この記事では「扱く」について解説する。

端的に言えば扱くの意味は「厳しく指導する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「扱く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。倹約家というかケチなため、ワサビや歯磨き粉のチューブを最後の1回分が出るか出ないかくらいまで必死に扱く。おかげで物をなかなか捨てられない。

「扱く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「扱く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「扱く」の意味は?

まずはじめに、「扱く」の読み方について説明しなければなりません。漢字で「扱」といえば、「扱う」(あつかう)という読み方しか思いつかない人がほとんどでしょう。実際に「扱」は中学校で習う漢字ですが、読み方は「あつかう」でしか習いません。あとの読み方は常用外となります。

しかし、「扱く」が聞き慣れない言葉かというと、決してそうではありません。しかも、「扱く」という送り仮名が付いた場合、読み方が2つもあります。1つは「しごく」、もう1つが「こく」です。よって、「しごく」と「こく」2つの意味を、辞書から引用することにします。

1.細長いものを握ったり指で挟んだりして、強く押さえつけるようにしながら、その手や指をこするように動かす。「槍(やり)を—・く」「帯を—・く」「あごひげを—・く」
2.きびしく訓練する。「合宿で新入部員を—・く」
3.ひどくいじめる。「そんならこいつもう—・いてしまはにゃならぬ」〈浄・歌祭文〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「扱(しご)・く」

1.細長い本体に付いている物を手や物の間に挟んで引っぱり、こすり落とす。しごく。「稲を—・く」
2.間にたるみをなくするためにこするようにして手前に引く。「両手に穿(は)めたミット入の黒の長手袋を—・きあげる」〈風葉・青春〉
3.「扱(こ)ぐ」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「扱(こ)・く」

「しごく」と「こく」には、どちらも「こすり落す、引っ張る」という意味があります。「こく」の3番にある「扱(こ)ぐ」も「引き抜く、根こそぎにする」という意味ですので、ほぼ同じととらえて良いでしょう。

ただし、「しごく」には「厳しく訓練する、ひどくいじめる」という意味もあります。「演出家が役者をしごく」「監督が新入部員をしごく」の「しごく」です。

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「扱く」の使い方・例文

「扱く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.年下の上司から扱き使われる中年サラリーマンにはなりたくない。
2.秋になり、祖母が昔ながらの方法で刈り取った稲から丁寧に稲穂を扱き落とす。
3.あの高校はスポーツの強豪校として全国的に知られているが、その裏で指導者の扱きに耐えかねて退部する学生が続出し、保護者会で大きな問題となっている。

3つの例文には、すべて「扱き」が入っています。しかし、例文1は「こき」例文2と3は「しごき」と読み方が違うことに注意しなければなりません。

そして、「扱く」の意味も違っています。例文2が「扱く」本来の意味である「こすり落す」ですが、例文3は「厳しく訓練する」です。そして、例文1のように「こ(扱)く」は「扱き使う」(こきつかう)という形で使われることが多くなります。「扱く」と「使う」が合わさって、「手心を加えずに厳しく使う、酷使する」という意味の言葉となり、「扱く」の意味の中では「厳しく訓練する」という意味に近いと言えるでしょう。

「扱く」の類義語は?違いは?

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ところで、「扱く」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「いじめる」

「扱く」のように、「厳しく指導する」という意味に使われている言葉で「いじめる」というものがあります。しかし、なんとなくでも「しごき」と「いじめ」は違うように感じられる人は多いでしょう。念のため、「扱く」と「いじめる」を比べてみましょう。

「いじめる」の意味を辞書で調べると、2つの意味があります。1つは「ことさらに厳しくあつかう」です。「大会前に体をいじめる」などはこの意味となります。そして、もう1つが「扱く」との違いです。「弱いものを痛めつける、つらく当たる」という意味は、「いじめる」にあっても「扱く」にはありません。

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「扱く」の対義語は?

