この記事では「隠れもない」について解説する。
端的に言えば「隠れもない」の意味は「世間に知れ渡っている、有名である」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「隠れもない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「隠れもない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「隠れもない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「隠れもない」の意味は?

「隠れもない」には、次のような意味があります。

[形][文]かくれな・し[ク]

1 隠しようがなく表れている。それとはっきり分かっている。

2 残らず表れている。残すところがない。

3 世間に知れ渡っている。有名である。かくれもない。

出典:コトバンク

「隠れもない」は物事が世の中に広く知れ渡っている様子を表します。ふつう「かくれもない事実(こと)」という形で用いられ、述語にかかる修飾語として用いられることもありますが、述語で用いられることは稀広く知れ渡ることとしては悪い内容であることがふつうで、「かくれもない」は「本来隠しておくべきことが隠されずにあかるみに出ている」というニュアンスをもちます。したがって、よい内容が広く知れ渡っているときには「かくれもない」は用いられません。

「隠れもない」の語源は?

次に「隠れもない」の語源を確認しておきたいところですが、残念ながら語源は定かではありません。そのため「隠」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「隠」は小山を表す「⻖」と覆い隠す意味の音を示す文字とを合わせた字。山に覆われて見えないことから「隠れて見えない」意味を表します。

\次のページで「「隠れもない」の使い方・例文」を解説!/

「隠れもない」の使い方・例文

「隠れもない」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.満面の笑顔を振りまいているが、その大臣の汚職はかくれもない事実だ。

2.マスコミのゆきすぎはかくれもなく知れ渡っている。

3.文学作品を数多く世に送り出した夏目漱石はかくれもない作家だ。

4.人が乗ったウマの数え方は「騎」なのはかくれもない。

5.インターネットの落とし穴はかくれもなく明暗を分けている。

6.編集長のコラム一覧はかくれもなく蘊蓄満載のページだ。

例文1のように立場を悪用した同様の不正は古くから行われていることですが、この大臣は今後、「汚名返上」「名誉挽回」に全力を注ぐことになるでしょう。例文2では情報の一人歩きではなく、過剰な取材が非難されるゆえんですし、例文3からは時代が変わっても漱石の文章力は色あせないことが分かりますね。また、例文4のように動物は一般的に基本「匹」「頭」と数えますが、馬の場合は例外があるということです。さらに例文5はデジタル弱者への警鐘。例文6からは正解、不正解にかかわらずコラム一覧は大体そのようなものだということが伺えます。

「隠れもない」の類義語は?違いは?

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「隠れもない」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「紛れもない」

「紛れもない」は明白である様子を表す形容詞話者の主観的な確信を暗示する語で客観的な根拠の存在には言及しません。その意味で「確か」に似ていますが、「確か」には知的な理解や保証の暗示があるのに対して、「紛れもない」はやや感情的な表現になっています。そのため「紛れもない事実」は「僕は事実だと信じている」、「確かな事実」は「事実だと保証してよい」というニュアンスになりますよ。また、「紛れもない」は「明らか」にも似ていますが、「明らか」には誰にでもわかる客観性の暗示があります。ちなみに「隠れもない」との違いは、「隠れもない」は物事が世の中に広く知れ渡っている様子を表すという点。

\次のページで「その2「あからさま」」を解説!/

その2「あからさま」

「あからさま」は物事が本性(元の姿)のまま表面に現れている様子を表します本性が隠されていずはっきり提示されていることに不快を感じている表現あって、何事もはっきり言及せず、ほのめかしたり暗示したりすることにプラス評価を与える日本文化ならではの語。また「あからさま」は「露わ」「露骨」などに近いですが、「露わ」には不快の暗示が少なくやや客観的であり、「露骨」は「あからさま」よりもさらに悪意が感じられ、本来隠すべきものをわざと表面に現すことに対する嫌悪が暗示されています。したがって「短い上着を脱ぐと両腕があからさまになった」は誤用となり、正しくは「短い上着を脱ぐと両腕があらわになった」となりますよ。なお「隠れもない」との違いは、「隠れもない」はよい内容が広く知れ渡っているときには用いられないという点です。

