

今回はドラゴン桜2の15巻より、なんと19ページを無料で公開。不安を払拭しながら、過去問演習の効果を最大限にまで引き出すルールについて、元国語科教員のライターminの考察付きで解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/min
高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。
まずは「ドラゴン桜式・試験直前の過去問演習ルール」をチェック!
始めに以下の漫画を読んでみてください。東大の二次試験本番が35日後にまで迫った日。桜木は東大専科の生徒たちに、試験直前期の過ごし方について指南します。大勝負を目前とした生徒たちに、桜木が言い放った言葉は「過去問を25年分解け!」
「そんなに解くの?」と驚く生徒たち。桜木には一体どのような意図があるのでしょうか。受験直前期、誰もが取り組む「過去問演習」の大事なポイントを一緒に確認していきましょう。



















試験直前は過去問に徹底集中!
受験直前の時期、受験生は多くの不安にさらされることでしょう。そんな時期において恐ろしいのは「最後に何をすべきだろうか」という迷いが生じることです。迷いによって心がさらに不安定になると、何をやっても最大限の効果が出ず、それによって更に不安になるという最悪のサイクルを招きかねません。
しかし「過去問を25年分ひたすら解く」という明確な目的が与えられていれば、余計な迷いを払拭することに繋がります。また「過去問を10年分解いた学生の合格率は20%以上」というデータもある通り、過去問の演習は非常に効果があるのは事実です。あれこれ迷って手を出すよりも、迷う時間を短縮し「過去問ひたすらをやる」と決めた道をまっすぐ進むことが、この時期の受験生にとって最適な対策だと言えるでしょう。
「ドラゴン桜式・過去問演習」のポイントはここだ!
ではここからは、受験直前期の過去問演習の際に意識すべきことについて、さらに詳しく考察していきます。桜木が熱く語る「直前期の極意」、その3つのポイントを1つ1つ確認していきましょう。
その1:用意する過去問は「25年分」
予備校のデータでは「10年分解けば合格率が上がる」というものでしたが、本番まであと1ヶ月であれば、「10年分」だと半端に時間が余ってしまうでしょう。では、その時間に何をするか…つまり、そうして隙間時間ができることで、そこに迷いが生じることになるのです。
しかし、25年分であれば生徒が言う通り「35日で25年分」は「約3日で2年分」のペースで、迷う時間も生じないほどのスケジュールになります。もちろん、メンタル面のメリットだけではありません。東大に限らず、大学独自の試験問題にはその学校ごとの独特の形態や傾向が存在します。多く解けば解くほどその傾向に慣れることができますし、似た問題に出会える可能性も高まるでしょう。
「でも25年分もどうやって集めるの?」と思った方もいるかもしれません。これはあくまで参考までにですが、筆者の母校・勤務先の学校では、進路指導室・高校3年生の職員室などに古い過去問がストックされていました。塾に通っている人は塾にもあるかもしれません。一度周りの先生に相談してみましょう。
その2:やりきれるスケジュールを設定し毎日を過ごす
「25年分の過去問演習」において重要なのが「スケジュール設定」です。
「25年分解く」と決めて取り組み始めても、スケジュールを固めておかなければ、終盤になって「これ、全部できないかも…」なんてことになりかねません。「全部やりきれなかった」という悔いを抱えて本番を迎えることだけは避けたいですよね。逆に、しっかりプランを立ててやり遂げれば「やりきった!」という自信を持って本番に臨むことができるのです。過去問演習を軸にしたスケジュール設定を行い、最後までやり遂げられる計画を立てましょう。
受験本番は緊張感でいっぱいになります。特に「ここまで頑張ってきた」という思いがあればあるほどです。筆者もあまりメンタルが強くなく、本番は不安だらけでしたが、「自分はやりきったから大丈夫」という事実が一番の心の支えになりました。悔いを残さないためにも、スケジュール設定はしっかり行うようにしましょう。
その3:決戦前の鉄則「3つのS」
最後は特に桜木が強調していた「3つのS」についてです。「直前期の25年分の過去問演習」のメソッドはこの「S」の中に詰まっています。
まずは「Speed」です。何を始めるにも早いに越したことはありません。準備不足でもいいから、迷う前に始めろ!ということですね。次に「Simple」。「あれこれと手を出さない」というのがこのポイントです。その1、その2で紹介した「迷いを生じさせない」ことに繋がり、またポイントを絞ることで必要な力を集中して高めることができます。最後の「System」は「仕組み作り」です。これはその2で考察した「スケジュール管理」に通じます。最も効率の良い計画を作成し、それにしたがって行動していくことが重要ということです。
受験だけでなく、何か大勝負を目前に控えた時期には、この「3つのS」を意識することで、湧いてくる不安やネガティブな思考を排除することに繋がります。始めに仕組みを整えてそれを淡々とこなすことができれば、確実に成果を出すことができるのです。
試験直前の迷いは大敵
ここまでストイックに過去問をこなす勉強法。「直前期に大変すぎない?」「他の対策やらなくていいの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、この時期は合格まで1分1秒も無駄にできません。迷ったり考えたりしている間にも、刻一刻と時間は減っていきます。
筆者が受験生時代にお世話になった先生はいつも「迷ったり悩んだりしていても偏差値は上がらないが、その間に問題を解けば偏差値が上がる」と言っていました。一見スパルタのように思える指導かもしれませんが、とても合理的な考え方です。
桜木が指南するこの「25年分の過去問演習」も同じ理屈だと言えます。特に直前期は、ぶれない方針が無ければ迷いが生じ、有意義に過ごすことができなくなるでしょう。大勝負の前こそ「3つのS」を意識し、対策を仕組み化することで、本番に向け着実に力をつけることに繋がるということです。
元国語科教員の筆者の感想
「本番1ヶ月前」からの直前期の大変さは、筆者自身も受験生時代や教員時代に経験しました。余計な感情を省かなければ、と思いつつもなかなか難しいというのが現実だと思います。
しかしこの時期は「迷ったり悩んだりする暇はない」というのも現実です。ここでジタバタするよりも、潔く「過去問を解く」ということに集中することができる精神力が、受験を制する上では非常に重要なのかもしれません。筆者も「悩むくらいなら勉強して偏差値を上げろ!」と言われていましたが、それは今でも「悩むくらいなら行動しろ!」という意味で心に残っています。
また、「仕組みを作る」ことで、さらにそれが有意義なものになることも見逃せないポイントだと感じました。「スピーディー」に「シンプル」な「システム」を作り「これさえやってれば大丈夫だ」と自分を信じて取り組むこと、これは資格試験の対策や仕事の重要な場面など、受験以外においても非常に重要な心がけとなるのではないでしょうか。
最後まで自分を信じてやり抜こう
「試験直前の過去問演習のルール」について、理解を深めていただけたでしょうか。直前期の過去問演習をどう取り組むかで、大きく差がつくというのは事実です。「3つのS」を軸に過去問対策スケジュールを立てたら、自分を信じて一直線に合格まで突き進んでいきましょう。