この記事では、「この期に及んで」について解説する。
「この期に及んで」はネガティブな文脈でよく使われるよな。割りとよく聞くから意味をわかった気でいるが、よくよく文字で見ると自分の使い方が本当にあっているのか、不安になってきちまった。
そこで今回は、何ごともいよいよ大詰めを迎えるまで、なかなか動き出さないライターであるぷーやんを呼んです。「この期に及んで」の意味と使われ方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。しかし「この期に及んで」、ルールに縛られないことがかっこいいと思っている。

「この期に及んで」の意味から押さえよう!

image by iStockphoto

それでは「この期に及んで」の意味からみていきましょう。

「この期に及んで」を辞書でみてみよう!

「この期に及んで」では辞書に載っていませんので、「この期」と「及ぶ」にわけて辞書引きしてみます。

この大事な時。いよいよという場合。「―に及んでじたばたしない」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「このご」

なにかの活動の要所や、クライマックスに近い時期を示していますね。次に「及んで」は次のように記されています。

1物事が続いたり広がったりして、ある所・範囲に届く。達する。「五時間に―・ぶ討論」「被害は各地に―・んだ」「議論が国際問題に―・ぶ」
2ある状態にたちいたる。「この期に―・んで、まだ決めかねている」
3結果として、ある状態・段階になる。「実力行使に―・ぶ」
4自分の力が届く。なしとげられる。「―・ぶ限りの努力をする」「―・ばぬ恋」
5(多く打消しの語を伴って用いる)能力・地位・実質などの程度がある基準に達する。
㋐追いつく。また、とり返しがつく。「想像も―・ばない進歩」「悔やんでも―・ばない」
㋑匹敵する。かなう。「英会話では彼に―・ぶ者がない」→及びもつかない
6(「…にはおよばない」の形で)…する必要がない。…しなくともよい。「遠慮するには―・ばない」
7動詞の連用形に付いて、動詞の意味を強調し、その動作が最後の段階にまで到達していることを表す。「聞き―・ぶ」
8及び腰になる。
「榊をいささか折り給ひて、少し―・びて、参らせ給ふ」〈狭衣・三〉

2の意味の例に「この期に」とありますので、「この期に及んで」の「及んで」は「ある状態にいたる」という意味になります。「この期」と「及ぶ」を合わせた「この期に及んで」は、「いよいよのときに至ってもなお」といったニュアンスになりますね。

\次のページで「例文で「この期に及んで」の使い方を確認!」を解説!/

例文で「この期に及んで」の使い方を確認!

辞書引きで意味を調べたら、今度は例文で使い方を押さえていきましょう。

1.明日はもう試験日だ。「この期に及んで」公式をスラスラ言えないようでは、試験中のことが思いやられる。
2.昨日の喧嘩は、『お互いにコミュニケーションが足りなかったから気を付けよう』って結論が出たはずでしょ。「この期に及んで」蒸し返してこないでほしい。

例文1は、試験対策が間に合わなかったことについて述べています。本番の前日にはすべての対策を終えて、ちょっとした確認だけという状態にしておきたいものですね。例文2は、友達か家族との喧嘩でしょうか。あとで蒸し返すことがないように、頭が冷えたときにしっかりと話し合って寄り添いあえる相手こそ、親友や運命の人と呼べるのではないでしょうか。

「この期に及んで」の類義語2選!

image by iStockphoto

まずは「この期に及んで」の類義語から、2つご紹介します。

ここまで来て:もう引き返せない気持ち

ものごとがある段階に至ったときに、今となっては引き返せない・遅すぎるという想いを含んだ言い方ですね。「ここまで」が「この期」に、「来て」が「及んで」に相当します。

今ごろになって:取り返しがつかない状態

この表現も「ここまで来て」と同様に、ものごとが大きく進展してからなにか言われても、対応できないという否定的な気持ちを含蓄した言い回しです。

\次のページで「「この期に及んで」に対義語はある?」を解説!/

「この期に及んで」に対義語はある?

「この期に及んで」に明確な対義語はありません。ここでは、「この期」と「及ぶ」それぞれの反対の意味を考えて、足し合わせてみます。

「この期」の対義語は「定常時」

「大事な局面/クライマックス」を意味する「この期」に対し、「いつも通り」という意味の「定常時」を対義語として挙げました。

「及ぶ」に対義語はある?

「及ぶ」は「ある状態にいたる」という意味でしたね。これの対義的なニュアンスを一言で表す言葉はなさそうですので、この記事では「ある状態にいたらない」と語尾で否定することで対義表現とします。

「この期」「及ぶ」の対義表現を足すと…?

上述の2つの対義表現を足すと、「定常状態であり、重要な局面にいたっていない」となります。「この期に及んで」という場合、『対応するには遅すぎる』という気持ちを含むことが多いでしょう。この想いの反対は『早めに準備しておく』といったところでしょうか。これを加えると、「定常状態であり、重要な局面にいたっていないが、準備はしておく」となります。

「この期に及んで」は英語ではなんという?

