この記事では「煩瑣」について解説する。

端的に言えば煩瑣の意味は「こまごまとしてわずらわしいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「煩瑣」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「煩瑣」の意味や語源・使い方まとめ

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「煩瑣」という言葉をご存知ですか。何と読み、どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「煩瑣」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「煩瑣」の意味は?

まず初めに、辞書で「煩瑣」の意味を確認してみましょう。「煩瑣」には、次のような意味があります。

こまごまとしてわずらわしいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「煩瑣」

「煩瑣」の読み方は「はんさ」です。「細かい点までこみいっていて、煩わしいこと」を意味します。細かくて煩わしくて容易に解決できないことを表す言葉なのです。「煩瑣な手続き」などと用いることができます。

「煩瑣」の語源は?

次に「煩瑣」の語源を確認しておきましょう。

「煩瑣」の「煩」の字は「火」と「頁」から成り立っていますね。「頁」は「ページ」と読みますが、「あたま」という意味も持っています。火は熱のことを意味しますから、熱があって頭痛がする。そこから悩むという意味を表しているのです。音読みで「ハン、ボン」。訓読みで「わずら(う)、わずら(わす)」と読み、「わずらう、なやむ、苦しむ」「わずらわしい、うるさい」という意味を持つ漢字です。

一方「瑣」の字は、音読みで「サ」。訓読みで「ちい(さい)、つら(なる)、くさり」と読み、「ちいさい、こまかい、くだくだしい、わずらわしい」「つらなる、くさり」という意味を持つ漢字です。この二つの文字を合わせて、「細々として煩わしい」を意味する言葉となりました。

「煩瑣」の使い方・例文

「煩瑣」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「煩瑣」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.プレミアム会員からの質問は煩瑣なものが多く、手軽には回答できない。
2.この問題を解決するためには、今後、煩瑣な事務手続きが必要となる。
3.便利な自動翻訳機能をさらにレベルアップさせるため、煩瑣なテストを繰り返す必要がある。

「煩瑣」は細かくて煩わしいことを表現する時に使われる言葉です。「煩瑣な問題」「煩瑣な規則」「煩瑣な心づかい」など、「煩瑣な」の形で他の名詞を修飾する言葉として用いられることが多いのですが、「煩瑣に耐えかねる」「煩瑣を逃れる」といったように用いることもできます。面倒だ、解決しにくいといったことを表したい時に使う言葉ですが、文章語ですので、日常会話の中で普通に用いられることは少ない言葉かもしれませんね。

「煩瑣」の類義語は?違いは?

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「煩瑣」の類義語を見ていきましょう。

その1「煩雑」

「煩雑(はんざつ)」は「こみいっていてわずらわしいこと」を意味する言葉です。「繁雑(はんざつ)」と書くこともあります。「煩雑」が入り組んでいて煩わしいという意味であるのに対して、「繁雑」はしなくてはならないことが多くて複雑で面倒という意味が強くなりますが、ほとんど同じ意味として用いることができますよ。細かくて煩わしい「煩瑣」とは少しニュアンスが異なりますが、よく似た意味を持つ言葉です。「煩雑な手続き」などと用います。

その2「複雑」

「複雑(ふくざつ)」は「物事の事情や関係がこみいっていること」「入り組んでいて、簡単に理解・説明できないこと」を意味する言葉です。いろいろな要素が重なり混じって解決しにくいという意味を表します。「解決しにくい」という点が「煩瑣」と共通していますね。「複雑な手続き」などと用います。

その3「厄介」

「厄介(やっかい)」は「手数がかかって迷惑なこと、面倒なこと」を表す言葉です。「親の厄介になる」のように「世話すること、世話になること」も表わします。煩わしいという意味が「煩瑣」と共通していますね。「厄介なことに巻き込まれる」などと用います。

\次のページで「その4「面倒」」を解説!/

その4「面倒」

「面倒(めんどう)」は「手数がかかって不快なこと」「煩雑でわずらわしいこと」を意味する言葉です。「厄介」同様「世話すること、世話になること」も意味します。手間がかかったり、解決が容易でなかったりして煩わしいことを表す言葉です。「面倒な手続き」などと用います。

その5「手数」

「手数(てすう)」は「てまひまのかかること、めんどうなこと」を意味する言葉です。「他人のために尽力すること」も意味します。それをするのに要する動作・作業などの数や、他人のためにことさらにかける手間を表すのですね。「手数のかかる料理」「お手数でもよろしく」などと用います。

「煩瑣」の対義語は?

