今回は厳しい自然界の掟、「捕食」と「被食」がテーマです。捕食は他の生き物を捕まえて食べる事、そして被食は食べられることです。例えば森でオオカミがウサギを捕まえて食べる、するとオオカミが捕食してウサギは被食されたことになる。

皆は毎日食事をし、栄養を取っているでしょう。肉や魚も食べているな。動物を食べる人間は捕食者でしょうか被食者でしょうか。捕食者とは食べる方、被食者とは食べられる方になる。そして人間は捕食者のトップグループに位置している。

今回は捕食と被食について説明し、その種類を紹介する。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

まだまだ勉強中の国立大学工学部化学系出身の科学館職員。大学ではこれからの社会に役立つ研究がしたいと資源を活かした再生可能エネルギーの研究をしていた。理科教育に関わりたくて理系に進んだので、科学館での仕事が大好き。科学にまつわる雑学も好きで本やネット、新聞から日々情報を集めている。

捕食と被食

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先程桜木先生が説明していましたが、改めて捕食と被食の意味を説明いたします。

捕食をコトバンクで調べてみると

生物が他種の生物を捕えて食べること

と書かれています。捕食の「捕」は逮捕の「捕」、捕まえるという意味です。反対に被食は捕まって食べられることになります。「被」とは他から何かをされるという意味で、事件で危害を加えられた方のことを被害者と言ったりしますね。そしてこの関係にある生き物のことを捕食者被食者と言います。

捕食者と被食者とは?

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捕食者と被食者をコトバンクで調べると以下のように書かれています。

捕食者

諸種の動物間において、ライオンがキリンその他を、ネコがネズミを、またカマキリが小昆虫を食うように、一方の動物が他の動物を捕え食う場合の前者をさしていう

被食者

生態学において、捕食者に対して捕食される生物。一般に捕食者より体が小さく運動力も小さいが、個体数が多い

食べる方と食べられる方、とシンプルに考えるとわかりやすいですね。被食者と捕食者を比べると被食者の方が弱く個体が多く、捕食者の方が強く個体の数が少なくなています。もし草食動物が少ないと、小型肉食動物と大型肉食動物に食い尽くされてしまいますね。そんなことが起こらないよう、自然界の動物の数では食べられる被食者の方が多くなっています。

\次のページで「生態系と生態ピラミッド」を解説!/

生態系と生態ピラミッド

生態系と生態ピラミッド

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草を食べる草食動物第1次消費者と言います。これは例えばウサギやキリンなどのことです。そしてこの草食動物を食べるのが小型肉食動物第2次消費者と言います。この小型肉食動物は例えばキツネやイタチなどです。海の中では小型魚類もこちらに分類されます。そして小型肉食動物を食べるのが大型肉食動物第3次消費者です。大型肉食動物とは例えば が分類されます。もちろん、第3次消費者の大型肉食動物が第1次消費者の草食動物を食べることもあるのです。

この関係を図に表したものは生態ピラミッドと呼ばれています。これは捕食、被食の関係で動物の数を分類する下(生産者)が多く、上に行くほど少なくなりピラミッドのような形になっているからです。生態とは生物が自然で暮らす様子のことを指し、動物と環境のことを生態系といいます。

生態ピラミッドやその例外について知りたい人にはこちらの記事がおすすめです。

崩れたピラミッド

被食者と捕食者を比べると捕食者の方が多くなっていることはさっき説明しました。ではこの数の関係が何らかの影響で極端に増加したり減少して崩れた場合、どうなるでしょうか。

例えば植物が減ったとします。すると次のような事が起こるのです。

 植物が減る

⇒植物を食べる草食動物が減る

⇒草食動物を食べる肉食動物が減る

⇒草食動物に食べられる植物・肉食動物に食べられる草食動物が増える

⇒草食動物を食べる肉食動物が増える

減った植物も動物もまた戻っていますね。エサが減れば食べる動物も減り、食べる動物が減れば食べられる植物や動物は増えます。というわけで生物の数が多少増減して生物のつり合いが一時的に崩れたとしてもやがて元に戻るのです。

しかしそこにはいないはずの外来種が爆発的に増えたり、逆に絶滅してそこにいた生き物がいなくなってしまうと崩れたピラミッドは戻れず破壊されてしまうこともあります。生態ピラミッドが壊れないよう、環境を今あるまま残すのは大切な事なのです。

頂点捕食者

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猫に食べられてしまうネズミですが、ネズミは小さな虫などの他の動物を食べています。そしてカマキリは小昆虫を食べる捕食者とありますが、そのカマキリを鳥やその他の動物に食べてしまうこともありますね。

つまり動物によっては被食者にも捕食者にもなるのです。そして基本的に他の動物に捕まえられて食べられることのない動物を「頂点捕食者」と言います。皆さんは自分よりも強い動物に食べられそうになった経験がありますか?ほとんどの人はないでしょう。それは人間が生態ピラミッドの頂点に立つ頂点捕食者になるからです。ただし絶対に食べられないわけではありません。人間が他の大型動物に襲われる事故は時々ニュースになっていますね。またある地域によっては頂点捕食者が他の地域では食べられてしまう場合もあります。

