この記事では「物の見事に」について解説する。
端的に言えば「物の見事に」の意味は「あざやかなさま、見事なさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「物の見事に」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「物の見事に」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「物の見事に」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「物の見事に」の意味は?

「物の見事に」には、次のような意味があります。

(「見事」を強めた表現) たいそう見事であるさま。まことに立派に。たいへん鮮やかに。

出典:コトバンク

「物の見事に」は完全に行われたことを誇張する様子を表します好ましい場合についても好ましくない場合についても用いられますよ。話者の予想した結果が予想以上に完全に行われたことを誇張するニュアンスで、感嘆・あきれ・皮肉などの暗示がこもります

「物の見事に」の語源は?

「物の見事に」の語源ははっきりとはわかっていませんが、「物の見事に」の「ものの」は「見事」を強調する表現です。それでは「物」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「物」は「牛」とさまざまな色の意味の音を示す文字とを合わせた字。色の混じった牛のことから、さまざまな色や形をした「もの」の意味に使われるようになりました。

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「物の見事に」の使い方・例文

「物の見事に」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.清原は開幕チームでホームランを打つと豪語していたが、もののみごとに場外アーチを放った。

2.林原は先生の忠告を無視して東大を受けたら、案の定もののみごとに落っこったよ。

3.もののみごとに息を吹き返した白鷺城(姫路城)は日本の宝だ。

4.小僧はもののみごとに門前払いを食わされた。他にも方法はある諦めないぞ。

5.母はもののみごとにミシンを壊して、途中でやめることがどれほどもったいないことかを息子に説いた。

例文1からは野球については門外漢の人でも、彼がスター的存在なのは言うまでもなくおわかりいただけるでしょう。例文2の林原君はお試しで受けた診断テストの結果もすべてE判定、努力の甲斐もむなしく元の木阿弥となってしまったようです。また、例文3では姫路城の門戸や階段部分が漆喰で塗り固められる保存修理が行われ、よみがえった様子を伝えています。例文4からは問答無用で断られたが、簡単には諦めない小僧さんの頼もしさが伺えますし、例文5はことわざ「孟母断機の教え」を再現し、仕事道具を壊してでも続けることの大切さを、物心ついた息子に教え諭したかったことが読み取れますね。

「物の見事に」の類義語は?違いは?

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「物の見事に」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「立派」

「立派」は非常に優れている様子を表しますよ。「こんなに立派な物をいただいて恐縮です」は非常に価値がある、高価だという意味、「誹謗中傷にも動じない彼の態度はりっぱだった」は賞賛すべきだという意味、「先生、お久しぶりです。いやあ、りっぱになったなあ」は全体的な印象が大きくて優れているという意味、「奴は言うことはりっぱだが、やることは最低だ」は揶揄的に用いられた例で、いちおう筋が通っているという意味。「やっと課長のOKとったよ。リッパ」は感動詞的に用いられる現代語用法。しばしばカタカナ書きされます。相手の行為が賞賛に値するという意味ですが、感動の暗示は少なくなかばあきれているニュアンスさえ暗示されていますよ。

「立派」は対象が非常に優れている様子を表す語ですが、その対象はある程度の大きさが必要で、威厳・貫禄・高価・豪壮などの暗示があり小さいものについてはあまり用いられません。そのため「隣の家は立派なチワワを飼っている」「彼女は立派な宝石を買った」は不適切な表現となり、正しくは「隣の家は立派な秋田犬を飼っている」「彼女は見事な宝石を買った」となります。「立派」は対象がすぐれていることについてとても客観的なニュアンスがあり、対象についての感動などは原則として暗示しません。この点で「素晴らしい」「見事」と異なります。なお「物の見事に」との違いは、「物の見事に」は好ましい場合についても好ましくない場合についても用いられるという点。

