この記事では「言うは易く行うは難し」について解説する。

端的に言えば言うは易く行うは難しの意味は「口で言うことは簡単でも行動することは難しい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「言うは易く行うは難し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「言うは易く行うは難し」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「言うは易く行うは難し」の意味をご存知ですか。「易く」や「難し」など、日常生活ではあまり使用されないうえに語感も難しく感じる言葉なので、意味を知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「言うは易く行うは難し」について解説していきたいと思います。

それでは早速、「言うは易く行うは難し」の意味や使い方を確認していきましょう。

「言うは易く行うは難し」の意味は?

「言うは易く行うは難し」には、次のような意味があります。

口で言うことは簡単だが、それを実行することは難しい。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「言うは易く行うは難し」は「いうはやすくおこなうはかたし」と読みます。「易く」は簡単で大した手間がかからないこと、「難し」は字の通り難しいという意味です。これらの意味から、口で言うだけならば簡単にできるが、いざそれを行うことは難しいということを表します。

例えば、明日から毎日5時半に起きて朝活をすると口で言うだけなのは簡単ですが、いざ毎日実行しようとするとかなり難しいですよね。このように、口では簡単に言えるけど実際に行おうとすると難しい場合に「言うは易く行うは難し」と表現するのです。また、目標を決めるときや、実際にやってみたら難しかったときなどにも使われます。

「言うは易く」だけを強く取って、「言うだけなら簡単だから行動は起こさずに言う」で使用されることもありますが、これは間違った使い方なので注意してください。

「言うは易く行うは難し」の語源は?

次に「言うは易く行うは難し」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、古代中国の会議録である『塩鉄論』が由来です。この『塩鉄論』は、紀元前の前漢時代、古代中国の朝廷における塩・鉄・酒の専売制などの政策をめぐる論戦をまとめています。

この中の「言う者は必ずしも徳有らず。何となれば、これは言うは易くして、これを行うは難ければなり」という言説に基づいて成り立っていると考えられています。

\次のページで「「言うは易く行うは難し」の使い方・例文」を解説!/

「言うは易く行うは難し」の使い方・例文

「言うは易く行うは難し」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.上司に今後の計画を説明したところ、言うは易く行うは難しだから考え直せと注意されてしまった。
2.言うは易く行うは難しというので、実現可能な身の丈にあった目標を立てたい思う。
3.週に3冊本を読むと目標を立てたが、最初の1週間さえも達成することができなかった。
4.1日に4時間勉強すると決めたが、平日に時間をとることが思っていたより厳しく三日坊主になってしまった。

ここでは4つの例文を挙げました。それでは、ひとつひとつ使い方を確認していきましょう。

例文1は今後の計画を説明した際に、言うだけなら簡単だが実現は難しいと言われてしまったこと、例文2は目標を立てる際に言うだけではなく実現可能かどうかを重視して立てたいと思っていることを表します。このように、「言うは易く行うは難し」は目標を決めるシーンで用いられることも多いです。

例文3、4はどちらも目標を立てたものの達成することができない様子を表しています。このように、言うだけなら簡単だが、実際にやってみると難しく達成できなかった場合の反省の際にも使用されることがあるのです。

「言うは易く行うは難し」の類義語は?違いは?

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口で言うことは簡単だが、それを実行することは難しいという「言うは易く行うは難し」と似た意味を持つ言葉には何があるのでしょうか。

下記の言葉を確認していきましょう。

その1「口では大阪の城も建つ」

「口では大阪の城も建つ」は「くちではおおさかのしろもたつ」と読むことわざです。ここで用いられている「大阪の城」とは、とても大きく立派なものを例えており、このことわざは口で言うだけならどんなに大きなことでも言えるということのたとえとして用いられます。

口で言うだけなら簡単だという意味では「言うは易く行うは難し」と似たことわざです。しかし、口で言うだけ言って行動を起こさない「口では大阪の城も建つ」に対して、「言うは易く行うは難し」は目標を決めて実際に行ってみたら難しかったという状況で用いられるので使い分けに注意してください。

