刺激の受容から反応までの例
神経系で近くのその効果刺激を感じてから反応までの図式で、例えば、運動会の徒競走で、ピストルの音を聞いてスタートする場合を考えてみましょう。
ピストルの音が鳴って(刺激)、鼓膜が振動し内耳の耳小骨が反応し、脳へ刺激の情報が行きます。そして脳の神経細胞が電気的変化を起こしますよ(興奮)。あらかじめ、ピストルの音はスタートの合図ということを知っていますので、足を動かして走るように効果器である足の筋肉を動かすように脳から指令がでます(調整)。そして、走ることができるのですね(反応)。
このように、刺激を受けて行動するまで、「刺激ー興奮ー調整ー反応」という図式で表されます。
神経組織については、別の記事で詳しく説明しておりますので、ご興味のある方はそちらも読んでみてくださいね。
通常の反応と反射の違い
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反射とは、刺激に対して、意識とは無関係に起こる反応の事ですよ。熱いものに触れた時のことを例に見てみましょう。沸騰したやかんに誤って触ってしまうと、意識しなくても素早く手を引っ込めますよね。刺激による情報(やかんが熱い)が大脳に行く前に、脊髄や延髄などから効果器に指令が伝わるので、反応がすばやく起こりますよ。もしも、この反応が脳を介して行われていたら、手を引っ込めるという反応が遅くなってしまうので、火傷してしまいます。反射の例は他にも、明るいところに出ると、瞳が収縮すること(明順応)、レモンなどの酸っぱいものを口に含むと自然と唾液が分泌されるのも反射です。
では、次の場合は反応と反射のどちらでしょうか。車を運転していて、赤信号だと気づかずに通過しようとしてしまい、あわてて急ブレーキをかける。反射のような気がしますが、あらかじめ「赤信号はとまれの刺激」として認識していたので、脳を介して起きています。よって、これは反射ではなく、通常の反応になりますね。
学習心理学の観点において
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「刺激」と「反応」で「学習」という言葉がなぜ結びつくのかわからない方も多いでしょう。
数ある学習理論の中でも、「連合説」(S-R説)について紹介しますね。ちなみに、Sはstimulation(刺激)、Rはresponse(反応)を意味しますよ。連合説は、学習の成立が特定の刺激(S)に対して特定の反応(R)が連合するということを唱えています。今回のトピックにぴったりですね。
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古典的条件付け
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「条件反射」という言葉を聞いたことがあり、日常会話でも何気なく使う人が多いと思います。ただし、そのしくみを説明できる人は多くはないでしょう。「条件反射」(以下、『条件付け』とします。)は旧ソ連の生理学者であるパブロフによって20世紀初頭には動物実験で明らかにされました。パブロフは、イヌの唾液分泌を研究の対象とし、本来は食物が口に入ることにより引き起こされるはずの唾液分泌反応が、一定の音刺激(メトロノームの音やベルの音)を食事の際にほぼ同時に提示することを繰り返していると、食事の時でなくても音の刺激だけでも唾液分泌反応が見られました。
「ベルの音が鳴ると、餌をもらえる」という後天的な学習がなされ、刺激(音)と反応(唾液分泌)が結びついていますね。私たちの身近なところでも古典的条件付けがありますよ。目覚まし時計の音(刺激)で目覚める(反応)は、アラームの解除を忘れて休日の日に目覚ましの音で目覚めてしまうのは、目覚ましの音が起きなければいけないという刺激であることを後天的に学習しているからですよ。
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