この記事では「焦眉の急」について解説する。

端的に言えば「焦眉の急」の意味は「緊急事態」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「焦眉の急」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「焦眉の急」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「焦眉の急」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「焦眉の急」の意味は?

「焦眉の急」には、次のような意味があります。辞書や辞典で正確な内容を確認しましょう。

1.危険がひどく迫っていること。状況が切迫していること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「焦眉の急」

あなたは最近、「緊急事態」や「ピンチに陥ったこと」はあったでしょうか。「焦眉の急」とは「危険が迫っているさまや事態が切迫していること」の意。「しょうびのきゅう」と読みます。「焦眉の急」の「焦眉」とは「眉が焦げてしまうほど火が近くに迫っているさまから危険が迫っていること」の意。目の前に危険が差し迫っている様子や緊急事態であることを示す言葉です。四字熟語として「焦眉之急」と書き表すこともありますよ。一緒に覚えておきましょう。

「焦眉の急」の語源は?

次に「焦眉の急」の語源を確認しておきましょう。「焦眉の急」は中国の歴史書の「五灯会元(ごとうえげん)」に収められている「禅問答(ぜんもんどう)」が由来だとされています。「禅問答」の中で修行僧が「切迫する状況とはどのようなことか」と師匠に質問をしました。師匠は「火が眉を焼く時だ」と答えたとされています。

ここから派生して「眉毛が焼けるほど目の前に火がある様子は追いつめられた状況であること」=「焦眉の急」という意味が成り立ったと考えられていますよ。目の前に火があると怖くて身動きがとれないでしょう。人間の本能を上手く表現した言葉ですね。

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「焦眉の急」の使い方・例文

「焦眉の急」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この用語は、たとえば以下のように用いられます。

1.プラスチックごみ削減の取り組みが焦眉の急を要する世界的な問題だ。
2.先月の地震で甚大な被害を受けた。被災した人たちの生活再建は焦眉の急を要している。
3.わが社の新製品に不具合が見つかった。今から緊急の対策会議を開く。まさに焦眉の急だ。

「焦眉の急」の使い方を例文から学びましょう。例文1は「環境問題」です。「プラスチックごみへの対策が喫緊の課題であること」を表しています。プラスチックごみによる環境汚染が切迫している状況であることが感じられますね。

例文2は「災害」です。「地震による被害が大きく生活を立て直すことが急を要する状況」であることを示しています。被害の大きさが伺えますね。例文3は「ビジネス」です。「新製品に不具合が見つかり緊急の会議を開く場面」を言い表しています。早急な対処が必要であることが伝わってきますね。

例文のように、「焦眉の急」は「社会情勢」や「政治」、「経済状況」などに対して使うことが多い言葉ですね。また、ビジネスでは「危機的な状況であること」を示すことが多いでしょう。使い方をマスターして下さいね。

「焦眉の急」の類義語は?違いは?

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「焦眉の急」の類義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。一緒に確認しましょう。

「轍鮒の急」

「焦眉の急」の類義語には「轍鮒の急」が考えられるでしょう。「轍鮒の急」とは「危険や困難が迫っていることや切迫した状態にいる人」の意。読み方は「てっぷのきゅう」です。「轍鮒の急」の「轍」は「わだち・車輪の跡」のこと。「鮒」は「魚の鮒(ふな)」です。

「轍鮒の急」の由来は「荘子の外物」とされています。貧しかった荘子は友人の監河候の所へ出かけました。監河候は「数日後に領地から税金が入るのでその金を貸そう」と言いました。荘子は監河候に対して「ここに来る途中に轍にできた水たまりにいるフナに水がなくなりそうなので助けてほしいと頼まれた」と言いました。

「近いうちに西江に行って水を持ってきてやろう」と荘子がフナに言うと、フナは怒り「今少しの水があれば助かる。悠長なことを言われても困る。待っている間に干からびてしまう。」と言いました。そして、荘子は「今の私はフナと同じ心境だ」と監河候に話しました。フナも荘子も危機が迫っている様子が伝わってくる故事ですね。

この「轍にできた水たまりにいるフナが水がなくなり干からびそうなっている様子」から派生して「轍鮒の急」=「危機が迫っているさま」を示すようになったとされていますよ。少し難しい慣用句ですが、これを機会に知識として身につけておきましょう。

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「焦眉の急」の対義語は?

