」
「急に変わる」さまを表す「はたと」の類語としては「出し抜けに」があげられます。「出し抜け」は「予期しないことが起こること」を意味する言葉です。思いもかけず突然なことを表します。他にも「行き成り」「突然」「不意に」などもありますね。
その3「じろりと」
「一点を見据える」さまを意味する「はたと」の類語としては「じろりと」をあげます。「じろり」は「目玉を動かして、鋭い目つきで見るさま」を意味する言葉です。他にも「にらみ据える」「刺すような目で」「射抜くようなまなざしで」などもありますよ。
\次のページで「その4「とんと」」を解説!/