この記事では「事なきを得る」を勉強していきます。

「事なきを得る」の意味は、ずばり「大ごとにならなくて済む」です。トラブルが起きたけど、最終的に何事もなく済んだとき「事なきを得た」と使うのが一般的です。面倒なことは誰もが嫌だから、回避できれば思わずホッとするよな。

正しく自信を持って使えるように、「事なきを得る」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「事なきを得る」の意味は?

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ここでは「事なきを得る」の言葉の正しい意味をしっかり押さえましょう。

「事なきを得る」の意味は「大事にならなくて済む」

まずは辞書で意味を確認してみましょう。

大事にならないで済む。「出発時間に間に合って–○得た」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「事なきを得る(ことなきをえる)」

「事なきを得る」は、”大事にならないで終わる”、”大きな事故や面倒なことになることなく収束したり、無事に済んだりする”といった意味の言葉です、つまり、ギリギリのところで失敗を回避すること。

「事」とは、大変な出来事を表す言葉。「事なき」は一大事に至らないの意味、「得る」は手に入れるという意味です。これらの言葉を合わせて「事なきを得る」。つまり、”大ごとにいたらなくなって済む”という意味になります。

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「事なきを得る」の使い方は?

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「事なきを得る」の意味がわかったところで、使い方を解説します。

例文で「事なきを得る」の使い方をチェック!

いくつか「事なきを得る」を使った例文に触れていきましょう。

1.彼は財布を落としてしまったが、親切な人に拾われたおかげで事なきを得た。
2.台風が直撃するという天気予報は杞憂に終わり、事なきを得た。
3.上司が抱えていた顧客とのトラブルも、なんとか向こうが折れて事なきを得たらしい。

1は、彼は財布を落としたが、拾ってくれた人がいい人で何事もなく財布が戻ってきたという意味。お金もカードも無事な状態で財布が戻ってきたんですね。2は、天気予報で台風が直撃すると心配になったけど、結局取りこし苦労でなんともなかったの意味です。不安になっていたことが外れてホッとした様子がうかがえます。

3は、顧客とトラブルになったが、お客さん側が納得してくれて大ごとにはならなかったらしいという意味です。これは心から安堵しますね。このように、どの例文もトラブルが回避できたことを「事なきを得た」と表現しているのがわかるでしょう。

「事なきを得る」と似たような意味を持つ言葉は?

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「事なきを得る」に関連する似たような言葉があるので、一緒に覚えていきましょう。

「九死に一生を得る」:かろうじて助かること

「九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる)」の意味は、”かろうじて助かること”。「九死」とは、10のうち9まで死にそうで危ないことを言います。

例えば、「隣のアパートが火事になり、火の粉が降るなか逃げて助かったときは、まさに九死に一生を得たと思ったよ」であれば、隣の家が火事になり、命の危機に瀕したけどなんとか助かったという意味です。助かる見込みがない状況から、奇跡的に助かったときに使ってください。

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「首の皮一枚」:わずかな希望があるたとえ

「首の皮一枚(くびのかわいちまい)」は、”わずかな希望が残っているたとえ”を表します。「首の皮一枚つながっている」という台詞は、ドラマやアニメでよく耳にしたことがあるのではないでしょうか。

例えば「給料日まであと少し。食料も底をつき、水のおかげで首の皮一枚つながっている」です。この例文は、お金も食糧もない状態で危ないが、水が希望となって生きていられるという意味になります。

「大過なきを得る」:大事にいたることなく無事に済む

「大過なきを得る(たいかなきをえる)」の意味は、”大事にいたることなく無事に済む”です。「大過なく」は”大きな過ち、失敗がないこと”を表します。

例えば「今年のスポーツ大会は人出が多かったにもかかわらず、最後まで大過なきを得て終わった」という例文であれば、大会は最後の最後まで特に大きなトラブルもなく終えることができましたの意味になるでしょう。

「事なきを得る」と反対の意味を持つ言葉は?

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「事なきを得る」と反対の意味を持つ言葉は何があるのでしょうか。いくつか見ていきましょう。

「由々しき事態になる」:看過できない状態になること

「由々しき事態になる(ゆゆしきじたいになる)」の意味は、”看過できない状態になること”です。「由々しき」には、”重大である、はなはだしい”などの意味があります。

例えば「似たような事件が立て続けに起こっており、由々しき事態になっている」の例文は、奇妙な事件が続いており、看過できない大変な状況になっているという意味になるでしょう。

「大事にいたる」:深刻な問題に発展すること

「大事にいたる(だいじにいたる)」の意味は、”深刻な問題に発展すること”。主に、「大事にいたらず」の否定形や、「大事にいたる前に」のような予防的意味合いで使用することが多いです。

例えば、「天井の雨漏りを見つけたときはハッとしたが、迅速な補修工事により大事にいたらず安心した」という例文であれば、素早い対応により雨漏りが大きく広がらずにホッとしたの意味になりますね。

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「えらいことになる」:大変なことになる

「えらいことになる」は、”大変なことになる”の意味です。えらいには、”立派ですぐれている”という意味のほかに、”程度がはなはだしい、普通ではない”という意味もあります。つまり、「えらいことになる」は、”おおごとになる”ということです。

例えば「ちょっとした噂話が尾ひれをつけて社内に広がり、えらいことになった」は、噂話が大げさになってひろがり、大変なことになってしまったという意味になるでしょう。ほかに似たような言葉として「ヤバいことになる」「マズいことになる」などのくだけた表現があります。

「事なきを得る」の意味を理解して正しく使ってみよう!

この記事では「事なきを得る」の意味や使い方・類語・対義語などを説明しました。「事なきを得る」は、”大ごとにならずに済む”という意味でした。

類語「九死に一生を得る」「首の皮一枚」「大過なきを得る」も、「事なきを得る」同様にピンチのときやトラブルに巻き込まれたとき、危機をなんとか回避した様子を表すことがわかったでしょう。使用状況を考えて、自らの困難を乗り越えたとき、ぜひ使ってみてください。

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国語言葉の意味

トラブルを回避!「事なきを得る」の正しい意味や使い方・類語など現役日本語教師がわかりやすく解説

この記事では「事なきを得る」を勉強していきます。

「事なきを得る」の意味は、ずばり「大ごとにならなくて済む」です。トラブルが起きたけど、最終的に何事もなく済んだとき「事なきを得た」と使うのが一般的です。面倒なことは誰もが嫌だから、回避できれば思わずホッとするよな。

正しく自信を持って使えるように、「事なきを得る」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「事なきを得る」の意味は?

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ここでは「事なきを得る」の言葉の正しい意味をしっかり押さえましょう。

「事なきを得る」の意味は「大事にならなくて済む」

まずは辞書で意味を確認してみましょう。

大事にならないで済む。「出発時間に間に合って–○得た」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「事なきを得る(ことなきをえる)」

「事なきを得る」は、”大事にならないで終わる”、”大きな事故や面倒なことになることなく収束したり、無事に済んだりする”といった意味の言葉です、つまり、ギリギリのところで失敗を回避すること。

「事」とは、大変な出来事を表す言葉。「事なき」は一大事に至らないの意味、「得る」は手に入れるという意味です。これらの言葉を合わせて「事なきを得る」。つまり、”大ごとにいたらなくなって済む”という意味になります。

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