「焦眉の急」の対義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。関連する言葉を一緒に確認しましょう。

「不要不急」

「焦眉の急」の対義語には「不要不急」が考えられるでしょう。「不要不急」とは「する必要もなく急ぐ必要もないこと・重要ではない物事」の意。読み方は「ふようふきゅう」です。重要でもなく、急ぐ必要もない物事を示す場面で使われている言葉ですよ。使い方を例文から学びましょう。

例文1は「ビジネス」です。「A社は利益を伴わない会食や出張などを中止して経費の削減に取り組んでいる様子」を示していますよ。例文2は「災害」です。「台風が接近しており危険なため外出を控えようという場面」を表していますよ。例文2のようにニュースや新聞などで注意喚起を促す際に用いられることの多い表現でしょう。

1.A社は不要不急の経費を削減している。

2.大型の強い台風が接近しているため不要不急の外出を控えましょう。

「焦眉の急」の英訳は?

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「焦眉の急」は英語でどのように表現するのでしょうか。キーワードとなる英単語を一緒にチェックしましょう。

「urgent need」

「焦眉の急」は英語で「urgent need」と翻訳できるでしょう。「urgent 」とは「切迫した・急を要する・緊急の」を示す形容詞です。ここでの「need」は「必要・ニーズ」を表す名詞。直訳すると「差し迫ったニーズ」となり「焦眉の急」の英語訳と考えられるでしょう。使い方を例文から学びましょう。例文1は「生活基盤の再建が緊急を要する」という意味を示しています。「urgent」も「need」もとても重要な英単語です。正しい意味を理解しておきましょう。

1. There is an urgent need to repair the local infrastructure.
(生活基盤を再建することが焦眉の急を要する。)

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「焦眉の急」を使いこなそう

この記事では「焦眉の急」の意味・使い方・類語などを説明しました。「焦眉の急」のように「眉」が使われていることわざや慣用句は数多くあります。「愁眉を開く(しゅうびをひらく)=心配や悩みがなくなり安心すること」や「眉を読む=顔の表情から人の気持ちを推測すること」、「白眉(はくび)=多くの中で最も優れているものや人」などです。あなたはいくつ思い浮かべることができるでしょうか。ノートなどに書き出して一つずつ丁寧に調べてみましょう。

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【慣用句】「焦眉の急」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「焦眉の急」について解説する。

端的に言えば「焦眉の急」の意味は「緊急事態」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「焦眉の急」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「焦眉の急」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「焦眉の急」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「焦眉の急」の意味は?

「焦眉の急」には、次のような意味があります。辞書や辞典で正確な内容を確認しましょう。

1.危険がひどく迫っていること。状況が切迫していること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「焦眉の急」

あなたは最近、「緊急事態」や「ピンチに陥ったこと」はあったでしょうか。「焦眉の急」とは「危険が迫っているさまや事態が切迫していること」の意。「しょうびのきゅう」と読みます。「焦眉の急」の「焦眉」とは「眉が焦げてしまうほど火が近くに迫っているさまから危険が迫っていること」の意。目の前に危険が差し迫っている様子や緊急事態であることを示す言葉です。四字熟語として「焦眉之急」と書き表すこともありますよ。一緒に覚えておきましょう。

「焦眉の急」の語源は?

次に「焦眉の急」の語源を確認しておきましょう。「焦眉の急」は中国の歴史書の「五灯会元(ごとうえげん)」に収められている「禅問答(ぜんもんどう)」が由来だとされています。「禅問答」の中で修行僧が「切迫する状況とはどのようなことか」と師匠に質問をしました。師匠は「火が眉を焼く時だ」と答えたとされています。

ここから派生して「眉毛が焼けるほど目の前に火がある様子は追いつめられた状況であること」=「焦眉の急」という意味が成り立ったと考えられていますよ。目の前に火があると怖くて身動きがとれないでしょう。人間の本能を上手く表現した言葉ですね。

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