日本でも国際化が進んできた昨今にあっては、言葉の英語訳も気になるところ。「この期に及んで」は英語でどのように表現されるのでしょうか。

at the last moment:土壇場になって

「土壇場になって」というふうに和訳される表現です。なにかの活動が最後まできて、『さあラストスパートいくか!』となっているときに、これまでを後悔するようなことを言われると、思わずつぶやきたくなってしまう言葉ですね。

even at this stage:この段階にいたっても

ここでの「even」は「○○でも/さえ」という意味。和訳すると、「この段階にいたっても」となります。

\次のページで「「この期に及んで」も見直しは必要?」を解説!/

「この期に及んで」も見直しは必要?

image by iStockphoto

これまでの説明から「この期に及んで」という表現を使うときは、ネガティブなことを言うケースが多いことを示してきました。しかし「この期に及んで」話を巻き戻すことが、果たして絶対的に悪いことなのでしょうか。

「この期に及んで」と反省

なにかに多くの労力を注ぎ込んだあとや、ものごとが重要な局面に差し掛かったときは、最後までやり切ろうと意気込むもの。そんな折に『そもそも今までのやり方は非効率だったのでは』などと言われると、反射的に『「この期に及んで」そんなことを言うのか?』と返したくなるのが人情でしょう。

しかし人生にしても事業にしても、そこで全部終わりとはならず、今後も連綿と続いていくものです。「この期に及んで」と言いたくなるのをグッとこらえて、中立的な視点から謙虚に反省してみることも大切ではないでしょうか。

「この期に及んで」しまう前に対処できるとベター!

上述のように反省の心はあったほうがいいものですが、できれば「この期に及ぶ」前、できるだけ早い段階で済ませられるとよりスムーズですよね。そのためには、節目節目で活動を振り返る習慣がカギとなるでしょう。いわゆる『PDCAサイクルを回す』というやつです。

「この期に及んで」もかたくなりすぎないように

この記事では「この期に及んで」について、類義語や対義語などもあげて、包括的に意味を解説しました。そして「この期に及んで」という言葉の使われ方について、すこし踏み込んで考えています。

「この期に及んで」いる状態では、頭も体も緊張でかたくなりがちです。そんなときにも余裕を持てるように、日頃から行動の見直しを行いながら過ごしたいものですね。行き詰りそうなときの打開策は、得てして柔軟な思考から生まれます。「この期に及んで」も考えが凝り固まらないよう、気にすべきことと気にしてもどうしようもないことを、整理しておくのも大切なことでしょう。

この記事が「この期に及んで」の理解を助け、重要なときでもプレッシャーを感じ過ぎないために役立てば幸いです。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
" /> 「この期に及んで」はネガティブな言葉?意味・例文・類語・英語をwebライターが簡単にわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「この期に及んで」はネガティブな言葉?意味・例文・類語・英語をwebライターが簡単にわかりやすく解説!

この記事では、「この期に及んで」について解説する。
「この期に及んで」はネガティブな文脈でよく使われるよな。割りとよく聞くから意味をわかった気でいるが、よくよく文字で見ると自分の使い方が本当にあっているのか、不安になってきちまった。
そこで今回は、何ごともいよいよ大詰めを迎えるまで、なかなか動き出さないライターであるぷーやんを呼んです。「この期に及んで」の意味と使われ方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。しかし「この期に及んで」、ルールに縛られないことがかっこいいと思っている。

「この期に及んで」の意味から押さえよう!

image by iStockphoto

それでは「この期に及んで」の意味からみていきましょう。

「この期に及んで」を辞書でみてみよう!

「この期に及んで」では辞書に載っていませんので、「この期」と「及ぶ」にわけて辞書引きしてみます。

この大事な時。いよいよという場合。「―に及んでじたばたしない」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「このご」

なにかの活動の要所や、クライマックスに近い時期を示していますね。次に「及んで」は次のように記されています。

1物事が続いたり広がったりして、ある所・範囲に届く。達する。「五時間に―・ぶ討論」「被害は各地に―・んだ」「議論が国際問題に―・ぶ」
2ある状態にたちいたる。「この期に―・んで、まだ決めかねている」
3結果として、ある状態・段階になる。「実力行使に―・ぶ」
4自分の力が届く。なしとげられる。「―・ぶ限りの努力をする」「―・ばぬ恋」
5(多く打消しの語を伴って用いる)能力・地位・実質などの程度がある基準に達する。
㋐追いつく。また、とり返しがつく。「想像も―・ばない進歩」「悔やんでも―・ばない」
㋑匹敵する。かなう。「英会話では彼に―・ぶ者がない」→及びもつかない
6(「…にはおよばない」の形で)…する必要がない。…しなくともよい。「遠慮するには―・ばない」
7動詞の連用形に付いて、動詞の意味を強調し、その動作が最後の段階にまで到達していることを表す。「聞き―・ぶ」
8及び腰になる。
「榊をいささか折り給ひて、少し―・びて、参らせ給ふ」〈狭衣・三〉

2の意味の例に「この期に」とありますので、「この期に及んで」の「及んで」は「ある状態にいたる」という意味になります。「この期」と「及ぶ」を合わせた「この期に及んで」は、「いよいよのときに至ってもなお」といったニュアンスになりますね。

\次のページで「例文で「この期に及んで」の使い方を確認!」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: