「顰める」の対義語は?
さらに「顰める」の対義語も見ていきましょう。
「眉を開く」「愁眉を開く」
「眉を顰める」は眉と眉とを寄せるしぐさですが、その反対に「眉を開く」(まゆをひらく)という表現があります。「心配事がなくなって晴れやかな顔になる」という意味の慣用句です。
さらに「愁眉を開く」(しゅうびをひらく)という言い方もあります。唐の時代に劉兼が書いた『春遊』という漢詩の中にある表現を由来としていますので、おそらくこちらが先でしょう。「眉を開く」同様、「心配事がなくなってほっとした顔になる」という意味があります。ちなみに「愁眉」とは当時の中国の女性がしていた化粧の仕方で、憂いを帯びたような細く曲がるようにして書いた眉のことです。
「frown」
「顰める」は、「しかめる」にも「ひそめる」にも読めることは前述の通りです。その「しかめる」と「ひそめる」の両方に使える英単語があります。それは「frown」です。
「顔を顰(しか)める」を英訳するには、「face」を使う必要はありません。「with a frown」だけで「顔を顰(しか)める」です。しかし、「with a frown」は「眉を顰(ひそ)める」とも訳すことができます。つまり、英語では「顔を顰める」と「眉を顰める」の区別は特にないと言えるでしょう。
もしも変化する部位を強調する表現にしたければ、別の言い方にしなければなりません。「顔を顰める」なら「frown up one’s face 」や「screw up one’s face」とできますし、「grimace with pain」で「痛みで顔を顰める」となります。また、「眉を顰める」は「contract one’s eyebrows(brows)」「knit one’s brows」「raise one’s brows」など、多くの動詞で「眉を顰める」を表現することが可能です。
「顰める」を使いこなそう
この記事では「顰める」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「顰める」は、「しかめる」とも「ひそめる」とも読める難しい漢字です。しかも、「顰」の画数が多いので、書くのにも少し苦労します。しかし、実際に「顰める」という表記ではあまり使われません。よって、漢字で書けなかったとしても、恥ずかしい思いはしないでしょう。ただし、「顔を」には「しかめる」、「眉を」には「ひそめる」が続きます。もしも「眉をしかめる」などと言ってしまえば、それこそ「眉をひそめら」れるかもしれません。