この記事では「鰻登り」について解説する。

端的に言えば鰻登りの意味は「物事の程度が急激に上昇すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「鰻登り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「鰻登り」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「鰻登り」の意味や語源・使い方まとめ

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鰻登り」は「うなぎのぼり」と読みます。ニュースなどでもしばしば使われる言葉ですから、聞いた事があるかも知れません。「鰻登り」は、簡単に言うと「上昇する」と言う意味ですね。しかし、なぜ「鰻」が使われているのでしょう。

それでは早速「鰻登り」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鰻登り」の意味は?

まず初めに「鰻登り」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「鰻登り」には、次のような意味があります。

1.気温・物価・評価などが見る間に上がったり、物事の件数・回数が急激に増えたりすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鰻上り/鰻登り」

2.物事の程度・段階が、驚くほど急激な勢いで上がること

出典:新明解国語辞典(三省堂)「鰻登り」

「鰻登り」とは、気温や物価、評価など、物事の程度や段階が急激に上昇する、と言う意味です。ニュースなどでは、特に経済で物価や株価などに用いられるでしょう。その他、人気があがることにも「鰻登り」を用いることがあります。

また「鰻登り」と「鰻上り」、どちらの漢字を使っても良いでしょう。

似た言葉に「鯉の滝登り」があり、しばしば間違えられることがあるようです。「鯉の滝登り」は、立身出世することの例えですから全く意味が違いますね。誤用しないよう気をつけましょう。

「鰻登り」の語源は?

次に「鰻登り」の語源を確認しておきましょう。「鰻登り」の由来には二つ説がありますので紹介します。

一つめは、鰻が川を上ってくる時に、どんな急流やどんな急勾配の川でも、体をくねらせることで上へ登っていく事ができることから、と言う説です。鰻は海で生まれ、その後、川を上り上流で成長していくと言われています。

もう一つは、鰻を手で捕まえようとすると、つるつると上に向かって逃げてしまうことから「鰻登り」と言うようになったと言う考えです。

どちらが正しい由来かはわかりませんが、鰻の習性を良く知っている日本人だからこそ生まれた慣用句ですね。

\次のページで「「鰻登り」の使い方・例文」を解説!/

「鰻登り」の使い方・例文

それでは「鰻登り」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新社長が就任してからというもの、わが社の業績は好調続きで株価も鰻登りに上昇している。
2.このロックバンドはデビューしてすぐ鰻登りに人気が出て、今ではいろんなメディアにひっぱりだこだ。
3.最近は毎日猛暑で、朝早くから気温が鰻登りにあがっているため、病院には熱中症患者が後を絶たない。

例文の通り、「鰻登り」は程度や段階が急速に上昇していく様子を表します。

例文1は、株価や物価の急激な上昇に用いられていますね。このような使い方はニュースなどで聞いたことがあるかも知れません。
例文2のように、評価や人気が上がっていくことに対しても「鰻登り」を用いることが出来ます。
例文3は気温の上昇を表現していますね。こちらも天気予報やニュースなどでしばしば使われるでしょう。

「鰻登り」の類義語は?違いは?

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「鰻登り」の類義語には「右肩上がり」や「高騰」などが挙げられるぞ。

その1「右肩上がり」

右肩上がり(みぎかたあがり)」は、上昇傾向が持続すると言う意味です。上昇している様子を折れ線グラフなどで表すと、右の方に行くにしたがって上がっていきますね。つまり、後になるほど数値が上がること、状態がよくなること。この様子を「右肩上がり」と表現するのです。

主にグラフなどに表すことの多い経済や、各種の成績などに用いられることが多いでしょう。

\次のページで「その2その2「高騰」」を解説!/

その2その2「高騰」

高騰」の読み方は「こうとう」です。「高」は高いと言う意味の漢字、「騰」は、あがる、のぼると言う意味を持っています。つまり、(価格などが)高く上がる、と言う意味ですね。

「高騰」は、主に物価、株価、相場などの上昇に用いられます。

「鰻登り」の対義語は?

「鰻登り」の対義語は「下落」です。

「下落」

下落(げらく)」もまた、ニュースなどで良く耳にしたことがあるでしょう。株価や値段などが、下がることを言いますね。また、物事の価値がさがることにも用いられます。現代では「下落」と言えばほとんどこの意味で使われるでしょう。
しかし近代小説では、人間の評価がさがる様子を「下落」と表現している文章もみかけます。その他にも、近代文学以前の文献では単に落下することを「下落」と言ったり、物事が決着することを「下落」としたりする文章もありますので併せて覚えておきましょう。

また、株価や相場などでは特に程度がひどい下落のことは「暴落」と言いますね。こちらも日常で耳にする言葉ですから、覚えておくと良いでしょう。

「鰻」を使った表現

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「鰻」は、日本人が古くから食していた魚です。万葉集の中にも「鰻」の記載(当時の表記は武奈伎)があるほどで、実際にはもっと古くから食べられていたのではと考えられています。このように、日本人に馴染み深い「鰻」ですから「鰻」を使った言葉は少なくありません。その中からいくつか紹介しましょう。

「鰻の寝床」は、細長い鰻が川底の泥のしたや岩のすき間など細くて長い場所にひそむことから、間口が狭くて奥行の長い建物、 場所や間取りのことを言う慣用句です。

「山の芋鰻になる」は、あるはずのないことが現実に起こる、と言う意味のことわざで、身分が低い人が突然出世する、と言う意味も持っています。

「鰻の木登り」は、鰻が木登りなどできないと言う例えで、できるわけがない、と言うことを表現したことわざです。

このように、慣用句やことわざは身近な物事を例えにしたものが多くあります。

「鰻登り」を使いこなそう

この記事では「鰻登り」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「鰻登り」は、良い意味でも悪い意味でも使うことができますが、「人気が鰻登り」「売り上げが鰻登り」など、良い意味で使われることが多い言葉です。私達日本人が「鰻」に対して良いイメージがあるからかも知れませんね。「鰻登り」は良い事に対して使った方がしっくりくるでしょう。

また「鰻」と言えば「土用の丑の日」が連想されますね。このように、「鰻」を食べる行事があることからもわかるように「鰻」は、古くから日本人が好んで食してきた魚です。「鰻」を使った言葉が多くあるのもうなずけます。

食文化もまた、慣用句やことわざなどの言葉を数多く生み出してきました。食文化の変化と共に、新しい言葉も生まれてくるかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「鰻登り」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「鰻登り」について解説する。

端的に言えば鰻登りの意味は「物事の程度が急激に上昇すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「鰻登り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「鰻登り」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「鰻登り」の意味や語源・使い方まとめ

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鰻登り」は「うなぎのぼり」と読みます。ニュースなどでもしばしば使われる言葉ですから、聞いた事があるかも知れません。「鰻登り」は、簡単に言うと「上昇する」と言う意味ですね。しかし、なぜ「鰻」が使われているのでしょう。

それでは早速「鰻登り」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鰻登り」の意味は?

まず初めに「鰻登り」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「鰻登り」には、次のような意味があります。

1.気温・物価・評価などが見る間に上がったり、物事の件数・回数が急激に増えたりすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鰻上り/鰻登り」

2.物事の程度・段階が、驚くほど急激な勢いで上がること

出典:新明解国語辞典(三省堂)「鰻登り」

「鰻登り」とは、気温や物価、評価など、物事の程度や段階が急激に上昇する、と言う意味です。ニュースなどでは、特に経済で物価や株価などに用いられるでしょう。その他、人気があがることにも「鰻登り」を用いることがあります。

また「鰻登り」と「鰻上り」、どちらの漢字を使っても良いでしょう。

似た言葉に「鯉の滝登り」があり、しばしば間違えられることがあるようです。「鯉の滝登り」は、立身出世することの例えですから全く意味が違いますね。誤用しないよう気をつけましょう。

「鰻登り」の語源は?

次に「鰻登り」の語源を確認しておきましょう。「鰻登り」の由来には二つ説がありますので紹介します。

一つめは、鰻が川を上ってくる時に、どんな急流やどんな急勾配の川でも、体をくねらせることで上へ登っていく事ができることから、と言う説です。鰻は海で生まれ、その後、川を上り上流で成長していくと言われています。

もう一つは、鰻を手で捕まえようとすると、つるつると上に向かって逃げてしまうことから「鰻登り」と言うようになったと言う考えです。

どちらが正しい由来かはわかりませんが、鰻の習性を良く知っている日本人だからこそ生まれた慣用句ですね。

\次のページで「「鰻登り」の使い方・例文」を解説!/

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