刺激と反応について今日は勉強していきます。我々は触覚や嗅覚などの五感で感じる刺激に常にさらされている。その刺激にあった体の反応を意識的にも無意識的にもとっているんです。生理学的、心理学的と聞くとなんだか難しそうな気がするかもしれないが、これを読んでいくと、身体の刺激と反応についてと学習がどうやって成立するかわかるぞ。生物に詳しい医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

生理学の観点において

image by iStockphoto

私たちヒトは、様々な刺激に囲まれて生活しています。夏になると気温が高くなり暑く感じ、冬になると気温が下がり寒いと感じますね。1日の中でも、日が昇ればまぶしく感じたり、日が沈むと暗くて視界が悪くなりますね。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といういわゆる五感を通して多くの刺激を受け取ります。それら刺激を受け取ると、暑いと感じたら汗をかく、まぶしいと感じたら瞳孔が収縮する、ものが落ちそうになったら落ちないように手が出るといった反応が起こりますね。刺激から反応が起こるまでの身体の中のプロセスを見ていきましょう。

刺激と反応とは

最初に、刺激の種類について詳しく見ていきましょう。刺激は物理的刺激と化学的刺激に大きく2つに分かれます。化学的刺激は、におい、味、ホルモン、CO2、O2などです。物理的刺激は、機械的刺激(圧力、張力、音、接触など)、電気的刺激(電圧、電流)、温度刺激光刺激(可視光線、紫外線、赤外線)がありますよ。それらの刺激を受けとるのを受容器、反応するのを効果器と言います。刺激を受け取ってから反応するまでは神経組織が役割を担っていて、脳や脊髄などの中枢神経系と、身体のすみずみへ分布するように末梢神経系がありますよ。次に、受容器と効果器について見ていきましょうね。

受容器と効果器

受容器と効果器

image by Study-Z編集部

刺激と反応について見ていくためには、神経と受容器及び効果器について理解する必要がありますよ。受容器は皮膚など刺激を受け取る器官です。そこから刺激を受けると、神経細胞に電気的な反応をします。このことを興奮と言いますよ。その興奮が神経系に伝えられ、調整が行われて、指令を出す筋肉や腺など反応を起こす効果器に伝えられます。そして反応が起こるのですよ。

\次のページで「刺激の受容から反応までの例」を解説!/

刺激の受容から反応までの例

神経系で近くのその効果刺激を感じてから反応までの図式で、例えば、運動会の徒競走で、ピストルの音を聞いてスタートする場合を考えてみましょう。

ピストルの音が鳴って(刺激)、鼓膜が振動し内耳の耳小骨が反応し、脳へ刺激の情報が行きます。そして脳の神経細胞が電気的変化を起こしますよ(興奮)。あらかじめ、ピストルの音はスタートの合図ということを知っていますので、足を動かして走るように効果器である足の筋肉を動かすように脳から指令がでます(調整)。そして、走ることができるのですね(反応)

このように、刺激を受けて行動するまで、「刺激ー興奮ー調整ー反応」という図式で表されます。

神経組織については、別の記事で詳しく説明しておりますので、ご興味のある方はそちらも読んでみてくださいね。

通常の反応と反射の違い

image by iStockphoto

反射とは、刺激に対して、意識とは無関係に起こる反応の事ですよ。熱いものに触れた時のことを例に見てみましょう。沸騰したやかんに誤って触ってしまうと、意識しなくても素早く手を引っ込めますよね。刺激による情報(やかんが熱い)が大脳に行く前に、脊髄や延髄などから効果器に指令が伝わるので、反応がすばやく起こりますよ。もしも、この反応が脳を介して行われていたら、手を引っ込めるという反応が遅くなってしまうので、火傷してしまいます。反射の例は他にも、明るいところに出ると、瞳が収縮すること(明順応)、レモンなどの酸っぱいものを口に含むと自然と唾液が分泌されるのも反射です。

では、次の場合は反応と反射のどちらでしょうか。車を運転していて、赤信号だと気づかずに通過しようとしてしまい、あわてて急ブレーキをかける。反射のような気がしますが、あらかじめ「赤信号はとまれの刺激」として認識していたので、脳を介して起きています。よって、これは反射ではなく、通常の反応になりますね。

学習心理学の観点において

image by iStockphoto

「刺激」と「反応」で「学習」という言葉がなぜ結びつくのかわからない方も多いでしょう。

数ある学習理論の中でも、「連合説」(S-R説)について紹介しますね。ちなみに、Sはstimulation(刺激)、Rはresponse(反応)を意味しますよ。連合説は、学習の成立が特定の刺激(S)に対して特定の反応(R)が連合するということを唱えています。今回のトピックにぴったりですね。

古典的条件付け

image by iStockphoto

「条件反射」という言葉を聞いたことがあり、日常会話でも何気なく使う人が多いと思います。ただし、そのしくみを説明できる人は多くはないでしょう。「条件反射」(以下、『条件付け』とします。)は旧ソ連の生理学者であるパブロフによって20世紀初頭には動物実験で明らかにされました。パブロフは、イヌの唾液分泌を研究の対象とし、本来は食物が口に入ることにより引き起こされるはずの唾液分泌反応が、一定の音刺激(メトロノームの音やベルの音)を食事の際にほぼ同時に提示することを繰り返していると、食事の時でなくても音の刺激だけでも唾液分泌反応が見られました。

