この記事では「懐が暖かい」について解説する。
端的に言えば「懐が暖かい」の意味は「所持の金額がゆたかにある」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「懐が暖かい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「懐が暖かい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「懐が暖かい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「懐が暖かい」の意味は?

「懐が暖かい」には、次のような意味があります。

所持金が多くある。財産が豊かである。

出典:コトバンク

「懐が暖かい」は慣用句で金銭が十分にある様子を表すプラスイメージの語。また、「暖かい」は空気・水などの温度が適度に高い様子を表す形容詞ですが、その他にも、心・性格・雰囲気が温和で理解がある様子をも表しますよ。

「懐が暖かい」の語源は?

次に「懐が暖かい」の語源を確認しておきましょう。語源は分かっていませんが、「暖かい」は温度に関する基本的な形容詞の一つ。しかしここでの「暖かい」は金銭が豊かにあるという状態を言い表しています。また「懐があったかい」とも言いますが、「あったかい」は「あたたかい」よりも俗語的な表現で、日常会話によく用いられますよ。

\次のページで「「懐が暖かい」の使い方・例文」を解説!/

「懐が暖かい」の使い方・例文

「懐が暖かい」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.健太はボーナスが出たから、今日は普段よりもふところがあったかい。

2.最近、思わぬ臨時収入があってふところがあたたかい。

3.ほーむどらまを見ていたら、ふところがあたたかそうなおかね持ちのひとが懐手したままかいわしていた。

4.ポルトガル語の文章翻訳をした料金が支払われたので、今日はふところがあたたかい。

5.ドラマの内容を「日本人にオススメ」「話題」などと評価して興味を引き、キックバックを得たのでふところがあたたかい。

例文1からはボーナスを何につかおうか色々と思案している様子が、例文2では副業で手軽にお金を稼いで意気揚々としている様子が伺えますし、例文3からは資産家の高齢男性の姿が想像できますね。また、例文4からはいつもよりおおい金額が振り込まれた様子が伝わってきますし、例文5は実際のサービスよりも内容を良く見せるステルスマーケティングであることが分かります。

「懐が暖かい」の類義語は?違いは?

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「懐が暖かい」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「豊か」

「豊か」は好ましいものが大量にある様子を表す形容詞。「中東の国々は石油資源がゆたかだ」は好ましい物を具体的に示してそれが大量にあるという意味、「彼は才能ゆたかな青年だ」は抽象的なものが大量にある様子を表します。また「両親は少しでもゆたかな生活を得るために必死で働いた」は対象を具体的に示さない場合で、このときはしばしば金銭を暗示しますよ。ただし、客観的に金銭が多いという意味ではなく金銭が多いことによって生まれる満足感なども暗示されるので、「収入は増えてもゆたかさの実感がない」のような文も成り立ちます。

「ゆたかな二十一世紀の社会を築こう」では物質的に大量にあるだけでなく、精神的に満足感の得られる社会という意味。また「豊か」は好ましいものが大量にあるという意味の一般的な語で、好ましくないと感じているものについては用いられません。この点で大量にあることを客観的に表す「多い」を異なりますよ。なお「懐が暖かい」との違いは、「懐が暖かい」は金銭が十分にある様子を表すという点です。

その2「福々しい」

「福々しい」は「うちの祖父はふくぶくしい顔をしている」「隣の奥さんの笑顔はふくぶくしい」などのように頬が柔らかくふくらんでいて満ち足りている様子を表します。人間の顔や表情などについて用いられることが多く、それ以外のものについて用いられることは稀。そのため「彼女は福々しい身なりをしている」は誤用となり、正しくは「彼女は裕福そうな身なりをしている」となります。また「福々しい」顔は全体に丸く、頬にふっくらと肉がついていていかにも健康そうである顔を指すことが多く、痩せた顔や不健康にむくんだ顔などについては用いません。さらに「福々しい」は顔に肉がついているのみならず、幸運・幸福・財産などに恵まれて満足している様子が暗示されている表現です。

「福々しい」は「ふくよか」に似ていますが、「ふくよか」が体に肉が付いて太っている状態だけを暗示するのに対して、「福々しい」は幸福・充足を暗示する点で異なりますよ。したがって「君はもう少し福々しくなったほうがいい」は誤用となり、正しくは「君はもう少しふくよかになったほうがいい」となります。ちなみに「懐が暖かい」との違いは、「懐が暖かい」は金銭が十分にある様子を表すという点。

「懐が暖かい」の対義語は?