どんな動物が頂点捕食者となるのでしょうか。頂点捕食者として次の動物が知られています。

 ・二シキヘビ、アミメニシキヘビ、オオアナコンダ

 ・オオカミ

 ・ジャガー

 ・オオヒキガエル

 ・グンタイアリ

 ・ツキノワグマ

 ・ホッキョクグマ

 ・ライオン

鳥類

 ・オオワシ、イヌワシ

 ・ハヤブサ

 ・ミミズク

水辺

 ・アメリカアリゲーター

 ・アメリカワニ

 ・オオメジロザメ

 ・ワニガメ

いかにもの大型肉食動物もいれば意外なものもいますね。

熱帯雨林に生息するグンタイアリは列を作って行動し、まるで軍隊のように獲物に襲い掛かります。とても凶暴な性格のため、大型の肉食動物からも恐れられていて中南米の食物連鎖の真の頂点ではとも言われている生き物です。ただし、それでもグンタイアリに対抗する手段を持った生き物もいます。オオヒキガエルは大きいものでも15㎝ほどで小型哺乳類くらいまでしか食べません。しかし毒を持っているので敵に襲われる心配があまりありません。

すでに絶滅してしまった頂点捕食者としてはティラノサウルスやモササウルスなどがいます。

食物連鎖

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自然界で生物同士が食べて食べられる関係を食物連鎖と言います。生態系ピラミッドでも説明しましたがこの関係は必ず植物から始まり、植物は生産者と言われるのでしたね。そして植物を食べる例えばキリンやウサギなどの草食動物が第一次消費者、小型の肉食動物が第二次消費者、大型の肉食動物が第三次消費者となり、上に行くほどどんどん数が減っていきます。

ところで、頂点に立つ大型肉食動物ですが、本当に誰の栄養にもならないのでしょうか。実は大型肉食動物ももちろん栄養となります。ここで登場するのが分解者です。土の中にいる微生物は大型肉食動物はもちろん、小型肉食動物や草食動物の死骸、そして落ち葉を分解します。そしてそれが植物の栄養になってまた他の動物に食べられていく、自然にはこのようなサイクルがあるのですね。

捕食と被食

動物はみな何かを食べて生きています。人間も肉や魚を食べていますね。動物の食べる、食べられるという関係を「捕食」、「被食」と言います。

捕食と被食の関係を図にしたものが「生態ピラミッド」です。生態ピラミッドを見ると、上位の動物になればなるほど数が減っているのが分かりますね。このピラミッドの形は一時的に歪むことがあっても、環境が戻ればやがて正常に戻ります。ただし、そのまま絶滅してしまうこともあるのです。そうならないためにも自然環境を保つ必要があります。

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理科生態系生物生物の分類・進化

「捕食」と「 被食」とは?うさぎはどっちに当てはまる?自然界の掟を科学館職員が分かりやすくわかりやすく解説!

今回は厳しい自然界の掟、「捕食」と「被食」がテーマです。捕食は他の生き物を捕まえて食べる事、そして被食は食べられることです。例えば森でオオカミがウサギを捕まえて食べる、するとオオカミが捕食してウサギは被食されたことになる。

皆は毎日食事をし、栄養を取っているでしょう。肉や魚も食べているな。動物を食べる人間は捕食者でしょうか被食者でしょうか。捕食者とは食べる方、被食者とは食べられる方になる。そして人間は捕食者のトップグループに位置している。

今回は捕食と被食について説明し、その種類を紹介する。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

まだまだ勉強中の国立大学工学部化学系出身の科学館職員。大学ではこれからの社会に役立つ研究がしたいと資源を活かした再生可能エネルギーの研究をしていた。理科教育に関わりたくて理系に進んだので、科学館での仕事が大好き。科学にまつわる雑学も好きで本やネット、新聞から日々情報を集めている。

捕食と被食

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先程桜木先生が説明していましたが、改めて捕食と被食の意味を説明いたします。

捕食をコトバンクで調べてみると

生物が他種の生物を捕えて食べること

と書かれています。捕食の「捕」は逮捕の「捕」、捕まえるという意味です。反対に被食は捕まって食べられることになります。「被」とは他から何かをされるという意味で、事件で危害を加えられた方のことを被害者と言ったりしますね。そしてこの関係にある生き物のことを捕食者被食者と言います。

捕食者と被食者とは?

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捕食者と被食者をコトバンクで調べると以下のように書かれています。

捕食者

諸種の動物間において、ライオンがキリンその他を、ネコがネズミを、またカマキリが小昆虫を食うように、一方の動物が他の動物を捕え食う場合の前者をさしていう

被食者

生態学において、捕食者に対して捕食される生物。一般に捕食者より体が小さく運動力も小さいが、個体数が多い

食べる方と食べられる方、とシンプルに考えるとわかりやすいですね。被食者と捕食者を比べると被食者の方が弱く個体が多く、捕食者の方が強く個体の数が少なくなています。もし草食動物が少ないと、小型肉食動物と大型肉食動物に食い尽くされてしまいますね。そんなことが起こらないよう、自然界の動物の数では食べられる被食者の方が多くなっています。

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