
その2「きちきち」
「きちきち」は几帳面である様子を表し、約束やきまりを忠実に守って正確に行う性質を表しますよ。「彼女は何事にもきちきちしている人だ」は「と…している」がついて名詞にかかる修飾語になりますし、「毎月月末にはきちきちと家賃を届けにくる」は「と」がついて述語にかかる修飾語になります。この「きちきち」は「きちんと」や「きっちり」に似ていますが、「きちんと」の方が模範的であるニュアンスが強く、「きっちり」は基準に正確に合致している様子を表し完璧の暗示が強く出ますよ。したがって、「彼はきちきち事務をとる」は「一つ一つ几帳面に」、「彼はきちんと事務をとる」は「怠けずに勤勉に」、「彼はきっちり事務をとる」は「一つのミスもなく」というニュアンスになります。ちなみに「折り目正しい」との違いは、「折り目正しい」は性格が真面目である様子を表すという点。
その3「こつこつ」
「こつこつ」は地道に継続する様子を表します。「その学生は地道だがこつこつとよく勉強する」や「乏しい中から老後に備えてこつこつ蓄える」などのように単独で、または「と」が付いて述語にかかる修飾語になりますよ。一度に少しずつ休みなく継続して行動し続ける様子を表し、勤勉・着実の暗示があります。この「こつこつ」は「しこしこ」にも似ていますが、「しこしこ」は主体が地道に継続して行っていることについて、第三者が揶揄して見ている暗示がありますよ。なお「折り目正しい」との違いは、「折り目正しい」は人間の性格や行為について用いられるという点です。
「折り目正しい」の対義語は?
「折り目正しい」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
「手ぬるい」
「手ぬるい」は「選挙違反に対する罰則はあまりにもてぬるい」「彼のてぬるい仕事ぶりが困りものだ」などのように物事の取り扱いがいい加減で厳しさが足りない様子を表します。「生ぬるい」「あまい」などに似ていますが、「生ぬるい」「あまい」がいい加減で厳しさの足りない状態を客観的に表すのに対して、「手ぬるい」は実際の行為の際の突っ込みの足りなさを非難するニュアンスがありますよ。したがって「彼は失恋してから手ぬるい男になった」は誤用となり、正しくは「彼は失恋してから生ぬるい男になった」となります。また「手ぬるい」は一回の行為の際のいい加減さを暗示し、長期にわたる継続的な行為に表れたいい加減さを暗示することはありません。そのため「彼は祖父母に手ぬるく育てられた」は誤用となり、正しくは「彼は祖父母に甘やかされて育てられた」となります。
「polite」
「polite」は「礼儀正しい、(…に)礼儀正しくて、礼儀正しくて、上品な、教養のある、上流の、洗練された、優雅な」という意味です。「I liked the young man’s polite, which is rare nowadays」で「今どき珍しい折り目正しい青年に好感を持った」、「She has a polite and elegant manner that is very Japanese」で「彼女は奥ゆかしく折り目正しい所作が日本人らしい」と言い表すことができますよ。
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