「煩瑣」の対義語を見ていきましょう。

その1「簡易」

「簡易(かんい)」は「簡単で手軽なこと」を意味する言葉です。手順・手続が簡単で、たやすく行えることを表します。細々として煩わしいことを表す「煩瑣」とは反対の意味を持つ言葉ですね。「簡易な包装」などと用います。

その2「簡単」

「簡単(かんたん)」は「物事が大ざっぱで単純なこと」「時間や手数がかからないこと」を意味する言葉です。こみいっていないこと、取扱いがたやすく手数がかからないことを表します。「簡短」と書くこともあるのですよ。「簡単な説明」「簡単に問題が解けた」などと用います。

「煩瑣」の英訳は?

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「煩瑣」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「annoying」

「annoying」は「うるさい、迷惑な、じれったい」といった意味を持つ単語です。現代語的に言うと「ウザい」といった意味の言葉なのですよ。細かくて煩わしいことを意味する「煩瑣」を英訳するのに、この単語を用いることもできます。

\次のページで「その2「troublesome」」を解説!/

その2「troublesome」

「troublesome」は「やっかいな、めんどうな、わずらわしい、うるさい」といった意味を持つ単語です。煩わしいという意味で「煩瑣」の英訳として用いることができます。

その3「complicated」

「complicated」は「複雑な、込み入った、わかりにくい」といった意味を持つ単語です。この言葉も「煩瑣」の英訳として用いることができますよ。

I want to do something about this annoying homework.
この煩瑣な宿題をなんとかしたい。

I hate troublesome things.
煩瑣なことは嫌いです。

There are many terribly complicated procedures in this system.
このシステムには恐ろしく煩瑣な手続きがたくさんある。

「煩瑣」を使いこなそう

この記事では「煩瑣」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「煩瑣」は「細々として煩わしいこと」を表す言葉でしたね。細かくて煩わしくて面倒で解決しにくいことを表す時に使われる言葉です。見慣れない漢字、聞きなれない音の言葉かもしれませんが、意味さえわかれば難しい言葉ではないかと思います。機会を見つけて、ぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

「煩瑣」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

1.プレミアム会員からの質問は煩瑣なものが多く、手軽には回答できない。
2.この問題を解決するためには、今後、煩瑣な事務手続きが必要となる。
3.便利な自動翻訳機能をさらにレベルアップさせるため、煩瑣なテストを繰り返す必要がある。

「煩瑣」は細かくて煩わしいことを表現する時に使われる言葉です。「煩瑣な問題」「煩瑣な規則」「煩瑣な心づかい」など、「煩瑣な」の形で他の名詞を修飾する言葉として用いられることが多いのですが、「煩瑣に耐えかねる」「煩瑣を逃れる」といったように用いることもできます。面倒だ、解決しにくいといったことを表したい時に使う言葉ですが、文章語ですので、日常会話の中で普通に用いられることは少ない言葉かもしれませんね。

「煩瑣」の類義語は?違いは?

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「煩瑣」の類義語を見ていきましょう。

その1「煩雑」

「煩雑(はんざつ)」は「こみいっていてわずらわしいこと」を意味する言葉です。「繁雑(はんざつ)」と書くこともあります。「煩雑」が入り組んでいて煩わしいという意味であるのに対して、「繁雑」はしなくてはならないことが多くて複雑で面倒という意味が強くなりますが、ほとんど同じ意味として用いることができますよ。細かくて煩わしい「煩瑣」とは少しニュアンスが異なりますが、よく似た意味を持つ言葉です。「煩雑な手続き」などと用います。

その2「複雑」

「複雑(ふくざつ)」は「物事の事情や関係がこみいっていること」「入り組んでいて、簡単に理解・説明できないこと」を意味する言葉です。いろいろな要素が重なり混じって解決しにくいという意味を表します。「解決しにくい」という点が「煩瑣」と共通していますね。「複雑な手続き」などと用います。

その3「厄介」

「厄介(やっかい)」は「手数がかかって迷惑なこと、面倒なこと」を表す言葉です。「親の厄介になる」のように「世話すること、世話になること」も表わします。煩わしいという意味が「煩瑣」と共通していますね。「厄介なことに巻き込まれる」などと用います。

\次のページで「その4「面倒」」を解説!/

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