「右」と「左」、「上る」と「下る」などのように、「扱く」にはこれといった対義語があるわけではありません。ですが、言葉の意味から対義語になりえるものを考えていきましょう。

「こする、絞り出す」という意味の「扱く」には、「引き入れる」という言葉が対義語として当てはまるかもしれません。ですが、たとえばチューブで「扱い」たものを再び「引き入れる」かというと、そうはしないと考えるのが普通でしょう。

また、「厳しく訓練する」という意味の「扱く」の対義語を考えるのも骨が折れる作業です。前の項目でも挙げた「いじめる」以外にも、「鍛え抜く」や「叩き込む」など、類義語はいくらでも思いつくのとは対照的と言えます。あえて挙げるとするならば、「溺愛する」や「盲愛する」などになるのではないでしょうか。

「扱く」の英訳は?

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では、「扱く」を英訳するとどうなるでしょうか。

「draw」「work someone hard」

「こすり落す」の「扱く」と「厳しく訓練する」の「扱く」では、英訳を変える必要があります。こちらも1つずつ見ていきましょう。

「こすり落す」という意味の「扱く」 の英訳には、「draw」や「stroke」を使うと良いでしょう。「draw a piece of cloth 」で「布を扱く」、「stroke his beard」は「彼のあごひげを扱く」です。

「厳しく訓練する」の意味である「扱く」ならば、「work someone hard」にすると良いでしょう。「Our coach has been working us very hard for two months.」(コーチは2ヶ月間私たちを扱いた。)などと表現できます。

「扱く」を使いこなそう

この記事では「扱く」の意味・使い方・類語などを説明しました。

少なくとも、「扱く」を「あつかく」などと読んではいけません。「しごく」または「こく」と読みます。どちらで読めばいいのか分からないときは、前後の言葉をたどってみましょう。「扱き塗装」なら「しごきとそう」と読みますし、「扱き下ろす」なら「こきおろす」です。いちいち覚えるのは面倒かもしれませんが、語彙の多さは日本語表現の豊かさとも言えます。普段から活字やこういった記事を目にするようにして、言葉遣いを豊かにしていきましょう。

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国語言葉の意味

「扱く」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「扱く」について解説する。

端的に言えば扱くの意味は「厳しく指導する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「扱く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。倹約家というかケチなため、ワサビや歯磨き粉のチューブを最後の1回分が出るか出ないかくらいまで必死に扱く。おかげで物をなかなか捨てられない。

「扱く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「扱く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「扱く」の意味は?

まずはじめに、「扱く」の読み方について説明しなければなりません。漢字で「扱」といえば、「扱う」(あつかう)という読み方しか思いつかない人がほとんどでしょう。実際に「扱」は中学校で習う漢字ですが、読み方は「あつかう」でしか習いません。あとの読み方は常用外となります。

しかし、「扱く」が聞き慣れない言葉かというと、決してそうではありません。しかも、「扱く」という送り仮名が付いた場合、読み方が2つもあります。1つは「しごく」、もう1つが「こく」です。よって、「しごく」と「こく」2つの意味を、辞書から引用することにします。

1.細長いものを握ったり指で挟んだりして、強く押さえつけるようにしながら、その手や指をこするように動かす。「槍(やり)を—・く」「帯を—・く」「あごひげを—・く」
2.きびしく訓練する。「合宿で新入部員を—・く」
3.ひどくいじめる。「そんならこいつもう—・いてしまはにゃならぬ」〈浄・歌祭文〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「扱(しご)・く」

1.細長い本体に付いている物を手や物の間に挟んで引っぱり、こすり落とす。しごく。「稲を—・く」
2.間にたるみをなくするためにこするようにして手前に引く。「両手に穿(は)めたミット入の黒の長手袋を—・きあげる」〈風葉・青春〉
3.「扱(こ)ぐ」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「扱(こ)・く」

「しごく」と「こく」には、どちらも「こすり落す、引っ張る」という意味があります。「こく」の3番にある「扱(こ)ぐ」も「引き抜く、根こそぎにする」という意味ですので、ほぼ同じととらえて良いでしょう。

ただし、「しごく」には「厳しく訓練する、ひどくいじめる」という意味もあります。「演出家が役者をしごく」「監督が新入部員をしごく」の「しごく」です。

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