

今回はドラゴン桜2の5巻より、なんと12ページを無料で公開。「浮気性の受験生は落ちる」という格言の意図を、元国語科教員のライターminの考察付きで解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/min
高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。
まずは「ドラゴン桜式勉強法・浮気性の受験生は落ちる」の解説をチェック!
早速、以下の漫画に目を通してみてください。早々とリスニング対策をスタートさせる東大専科。その様子を見た、文系トップの成績を誇る小杉は、「今の勉強スタイルを見直し、自分もリスニング対策をやるべきだろうか」と不安に駆られます。
小杉はそのことを担任の田村先生に相談。さらに田村先生は東大専科担任の水野に「東大のリスニング対策について知りたい」と相談を持ちかけます。しかしその話を聞いた桜木は「小杉に今リスニング対策はさせない」と一言。
一体桜木にはどのような意図があるのでしょうか?一緒に確かめていきましょう。












受験においても「浮気」は厳禁
受験対策の選択肢は多種多様です。勉強法、環境、教材など、自分にとっての「一番の近道」や「ベストな方法」を探してやってみては、周りの噂や様子を前にして「こっちのやり方の方がいいかも…」と方向転換したくなる気持ちは大いにわかります。
しかし、受験勉強に「これをやればすぐ成績が上がる!」という特効薬はありません。筆者も受験生時代、先生にはいつも「頑張った成果が出るのは3ヶ月後」と言われていました。コツコツ1つのことをしっかりやり続けるのと、せっかく続けていたことをやめ、別のやり方に浮気して1からやることを繰り返すのとでは、数ヶ月後の効果に差がつくことは想像に難くないでしょう。
「ドラゴン桜式・浮気対策」ポイントはここだ!
とはいえ、長期的に何かをやり遂げることにおいて「浮気」は大敵です。具体的には、どのような考えを持って臨む必要があるのでしょうか。ここからはドラゴン桜式・浮気対策」について、詳しく見ていきましょう。
その1:ストロングポイントを見極める
漫画の中で才女として登場する小杉さんは、英語において自分の勉強スタイルを既に確立しており、それによって成果を得て着実に力をつけていました。確かに、リスニングができるようになればより彼女の英語力は盤石なものとなるかもしれません。しかし、現状でそれだけの強みを保っているところに別の勉強法を食い込ませれば、彼女の強みを保つバランスが崩れてしまう恐れがあります。
人にはそれぞれ「ストロングポイント」があり、何が得意で、どのようなやり方が合っているかは最終的には人によって異なるのです。まずは自分の「ストロングポイント」を見極め、「それが何によって保ってているのか」を明確化し、持続することで揺るぎない実力として固めていくことが重要になります。
その2:一度決めたら「腰を据えて」やり抜く
先述した通り、受験対策には多くの方法、メソッドが存在します。どれを信じてやり抜くかは自分次第ですが、常に「これでいいのかな」という不安とは隣り合わせになるものです。
しかし、「どの方法や教材を選ぶか」以上に大切なことは「腰を据えてやり抜く」こと。一度選んだ手段を「本当にこれでいいのか」と疑心暗鬼で中途半端に取り組むよりも、「これを完璧にしてみせる!」と、決めたことを信じてやり抜く方が安定して力をつけることができるのです。
実際に、小杉は漫画の中で、「何度も教科書を読み込む学習で成績を保っている」と紹介されています。また、筆者自身も各教科、愛用の参考書をボロボロになるまでやり込みました。そうして1つのこととことんをやり抜くことは、「自分はこれだけやり遂げたから大丈夫だ」という自信にもつながります。
その3:周りに流されない
受験においてはこれが一番難しい課題かもしれません。周りと自分を比較して不安になると、どうしても「あの子のやり方の方がいいのかな」「このままじゃダメかも」という思考に陥りがちです。
しかし、きっとそんな不安に駆られることは一度や二度ではありません。仮に一度浮気をしてやり方を変えてしまった後でも、また別のやり方に流されそうになったり、「前のやり方の方がよかったのかな」と戻りたくなったりしてしまうかもしれません。
そうなるくらいなら、一度やると決めたことは、自分を信じてしっかりやり抜く方がぶれずに実力を養うことにつながります。そして、周りに流されずに決めたことをやり抜くためにも「自分のストロングポイントと向き合って手段を考えること」は非常に大切になるのです。
「やり遂げる」ことで成果になる
これは受験勉強以外のことにも当てはまることかもしれません。決めたことをしっかりと最後までやり遂げることは簡単なことではありません。周りに流されそうになったり、「こっちの方が楽だよ」なんて誘惑に負けそうになったり、誰にとっても難しい課題だと言えるでしょう。
しかし「浮気せずにやり遂げること」は、自分を大きく成長させてくれることは間違いありません。実力を身につけることができるだけでなく、「自分はやり遂げた」という達成感と自信を得ることができます。これが案外、自分の心の支えとなってくれるものです。筆者自身も、受験において「浮気せずにやり遂げた」という経験は、今でも時に自分を励ましてくれるものになっています。
元国語科教員の筆者の感想
受験や勉強における「浮気」というのは、どんなに成績優秀な人であっても、一度はその誘惑と戦うことになると言ってもいいほど、誰にでも起こりうる課題です。勉強法も多種多様になる昨今は特に、そんな誘惑を振り払うことが難しくなっています。筆者も受験生のとき、何度もそうした不安に駆られることがよくありましたし、受験生の担任をしていたときも、同じ悩みに駆られる生徒を多く目にしてきました。
つまりこれは、どの受験生にとっても、そうした条件や状況は同じであるということではないでしょうか。そのように正解がない状態での受験勉強の中で、最も大切なことは「目の前のことをどれだけ真剣にやり抜くのか」だと思います。自分のストロングポイントを見つめ「今やり抜くべきこと」が見えたら、自分を信じ猪突猛進で取り組んでみましょう。
「浮気厳禁」を忘れずに
受験において「浮気は厳禁」と言われる理由について、理解を深めていただけたでしょうか。
受験勉強はメンタル勝負と言われるほど、精神力が物を言います。大変なこともありますが、1つ1つ乗り越えていくことで、成績はもちろんのこと、将来的に役立つ精神力を養うことにもつながるでしょう。「周りに流されそう」「浮気しちゃいそう」というときは、ぜひ今回の記事を思い出し、自分を信じ抜いてくださいね。