理科生物細胞・生殖・遺伝

「受動輸送」とはどんな方法?細胞内外での物質のやりとりについて現役講師がわかりやすく解説

受動輸送では、物質が濃度勾配に逆らわず移動します。つまり、濃度の高い(濃い)ほうから低い(薄い)方へ、物質が動いていくのです。

これは、とても自然な現象ですよね。ブラックコーヒーに真っ白なミルクを注げば、カフェオレになります。一度混ざってしまったコーヒーとミルクは、元に戻すことができません。コーヒーだけ、ミルクだけが一か所に集まることはないはずです。

image by iStockphoto

液体でも気体でも、濃度の高いところから低いところへ物質が移動し、徐々に均一になっていきます。一般的な物理現象の一つです。このような現象は「拡散」とよばれます。

細胞でもこの拡散によっていろいろな物質が輸送されているのです。受動輸送では、基本的にエネルギーを必要としません。拡散は、移動する物質自身のもつ熱運動によって行われます。

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物資の拡散や熱運動といった話は、化学や物理の分野になってくる。より詳しく学びたいやつは、そちらの記事も参考にしてみてほしい。

反対に、能動輸送では物質を濃度勾配に逆らって移動させます。ある物質の濃度の高いところと低いところがあったとき、低いところからさらに高いところへ物質を送っていく輸送です。これは、受動輸送と違い、自然に起きる物理現象ではありません。

細胞内外で能動輸送を行うためには、エネルギーが必要です。例えば、細胞膜に存在する「ポンプ」とよばれる機構を、エネルギーを使って動かすことで、物質を移動させます。

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細胞の使うエネルギーといえば、ATPの分解によって生じるエネルギーだな。

image by Study-Z編集部

細胞では、受動輸送と能動輸送を上手に使い分けて物質の輸送を行っているのです。この、両者の違いは高校の生物学でも抑えておきたいポイントですね。

では、今回のテーマである受動輸送について、もう少し詳しく学んでいくことにしましょう。

受動輸送の種類

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