

端的に言えば気に障るの意味は「嫌な気持ちにさせる」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んだ。一緒に「気に障る」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/柊 雅子
イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。最近、何故か夫の言動が気に障ってしまうという彼女が慣用句「気に障る」について解説する。
「気に障る」の意味は?
「気に障る」には、次のような意味があります。
1.いやな気持ちを起こさせる。感情を害する。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「気に障る」
「気に障る」とは「嫌な気持ちにさせること」。
私の友達の実家は農業を営んでいます。農繁期の週末、キャベツを出荷するため、旦那さんも一緒に実家へお手伝いに行ったそうです。しかし、旦那さんは畑仕事などしたことがなく、ある時キャベツを詰めた段ボール一箱を落としてしまいました。その時、旦那さんは「弁償します。いくらですか?」と言ったそうです。実家のご両親が「そんなの、いいですよ」と言ってくれても「いや、払います。いくらですか?」と言い続けたとか。
この時、私の友人は「辛かった」と言いました。「お金を払えばそれでいいだろう。文句を言うな」…旦那さんがそう思っているように感じたそうです。実家のご両親も同じように感じていたようで「いいですよ」と言う言い方もぶっきらぼうになっていったとか。彼女の旦那さんの口からは一番大切な一言「すみません」が最後まで出なかったそうです。これでは実家のご両親も気に障ったことでしょう。
相手の気持ちを考えず自分の言いたい事を言い続けた結果、周りを嫌な気分にさせてしまった訳です。
「気に障る」の語源は?
次に「気に障る」の語源を確認しておきましょう。
「気に障る」の「気」は「気持ち」、「障る」は「妨げる」「害になる」という意味。この二つの漢字の意味から、「気に障る」は「気持ちにとって害になる」という意味になり、「嫌な気持ちになる」という意味合いになりました。
ところで「気障」と書いて「キザ」と読みます。関西言葉でいうところの「ええ格好しぃ」ですね。「ええ格好しぃ」とは他人に良いところをみせようとする人のこと。「気障」と意味合いが似た言葉に「スマート」がありますが、この二つの言葉の違いは何でしょう。「スマート」という言葉には洗練されている感覚が伴いますが「気障」にはそれがありません。「気障」はただの「ええ格好しぃ」というだけです。だから「気に障る」のですね。
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