
その2:詰め寄る
次に「詰め寄る」です。こちらも「相手の近くに迫り寄る」という意味では「にじり寄る」と一致した意味の言葉になります。しかし、具体的に意味を確認してみると、2語の違いは明確です。
「詰め寄る」は「相手に詰問などをするために」相手の近くに迫り寄る、という場合に使われる表現であるため、そうした目的の場合でなければ使うことができません。そのため、どんな目的にも使うことができる「すり寄る」「にじり寄る」とは違い、使える場面はかなり限定されるため、注意しましょう。
ちなみに一つ共通点をあげるとすれば、「にじり寄る」「詰め寄る」は「すり寄る」と異なり、人に対してしか使われない表現になります。
「にじり寄る」の対義語は?
「座ったままじりじりと近寄る」という意味の「にじり寄る」の対義語を定義することは難しいでしょう。その代わり、他項目の類義語や、次に紹介する英語表現をしっかりと確認してみてください。
にじり寄るは英語で「sidle」
「座ったままじりじり近づく」という意味の「にじり寄る」を英訳する場合は「sidle」という動詞を用いると良いでしょう。少し意味に幅のある表現で「にじり寄る」以外にも「こっそり横に歩く」「〜からそっと離れる」などの訳もできるため、和訳する場合には少し注意が必要です。
また、「slide」という単語も、皆が着席している場面であれば「にじり寄る」と訳すことも可能でしょう。本来は「すーっと動く」「そっと移動する」などの意味ですが、抽象的な単語であるからこそ、文脈に応じて柔軟に対応することができる単語です。また、先に紹介した「sidle」とスペルの違いに注意してくださいね。
以下に例文を用意していますので、ぜひ参考にしてみてください。
I sidled up to her.
彼女のそばへとにじり寄った。
He slided up to her slowly.
彼は彼女に静かににじり寄る。

「にじり寄る」の意味や正しい使い方について理解を深められただろうか。
意味は簡単かつ単純で、使う場面も限られているかもしれないが、古文の世界の動作に由来する面白い表現だ。そうした語源と合わせて覚えておくといいだろう。くれぐれも間違いやすい意味での誤用には注意するんだな。
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