「顰める」の使い方・例文
「顰める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.ぎっくり腰の苦痛でつい顔を顰めた。
2.部屋を開けるとたちまち悪臭が立ち込め、それは顔を顰めるほどの強烈さだった。
3.最近の若い女性は満員電車でも平気で化粧を直すので、それを見つけるたびに眉を顰めたくなり、たまには文句の一つでも言ってやろうかと思う。
3つの例文はどれも「顰める」が文中にありますが、すべて読み方が同じというわけではありません。1と2が「しかめる」、3が「ひそめる」です。
「顰める」という言葉を目にする機会は、ほぼ慣用句としてでしょう。まず、「しかめる」は「顔」に付くこととなります。「顔を顰める」(かおをしかめる)とは、「不快などで表情をゆがめる」という意味の慣用句です。また、「ひそめる」は「眉を」の後に続き、「心配事や他人の嫌なことに不快を感じて表情をゆがめる」という意味の慣用句「眉を顰める」(まゆをひそめる)となります。よって、「顔を」に続けば「しかめる」、「眉を」の後だと「ひそめる」と考えて良いでしょう。
ところが、世間では「眉をしかめる」という言い方がかなり浸透しているようです。文化庁が行った調査では、「眉をひそめる」が正しいとする人と「眉をしかめる」を正しいと思う人がほぼ半々に分かれたとの結果が出ました。しかし、「眉をしかめる」は誤用で、辞書には掲載されていません。おそらくは「顔をしかめる」との混同と考えられます。ただ、「顰める」は「ひそめる」とも「しかめる」とも読めるので、そのような事態が起こるのも仕方がないと言えるでしょう。
「皺ばむ」
「顰める」に最も近い言葉は「皺ばむ」(しわばむ)でしょう。「しわがよる、しわむ」という意味の動詞です。しかし、「顰める」が顔に限った表現なのに対して、「皺ばむ」は場所を選びません。
「顔を顰める」や「眉を顰める」の類義語で探すなら、「顔を歪(ゆが)める」「しかめっ面になる」「眉を寄せる」などになるでしょう。ちなみにですが、「しかめっ面」は漢字で「顰めっ面」とも書きます。
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