この記事では「洗いざらい」について解説する。
端的に言えば「洗いざらい」の意味は「何から何まで、残らず、すっかり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「洗いざらい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「洗いざらい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「洗いざらい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「洗いざらい」の意味は?

「洗いざらい」には、次のような意味があります。

[副]残したり隠したりせず、すべてを出すさま。何から何まで全部。残らず。

出典:Weblio 辞書

「洗いざらい」は残すところなく何かをする様子を表し、「話す・白状する」「持って行く」などの消費・喪失行為を修飾することが多いです。行為を行った結果、何も後に残らないことが一種の清涼感や喪失感を伴って受け止められることにポイントがありますよ。この点で、客観的で特定の感情を暗示しない「のこらず」「ぜんぶ」と異なるでしょう。

「洗いざらい」の語源は?

次に「洗いざらい」の語源を確認しておきましょう。「洗いざらい」は「洗う」と「浚う」を組み合わせてできた言葉。「浚う」は普通ひらがなで書きます。それでは「洗」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「洗」は水を表す「氵」と裸足の意味の音を示す「先」とを合わせた字。裸足に水を流してすすぐことから「洗う」意味を表します。参考にしてくださいね。

\次のページで「「洗いざらい」の使い方・例文」を解説!/

「洗いざらい」の使い方・例文

「洗いざらい」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.あらいざらい吐くと楽になるぞ。正直に質問に答えるんだ。昨夜はどこにいた?

2.泥棒にめぼしいものはあらいざらい盗まれた。大事にコレクションしていたものもいくつか持って行かれた。

3.秘密をあらいざらいぶちまけてやったわ。これで隠し事はなくなったわけね。

例文1では残らず白状してさっぱりすることが、例文2でもすっかり持って行かれた呆れが暗示されています。まら、例文3では白日の下にさらされた様子が伺えますね。

「洗いざらい」の類義語は?違いは?

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「洗いざらい」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「何もかも」

「何もかも」は残すところなく何かをする様子を表し、「あの女のことはなにもかも忘れてしまいたい」「部長は社長の汚職をなにもかも知っていた」などのように述語にかかる修飾語として用いられます。また、細部に至るまで一つの例外もなく何かをする様子を表し、個々の要素に視点がある点で、全体をまとめて扱う暗示のある「ぜんぶ」「すべて」などと異なりますよ。

「何もかも」は「何から何まで」や「残らず」「洗いざらい」などに似ていますが、「何から何まで」は個々の要素を一つ一つ具体的に点検する暗示がありますし、「残らず」は客観的に残量が存在しない様子を表します。そして「洗いざらい」は主に消費・喪失行為について用いられ、清涼感・喪失感・あきれなどの暗示を伴いますよ。したがって、「このたびは何もかもお世話になりました」「おかずを何もかも食べたから腹が苦しい」は誤用となり、正しくは「このたびは何から何までお世話になりました」「おかずを残らず食べたから腹が苦しい」となります。

その2「根こそぎ」

「根こそぎ」は根底から処理する様子を表し、ややくだけた表現で述語にかかる修飾語として用いられますよ。「雑草はねこそぎにしないとすぐまた生えてくる」は基本的な意味で、植物の幹・枝・茎の部分はもとより根の部分まで取り除いたり倒れたりする様子を表します。例えば「こないだゴキブリをねこそぎ退治したわ」は比ゆ的な用法で、「その家は濁流にねこそぎ持って行かれた」や「舞の海は曙に土俵下までねこそぎ持って行かれた」は「根こそぎ持って行かれる」の形で用いられ、完全に取り除かれる様子を誇張的に表しますよ。

前者は地上部分はもとより土台まで完全に濁流に飲まれたという意味、後者は抵抗する暇もなく足元から一気に運ばれたという意味です。この「根こそぎ」は「残らず」に似ていますが、「残らず」は計量できるもの全部というニュアンスでとても冷静な表現になっており、誇張の暗示はありません。なお「洗いざらい」との違いは、「洗いざらい」は「話す・白状する」「持って行く」などの消費・喪失行為を修飾することが多いという点です。