その3「露骨」

「露骨」は物事が誰にでもわかるように表面に現れている様子を表しますよ。「この本は描写があまりにろこつで不快だ」は対象が限定されている例で、しばしば性的な描写が度を越えているという意味になります。また、「露骨」は本来隠されているべきもの(表面に見えることが好ましくないもの)が、意図的に表面に見える状態になっていることを嫌悪の暗示を伴って表す語。したがって好ましい対象については用いられません「露骨」は本来隠されているべき対象が現れていることについて悪意の存在を暗示しますが、あくまでも見る側の主観的な判断としての悪意であって、主体の側に立ってみれば率直・正直のつもりであることが往々にしてあります

また、主体は悪意をもつことのできる人間であることがふつうで、無生物の意図的でない行為についてはふつう用いられません。そのため「強烈なライトが顔のしわまで露骨に照らし出した」は誤用となり、正しくは「強烈なライトが顔のしわまであらわに照らし出した」となります。ちなみに「隠れもない」との違いは、「隠れもない」は物事が世の中に広く知れ渡っている様子を表すという点。

「隠れもない」の対義語は?

「隠れもない」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「後ろ暗い」

「後ろ暗い」は「彼には何かうしろぐらいことがあるに相違ない」「今でもその件に関してはうしろぐらく思っている」などのように人に知られては困ることがあって悩んでいる様子を表します。「人に知られては困ること」というのは多く悪事。したがって、申し開きの言葉として「私にはうしろぐらい点は何一つありません」などとよく使われます。悩んでいると言っても、秘密の悪事をもっていることについて悩んでいるのであって、悪事そのものに対する反省ではないことが多いでしょう。この点が、秘密の内容を反省(後悔)するニュアンスのある「うしろめたい」と異なります。そのため「彼女に会うと後ろ暗い思いにかられる」は誤用となり、正しくは「彼女に会うと後ろめたい思いにかられる」となりますよ。

「隠れもない」の英訳は?

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「隠れもない」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「隠れもない」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「well‐known fact」」を解説!/

「well‐known fact」

「well‐known fact」は「隠れもない事実」という意味です。「The well‐known fact that you are her parent is a fact that cannot be hidden」で「あなたが彼女の親であることは隠れもない事実です」、「She admonished him of the well‐known fact that there was no hiding」で「彼女は隠れもない事実を彼に諭した」と書き表すことができますよ。

「隠れもない」を使いこなそう

この記事では「隠れもない」の意味・使い方・類語などを説明しました。「隠れもない」は物事が世の中に広く知れ渡っている様子を表す形容詞広く知れ渡ることとしては悪い内容であることがふつうで、「本来隠しておくべきことが隠されずにあかるみに出ている」というニュアンスをもつと解説しましたね。また、悪い内容と言ってもすでに社会的な常識となっているようなことについて「かくれもない」は用いにくいです。本来隠しておくべき悪事、または見方によっては悪事になるような対象について用いられることが多いでしょう。したがって「殺人が罪悪であるのは隠れもない事実だ」は誤用となり、正しくは「殺人が罪悪であるのは紛れもない事実だ」となります。言葉の意味の違いを正しく理解し使い分けるようにしましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「隠れもない」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「隠れもない」について解説する。
端的に言えば「隠れもない」の意味は「世間に知れ渡っている、有名である」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「隠れもない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「隠れもない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「隠れもない」の意味は?

「隠れもない」には、次のような意味があります。

[形][文]かくれな・し[ク]

1 隠しようがなく表れている。それとはっきり分かっている。

2 残らず表れている。残すところがない。

3 世間に知れ渡っている。有名である。かくれもない。

出典:コトバンク

「隠れもない」は物事が世の中に広く知れ渡っている様子を表します。ふつう「かくれもない事実(こと)」という形で用いられ、述語にかかる修飾語として用いられることもありますが、述語で用いられることは稀広く知れ渡ることとしては悪い内容であることがふつうで、「かくれもない」は「本来隠しておくべきことが隠されずにあかるみに出ている」というニュアンスをもちます。したがって、よい内容が広く知れ渡っているときには「かくれもない」は用いられません。

「隠れもない」の語源は?

次に「隠れもない」の語源を確認しておきたいところですが、残念ながら語源は定かではありません。そのため「隠」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「隠」は小山を表す「⻖」と覆い隠す意味の音を示す文字とを合わせた字。山に覆われて見えないことから「隠れて見えない」意味を表します。

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