「懐が暖かい」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「貧乏くさい」

「貧乏くさい」はいかにも貧乏に感じられる様子を表し、外見についても内面の心理についても用いられます。また、「…くさい」はいかにも…のような感じであるという意味の形容詞を作る語尾。具体的には「そんなびんぼうくさいなりはやめろよ」は服が古かったり汚らしかったりして新しいきれいな衣服を買えないことを想像させるという意味、「人に物を贈るときに少しでも安くなんてびんぼうくさい考え方だ」は貧乏な家の人間なら考えそうな、吝嗇な考え方という意味です。

「貧乏くさい」は現実に貧乏ではない人間がいかにも貧乏な人のように感じられる外見や行動をすることを、多少の憐れみや侮蔑を友案って表現する語。また「貧乏くさい」は「貧乏たらしい」に似ていますが、「貧乏たらしい」には行動や外見が貧乏のように見えることについてはっきりした侮蔑の暗示があるのに対して、「貧乏くさい」には侮蔑の暗示は比較的少ないです。

\次のページで「その2「貧乏たらしい」」を解説!/

その2「貧乏たらしい」

「貧乏たらしい」は「なんだ、そのびんぼったらしい恰好は」「残り物を持って帰るだなんてびんぼうたらしい」などのようにいかにも貧乏のように見える様子を表します。日常会話ではしばしば「貧乏ったらしい」と発音されますよ。また、「…たらしい」は「いかにも…のように感じられて不快だ」という意味の形容詞を作る語尾。さらに「貧乏たらしい」は対象の外見や行動がいかにも貧乏な人のように見える様子を侮蔑的に評する語で、対象がもともと貧乏でないことが前提ですもともと貧乏であることがはっきりしている対象についてはふつう用いません

したがって「難民の子供たちは貧乏たらしい身なりをしていた」は誤用となり、正しくは「難民の子供たちは貧しい身なりをしていた」となります。「貧乏くさい」は「貧乏たらしい」に似ていますが、「貧乏たらしい」には行動や外見が貧乏のように見えることについてはっきりした侮蔑の暗示があるのに対して、「貧乏くさい」には侮蔑の暗示は比較的少ないでしょう。

「懐が暖かい」の英訳は?

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「懐が暖かい」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「懐が暖かい」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「flush with money」

「flush with money」は「懐が暖かい」という意味です。「I got a bonus and flush with money, so today's on me」で「ボーナスが出て懐が暖かいから今日は俺のおごりだ」、「I have extra income and my pockets are flush with money now」で「臨時収入があって今は懐が暖かい」と訳すことができますよ。

「懐が暖かい」を使いこなそう

この記事では「懐が暖かい」の意味・使い方・類語などを説明しました。「懐が暖かい」は金銭が十分にある様子を表す表現で、「暖かい」は温度に関する基本的な形容詞の一つだと解説しましたね。また「暖かい」は心・性格・雰囲気が温和で理解がある様子を表しますよ。「優しい」よりも思いやりが深く理解ある様子が暗示されます。そのため「あたたかい人柄」は「人情味あふれていてよく理解してくれる」、「やさしい人柄」は「態度がおだやかでよく労わってくれる」というニュアンスになりますよ。それぞれの意味の違いを正しく理解し表現していきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「懐が暖かい」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「懐が暖かい」について解説する。
端的に言えば「懐が暖かい」の意味は「所持の金額がゆたかにある」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「懐が暖かい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「懐が暖かい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「懐が暖かい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「懐が暖かい」の意味は?

「懐が暖かい」には、次のような意味があります。

所持金が多くある。財産が豊かである。

出典:コトバンク

「懐が暖かい」は慣用句で金銭が十分にある様子を表すプラスイメージの語。また、「暖かい」は空気・水などの温度が適度に高い様子を表す形容詞ですが、その他にも、心・性格・雰囲気が温和で理解がある様子をも表しますよ。

「懐が暖かい」の語源は?

次に「懐が暖かい」の語源を確認しておきましょう。語源は分かっていませんが、「暖かい」は温度に関する基本的な形容詞の一つ。しかしここでの「暖かい」は金銭が豊かにあるという状態を言い表しています。また「懐があったかい」とも言いますが、「あったかい」は「あたたかい」よりも俗語的な表現で、日常会話によく用いられますよ。

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