\次のページで「その2「大言壮語」」を解説!/

1.口では大阪の城も立つと言うように、100万円貯金すると言うだけなら簡単なのだ。
2.総理大臣になりたいと大きい夢を持つのも大事だが、口では大阪の城も建つというように行動で本気を見せなければならない。

その2「大言壮語」

「大言壮語」は「たいげんそうご」と読む四字熟語です。「大言」は大きなこと、大げさなことを言うこと、「壮語」は勇ましいことや偉そうなことを言うことを意味します。「大言」と「壮語」似た意味の熟語を重ねることで、自身の実力に見合わないできそうもないことや威勢のいいことを言うことという意味を持つのです。

この四字熟語は、威勢のいいことを言うという意味から、目標などを決める際などポジティブな使い方ができそうですが、実は不適切。自身の実力に不相応な目標を掲げていたり過大評価したりするなど、自分の実力を把握できていないマイナスな場合に使われます。

また、「言うは易く行うは難し」は行動が伴いますが「大言壮語」には行動は伴いません。ニュアンスの違いに注意が必要です。

1.身のほど知らずな彼は、大言壮語な目標を立てては失敗ばかりしている。
2.入社当時、彼女のことを大言壮語な人だと思っていたが、きちんと話してみると明確なビジョンを持った先見の明のある人だった。

「言うは易く行うは難し」の対義語は?

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「言うは易く行うは難し」には明確な対義語はありません。口で言うなら簡単だが行動するのは難しいの反対の意味を持つ言葉をしいて挙げるなら、あれこれ言わずになすべきことを実行するという意味を持つ「不言実行」が考えられるのではないでしょうか。

「言うは易く行うは難し」を使いこなそう

この記事では「言うは易く行うは難し」の意味・使い方・類語などを説明しました。

このことわざは古代中国の会議録である『塩鉄論』が由来で、口で言うのは簡単だがいざ行ってみると難しいということを表します。

「言うは易く」の意味だけを取って「言うだけなら簡単だから行動を起こさずに言う」のように使うのは誤りなので気をつけましょう。

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【ことわざ】「言うは易く行うは難し」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「言うは易く行うは難し」について解説する。

端的に言えば言うは易く行うは難しの意味は「口で言うことは簡単でも行動することは難しい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「言うは易く行うは難し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「言うは易く行うは難し」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「言うは易く行うは難し」の意味をご存知ですか。「易く」や「難し」など、日常生活ではあまり使用されないうえに語感も難しく感じる言葉なので、意味を知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「言うは易く行うは難し」について解説していきたいと思います。

それでは早速、「言うは易く行うは難し」の意味や使い方を確認していきましょう。

「言うは易く行うは難し」の意味は?

「言うは易く行うは難し」には、次のような意味があります。

口で言うことは簡単だが、それを実行することは難しい。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「言うは易く行うは難し」は「いうはやすくおこなうはかたし」と読みます。「易く」は簡単で大した手間がかからないこと、「難し」は字の通り難しいという意味です。これらの意味から、口で言うだけならば簡単にできるが、いざそれを行うことは難しいということを表します。

例えば、明日から毎日5時半に起きて朝活をすると口で言うだけなのは簡単ですが、いざ毎日実行しようとするとかなり難しいですよね。このように、口では簡単に言えるけど実際に行おうとすると難しい場合に「言うは易く行うは難し」と表現するのです。また、目標を決めるときや、実際にやってみたら難しかったときなどにも使われます。

「言うは易く」だけを強く取って、「言うだけなら簡単だから行動は起こさずに言う」で使用されることもありますが、これは間違った使い方なので注意してください。

「言うは易く行うは難し」の語源は?

次に「言うは易く行うは難し」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、古代中国の会議録である『塩鉄論』が由来です。この『塩鉄論』は、紀元前の前漢時代、古代中国の朝廷における塩・鉄・酒の専売制などの政策をめぐる論戦をまとめています。

この中の「言う者は必ずしも徳有らず。何となれば、これは言うは易くして、これを行うは難ければなり」という言説に基づいて成り立っていると考えられています。

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