その3「細大漏らさず」

「細大漏らさず」は細かいことも落とさず取り上げる様子を表す副詞で、とてもかたい文章語で日常会話にはあまり登場しません。「現場で得た情報はさいだいもらさず報告せよ」や「彼女は教授の講義はさいだいもらさずノートする」などのように「報告する・記録する」などの動詞にかかる修飾語として用いられますとても客観的な意味内容をもち主体の配慮の暗示はありますが、残りがないことや全部取り上げた結果につて特定の感情は暗示されません。また、個々の項目を一つ一つ個別に取り上げる暗示があり、全体を一括してまとめる暗示はありません。ちなみに「洗いざらい」との違いは「洗いざらい」は行為を行った結果、何も後に残らないことが一種の清涼感や喪失感を伴って受け止められることにポイントがあるという点です。

「洗いざらい」の対義語は?

「洗いざらい」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「疑い深い」

「疑い深い」は人が物事を信用しないですぐ疑う様子を表し、人間の性質を評する語人間の性質として物事を素直に信じて疑わないことを日本文化ではプラスに評価するので、すぐに信じない性格を表すこの言葉はマイナスのイメージになります。ただし「疑り深い」に比べれば客観的な表現になっていて非難の気持ちはないことが多いですよ。したがって「彼女は疑い深い性格だ」は「なかなか信用しない」、「彼女は疑り深い性格だ」は「すぐ疑って困ったものだ」というニュアンスになります。

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「洗いざらい」の英訳は?

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「洗いざらい」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「洗いざらい」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「thoroughly」

「thoroughly」は「すっかり、徹底的に、まったく」という意味です。「I've told him everything I know thoroughly」で「あいつに思いを洗いざらいぶちまけてやったわ」、「Tell me the truth thoroughly」で「本当のことを洗いざらい話しなさい」と言い表すことができますよ。

「洗いざらい」を使いこなそう

この記事では「洗いざらい」の意味・使い方・類語などを説明しました。「洗いざらい」は残すところなく何かをする様子を表し、「話す・白状する」「持って行く」などの消費・喪失行為を修飾することが多い表現だと解説しましたね。また、完全に何かをするという意味では「洗いざらい」は「すっかり」にも似ていますが、「すっかり」は消費・喪失行為に限らず広く用いられます。したがって、「彼女と約束したのを洗いざらい忘れていた」は誤用となり、正しくは「彼女と約束したのをすっかり忘れていた」となります。それぞれの意味の違いを正しく理解し表現していきましょう。

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国語言葉の意味

「洗いざらい」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「洗いざらい」について解説する。
端的に言えば「洗いざらい」の意味は「何から何まで、残らず、すっかり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「洗いざらい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「洗いざらい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「洗いざらい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「洗いざらい」の意味は?

「洗いざらい」には、次のような意味があります。

[副]残したり隠したりせず、すべてを出すさま。何から何まで全部。残らず。

出典:Weblio 辞書

「洗いざらい」は残すところなく何かをする様子を表し、「話す・白状する」「持って行く」などの消費・喪失行為を修飾することが多いです。行為を行った結果、何も後に残らないことが一種の清涼感や喪失感を伴って受け止められることにポイントがありますよ。この点で、客観的で特定の感情を暗示しない「のこらず」「ぜんぶ」と異なるでしょう。

「洗いざらい」の語源は?

次に「洗いざらい」の語源を確認しておきましょう。「洗いざらい」は「洗う」と「浚う」を組み合わせてできた言葉。「浚う」は普通ひらがなで書きます。それでは「洗」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「洗」は水を表す「氵」と裸足の意味の音を示す「先」とを合わせた字。裸足に水を流してすすぐことから「洗う」意味を表します。参考にしてくださいね。

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