その2「見事」

「見事」は非常に優れていて感嘆すべき様子を表す形容詞。「通りの桜並木はじつにみごとだね」が基本的な用法、「とうとうあの渋い会社から注文をとったよ。おみごと」は感動詞的な用法です。「見事」は感度を表す語ではありますが、やや客観的でしばしば対象と距離を置いて見ている暗示があるでしょう。感動を表す意味で「見事」は「素晴らしい」によく似ていますが、「素晴らしい」の方がより主観的で無条件の感動を暗示し、対象に対する心理的な傾斜の感じられる表現になっています。

また「素晴らしい」は感動をさそう性質そのものを指すことが多いのに対して、「見事」は結果としての素晴らしさを暗示しますよ。優れた対象を表す意味では「見事」は「立派」にも似ていますが、「立派」には感動の暗示が少ないでしょう。ちなみに「物の見事に」との違いは、「物の見事に」は話者の予想した結果が予想以上に完全に行われたことを誇張するニュアンスがある点です。

「物の見事に」の対義語は?

「物の見事に」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「期せずして」

「期せずして」はまったく意図しない事態になる様子を表します。「不仲の部長と専務の意見がきせずして一致した」や「昔の友人ときせずして同じ列車に乗り合わせた」などのように述語にかかる修飾語として用いられますよ。とてもかたい文章語で日常会話にはあまり登場しません。「意見が一致する」「人と会う」などの場面で用いられることが多く、事柄の偶然性を暗示します意図していない事態になったことについては、特に感情は暗示されていません

「期せずして」は「図らずも」や「思いがけず」に似ていますが、「図らずも」は成り行きに任せた結果、偶然意図しない事態になったというニュアンスで、意外性と驚きの暗示がありますし、「思いがけず」は予想外の好ましい事態になる暗示があります。したがって「旧友に期せずして再会した」は「偶然だった」、「旧友に図らずも再会した」は「予想していなかったのでびっくりした」、「旧友に思いがけず再会した」は「偶然だが嬉しかった」というニュアンスになるでしょう。

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「物の見事に」の英訳は?

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「物の見事に」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「物の見事に」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「perfectly」

「perfectly」は「完全に、申し分なく、まったく、ほんとうに」という意味です。「He played the role of Hamlet with perfectly」で「彼はハムレットの役を見事に演じ切った」、「She played a difficult piece with perfectly」で「彼女は難しい曲をものの見事に弾いてみせた」と言い表すことができますよ。

「物の見事に」を使いこなそう

この記事では「物の見事に」の意味・使い方・類語などを説明しました。「物の見事に」は完全に行われたことを誇張する様子を表す副詞話者の予想した結果が予想以上に完全に行われたことを誇張するニュアンスで、感嘆・あきれ・皮肉などの暗示がこもると解説しましたね。また「見事」には「見事に…する」という動詞に呼応する形で用いられ、「完全に…する」という意味になる反語的な用法がありますふつう好ましくない事柄について用いられますよ。さらに、完全に行われたことについて感嘆・あきれなどの感想の暗示されている表現で、反語的な用法といっても揶揄の暗示は少ないです。参考にしてくださいね。

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国語言葉の意味

「物の見事に」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「物の見事に」について解説する。
端的に言えば「物の見事に」の意味は「あざやかなさま、見事なさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「物の見事に」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「物の見事に」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「物の見事に」の意味は?

「物の見事に」には、次のような意味があります。

(「見事」を強めた表現) たいそう見事であるさま。まことに立派に。たいへん鮮やかに。

出典:コトバンク

「物の見事に」は完全に行われたことを誇張する様子を表します好ましい場合についても好ましくない場合についても用いられますよ。話者の予想した結果が予想以上に完全に行われたことを誇張するニュアンスで、感嘆・あきれ・皮肉などの暗示がこもります

「物の見事に」の語源は?

「物の見事に」の語源ははっきりとはわかっていませんが、「物の見事に」の「ものの」は「見事」を強調する表現です。それでは「物」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「物」は「牛」とさまざまな色の意味の音を示す文字とを合わせた字。色の混じった牛のことから、さまざまな色や形をした「もの」の意味に使われるようになりました。

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