「ベルの音が鳴ると、餌をもらえる」という後天的な学習がなされ、刺激(音)と反応(唾液分泌)が結びついていますね。私たちの身近なところでも古典的条件付けがありますよ。目覚まし時計の音(刺激)で目覚める(反応)は、アラームの解除を忘れて休日の日に目覚ましの音で目覚めてしまうのは、目覚ましの音が起きなければいけないという刺激であることを後天的に学習しているからですよ。

\次のページで「道具的条件づけ」を解説!/

道具的条件づけ

道具的条件づけ

image by Study-Z編集部

道具的条件反射というのもあります。スキナーによって1938年に明らかにされました。パブロフの実験では、イヌは自由に動いてまわれないようにつながれていましたが、スキナーは動物実験にネズミを使い、スキナー箱というレバーを押すと餌が出てくるというスキナー独自の実験装置を用いました。スキナー箱に入れられたネズミは空腹であり、このネズミの与えられた課題は、どうにかして餌を手に入れるためにレバーを押すことでした。最初はレバーを押すまで時間がかかっていましたが、しだいに短くなり、ついにはほぼ連続的にレバーを押して餌を得ることができるようになりました。

こちらは、ご褒美のために何か課題を成し遂げるために試行錯誤でやってみる、ということなので、学習の場面と関連付けることがしやすいと思いますよ。

脳を経由するかしないかで反応速度は違う

刺激を受けて反応に至るまでからだの中で何が起きているか見てきました。赤信号で車のブレーキを踏む場合は通常の反応でしたね。刺激は五感を受け取る受容器から刺激を受け取り、脳の神経細胞が電気的変化を起こしますよ(興奮)。あらかじめ、赤信号は「とまれ」の刺激ということを知っていますので、足を動かしてブレーキを踏んで車を停車させるように効果器である足の筋肉を動かすように脳から指令がでます(調整)。そして、ブレーキを踏むことができるのですね(反応)。この場合、脳を介して反応が行われるので、反射ではありません。

反射は、脳を解せず、脊髄や延髄などから効果器に指令が伝わるので、反応がすばやく起こりますね。熱いものに触れた時とっさに手を引っ込める、酸っぱいものを口に含むと唾液が出るなど、無意識的に行われているものでしたね。

心理学の観点から考えてみれば、刺激から反応まではあらゆる「学習」に関係していましたね。起きなくてはいけない状況じゃなくても、目覚ましが鳴ると起きてしまう、ご褒美のために試行錯誤して目的を達成する過程なども刺激と反応が連合してなされるということでした。

これらを知っていると、ヒトや動物の様々な行動がなぜ起きているか考えることができ、いつもと違う観点で物事が見えてきますね。

" /> 3分で簡単「刺激と反応」!生理学的視点と学習心理学的視点についてわかりやすく説明 – Study-Z
体の仕組み・器官理科生物

3分で簡単「刺激と反応」!生理学的視点と学習心理学的視点についてわかりやすく説明

刺激と反応について今日は勉強していきます。我々は触覚や嗅覚などの五感で感じる刺激に常にさらされている。その刺激にあった体の反応を意識的にも無意識的にもとっているんです。生理学的、心理学的と聞くとなんだか難しそうな気がするかもしれないが、これを読んでいくと、身体の刺激と反応についてと学習がどうやって成立するかわかるぞ。生物に詳しい医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

生理学の観点において

image by iStockphoto

私たちヒトは、様々な刺激に囲まれて生活しています。夏になると気温が高くなり暑く感じ、冬になると気温が下がり寒いと感じますね。1日の中でも、日が昇ればまぶしく感じたり、日が沈むと暗くて視界が悪くなりますね。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といういわゆる五感を通して多くの刺激を受け取ります。それら刺激を受け取ると、暑いと感じたら汗をかく、まぶしいと感じたら瞳孔が収縮する、ものが落ちそうになったら落ちないように手が出るといった反応が起こりますね。刺激から反応が起こるまでの身体の中のプロセスを見ていきましょう。

刺激と反応とは

最初に、刺激の種類について詳しく見ていきましょう。刺激は物理的刺激と化学的刺激に大きく2つに分かれます。化学的刺激は、におい、味、ホルモン、CO2、O2などです。物理的刺激は、機械的刺激(圧力、張力、音、接触など)、電気的刺激(電圧、電流)、温度刺激光刺激(可視光線、紫外線、赤外線)がありますよ。それらの刺激を受けとるのを受容器、反応するのを効果器と言います。刺激を受け取ってから反応するまでは神経組織が役割を担っていて、脳や脊髄などの中枢神経系と、身体のすみずみへ分布するように末梢神経系がありますよ。次に、受容器と効果器について見ていきましょうね。

受容器と効果器

受容器と効果器

image by Study-Z編集部

刺激と反応について見ていくためには、神経と受容器及び効果器について理解する必要がありますよ。受容器は皮膚など刺激を受け取る器官です。そこから刺激を受けると、神経細胞に電気的な反応をします。このことを興奮と言いますよ。その興奮が神経系に伝えられ、調整が行われて、指令を出す筋肉や腺など反応を起こす効果器に伝えられます。そして反応が起こるのですよ。

\次のページで「刺激の受容から反応までの例」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: