

端的に言えば首の皮一枚の意味は「まだわずかな望みが残っていることのたとえ」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
放送局の制作現場で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んだ。一緒に「首の皮一枚」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/sinpeito88
放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。
「首の皮一枚」の意味は?
「首の皮一枚」には、次のような意味があります。
皮1枚で首がつながっていること。まだわずかな望みが残っていることのたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「首の皮一枚」
「首の皮一枚」は「皮1枚で首がつながっていること。まだわずかな望みが残っていることのたとえ」という意味の言葉です。可能性が完全に断たれる寸前の状況を表しているのですが、そもそも、頭と胴体が首の皮一枚でつながっている状況はもう、命を絶たれていますよね。ただし、完全に頭と胴体が完全に切り離されてはいないという所から「まだ、わずかな望みが残っている」とされたのではないかと考えられます。
「首の皮一枚」は実際には命が絶たれており、生存する可能性は完全に断たれているわけですが、この表現を使うにあたっては「今は可能性が残っているが、いずれその可能性も無くなってしまう」ということが前提にはなりません。あくまで「わずかな望みがある」ということだけを表すために使われる言葉です。
「首の皮一枚」の語源は?
次に「首の皮一枚」の語源を確認しておきましょう。この表現は日本の戦国時代に武士が自ら命を絶つ「切腹」の時に生まれた作法である「介錯」に由来します。自ら自分を切りつけたとしても即死できるわけではありません。その際に、剣の達人が後ろから切りつけて死なせるのが「介錯」です。介錯にはいくつかの手順があり、その一つが切腹した者のプライドを守り、斬首刑との違いを付けるため「切腹した人物の首の皮を一枚残して斬ること」でした。そこから「首の皮一枚」という言葉が生まれたのです。
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