この記事では「医は仁術」について解説する。

端的に言えば医は仁術の意味は「医療は思いやり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大手企業に35年以上勤務し仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つベテランのKAIKAIを呼んです。一緒に「医は仁術」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の意味には自信あり。

「医は仁術」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「医は仁術」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「医は仁術」の意味は?

「医は仁術」には、ネット上の国語辞典では次のような意味があります。

医術は、人を治療することによって人徳を施す術である。

出典:デジタル大辞泉 コトバンク(小学館)「医は仁術」

「医は仁術」(いはじんじゅつ)とは、「医療というものは、病気を治すためのものものではなく、人を思いやることが大切である」ということです。「医」とは、「医療」を意味し、「仁」とは、「思いやり」の意味になります。「術」とは、「能力」とか「職業」のことです。

「医は仁術」の語源は?

「医は仁術」の語源は、江戸時代の学者である貝原益軒(読み方はかいばらえきけん)が著した医療の指南書である「養生訓」(ようじょうくん)にあります。「養生」とは「健康法」という意味です。貝原はこの著書の中で「仁愛の心を本として、人を救ふを以て志とすべし。我が身の利養をもっぱらに志すべからず」と述べています。これは、「人をいつくしむ心をもって、人を救おうという志をそなえていることが大事で、自分がもうける手段や方法だけを考えていてはいけない」と訳されているのです。

\次のページで「「医は仁術」の使い方・例文」を解説!/

「医は仁術」の使い方・例文

「医は仁術」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.医は仁術というけれど、このことを念頭にしている医師会の理事は何人いるのだろうか。
2.あなたの主治医は医は仁術をモットーとしているすばらしい先生だ。
3.現代の医療制度の中で医は仁術を貫くことは困難だろう。

1の例文は医者というものは人をいつくしむものなのに、その気がない医者が多いことを嘆いています。2の例文は、人によりそうことを心がけているりっぱな医者がいるということを称賛しているのです。3の例文では、現代の社会の仕組みの中では自分の利益を考えずに人のためにつくすということは構造上困難であることを言っています。

「医は仁術」の類義語は?違いは?

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「医は仁術」の類義語はあるのでしょうか。

その1「医は意なり」

「医は意なり」とは、「医療とは自分で考えたり、工夫したりすることによって会得するものであり、口頭の説明や著書などによって悟ることができないものである」という意味です。語源は中国の唐の時代の許胤宗が著書を進められた時にこう言ったとされています。「意なり」を「威なり」とか「異なり」と読み替えて医者に、自分たちの慢心を戒める座右の銘として使われることが多いことわざです。

\次のページで「その2「医者と味噌は古いほどよい」」を解説!/

その2「医者と味噌は古いほどよい」

「医者と味噌は古いほどよい」とは、「味噌が年月を経た熟成されたものがうまいのと同じように、医者も経験を積んだ人ほど安心して治療をまかせられる」という意味で使われています。同じ意味をもつことわざとして、「新しい医者と新しい墓へは行くな」「医者と坊主は年より程よい」や「医者と唐茄子は年寄る程よい」などがあるのです。

「医は仁術」の対義語は?

「医は仁術」の対義語は何でしょうか。

その1「医者の不養生」

「医者の不養生」とは、医者は患者に養生することはすすめるけれども自分自身のことになると、後回しにしてなかなか養生しないことから「理屈ではわかっているけれども自分ではそのような行動をなかなかとらない」ことを言います。儀玄は江戸時代の医学者の平賀源内の著書にある「医者の不養生、坊主の不信心」という一節からです。「そんなに大酒飲んでたばこを吸ってたら、まるで医者の不養生を絵に描いたようだ」などと使われます。

医者以外でも、指導する立場の人が、他人には説教したりするが自分のこととなると何もしないことに対して使われますね。

その2「藪医者の玄関」

「藪医者の玄関」(読み方は「やぶいしゃのげんかん」)とは、「見えばかりを気にして腕がともなわない医者のこと」を言います。似たようなことわざに「藪医者の只今」(読み方は「やぶいしゃのただいま」)ということわざがあるのです。これは、往診を頼まれた医者が「ただいま参ります」などと言いながらも待てども待てども来てくれないことのたとえから、「信用できない約束をする」という意味になります。

その3「医者上手にかかり下手」

ことわざの「医者上手にかかり下手」は、どんなに名のとおった医者でも患者が信用していなければ病気は治らないということから「物事をおこなうにはパートナーを信頼しなければ成功しない」という意味で使われるようになったのです。「得意な科目の授業を受けるのに、先生が嫌いということは、医者上手にかかり下手ということになるな」などと使われます。

「医は仁術」の英訳は?

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「医は仁術」は英語訳では何と言うのでしょうか。

\次のページで「「Humanistic medicine」」を解説!/

「Humanistic medicine」

「Humanistic medicine」は直訳すると「人道主義な医療」という意味になります。あるいは「Medicine is a benevolent art」は直訳すると「医療は慈悲深い術である」という意味です。いずれも日本語に意訳すると「医は仁術」となります。単語だけであてはまるものはありません。

「医は仁術」を使いこなそう

最近は医療技術も発達して難病と言われていた病気も治るようになってきました。しかし、どうしても完全に治癒できない病気もあり、患者の残された時間を充実させる「緩和ケア」や「終末医療」という考えも広まってきています。そういったなかで「医は仁術」という意味機械的に治療するのではなく、「人間中心としたもので、患者の意思を尊重した治療をするべき」という意味で使われるようになってきました。時代とともに言葉の意味も変化するものです。

医者をめざして勉強している人がいると思います。そういった人は「医は仁術」ということわざを座右の銘として勉強に励んでいただきたいものです。また、病気で治療えを受けている人は、そういったこころざしを持つ医者を見つけて充実した人生を送れるようにしたいこのですね。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「医は仁術」の意味や使い方は?例文や類語をたくさんの文章を扱ってきたライターがわかりやすく解説!

この記事では「医は仁術」について解説する。

端的に言えば医は仁術の意味は「医療は思いやり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大手企業に35年以上勤務し仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つベテランのKAIKAIを呼んです。一緒に「医は仁術」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の意味には自信あり。

「医は仁術」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「医は仁術」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「医は仁術」の意味は?

「医は仁術」には、ネット上の国語辞典では次のような意味があります。

医術は、人を治療することによって人徳を施す術である。

出典:デジタル大辞泉 コトバンク(小学館)「医は仁術」

「医は仁術」(いはじんじゅつ)とは、「医療というものは、病気を治すためのものものではなく、人を思いやることが大切である」ということです。「医」とは、「医療」を意味し、「仁」とは、「思いやり」の意味になります。「術」とは、「能力」とか「職業」のことです。

「医は仁術」の語源は?

「医は仁術」の語源は、江戸時代の学者である貝原益軒(読み方はかいばらえきけん)が著した医療の指南書である「養生訓」(ようじょうくん)にあります。「養生」とは「健康法」という意味です。貝原はこの著書の中で「仁愛の心を本として、人を救ふを以て志とすべし。我が身の利養をもっぱらに志すべからず」と述べています。これは、「人をいつくしむ心をもって、人を救おうという志をそなえていることが大事で、自分がもうける手段や方法だけを考えていてはいけない」と訳されているのです。

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