国語言葉の意味

「いけしゃあしゃあ」の意味や使い方は?例文や類語を日本語研究家が解説!

よお、ドラゴン桜の桜木建二だ。この記事では「いけしゃあしゃあ」について解説する。

端的に言えばいけしゃあしゃあの意味は「とても厚かましい様子」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

博士(文学)の学位を持ち、日本語を研究している船虫堂を呼んだ。一緒に「いけしゃあしゃあ」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/船虫堂

博士(文学)。日頃から日本語と日本語教育に対して幅広く興味と探究心を持って生活している。生活の中で新しい言葉や発音を収集するのが趣味。モットーは「楽しみながら詳しく、わかりやすく言葉をご紹介」。「いけすかない」とか「いけしゃあしゃあ」のようないかにも江戸弁らしい風情のある言葉を見るとものすごく喜ぶ。

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「いけしゃあしゃあ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「いけしゃあしゃあ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「いけしゃあしゃあ」とは、「厚顔無恥」、憎らしいほど厚かましいという意味を持った言葉で、非難する意味の「いけ」という接頭辞がついているという点で語の構成に特徴があります。

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「いけしゃあしゃあ」の意味は?

「いけしゃあしゃあ」の意味を明らかにするために、辞書の記述を参照します。今回は「いけしゃあしゃあ」を構成する「いけ」と「しゃあしゃあ」についても辞書ではどのように書かれているか確認してみましょう。引用する辞書は「いけ」と「いけしゃあしゃあ」は小学館の『精選版日本国語大辞典』から引用します。「しゃあしゃあ」については『精選版日本国語大辞典』に該当する説明が無かったため、同じく小学館の『デジタル大辞泉』から引用をしました。それでは見ていきましょう。

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いけ‐しゃあしゃあ

〘副〙 (「いけ」は接頭語。「と」を伴う場合が多い) にくらしいほどに平気でいるさま。非常にあつかましいさま。
※雑俳・柳多留‐一(1765)「入髪でいけしゃあしゃあと中の丁」

出典:精選版日本国語大辞典(小学館)「いけしゃあしゃあ」より

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いけ



〘接頭〙 近世語。多く好ましくない意味を含む名詞、形容詞、形容動詞などの上に付いて、卑しめ、非難する気持を表わす。

(イ) 名詞、形容動詞の上に付く場合。「いけ癖」「いけぞんざい」「いけ年」「いけ不器用」「いけ面倒」など。

(ロ) 形容詞の上に付く場合。「いけあたじけない」「いけあつかましい」「いけしつこい」「いけずうずうしい」など。

(ハ) 副詞、形容詞句、動詞、動詞句などの上に付く場合。「いけしゃあしゃあ」「いけずうずうと」など。

※雑俳・川柳評万句合‐安永五(1776)智一「いけよくのふかいあまだとあばたいい」

※滑稽本・八笑人(1820‐49)四「いけ利(きい)た風に、耳学問のこうぜへた口をたたきたがるから」

[語誌]近世前期の上方には、用例は少なく、ほとんどが「いけ年寄」のように名詞に冠して用いられている。その後、用法を広げ、近世後期の江戸語では、形容動詞、形容詞、動詞などの上に付けて用いられるようになった。

 

出典:精選版日本国語大辞典(小学館)「いけ」より

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しゃあ‐しゃあ


[副](スル)
1 厚かましくて、恥を恥とも思わないで平気でいるさま。「怒られてもしゃあしゃあ(と)している」「いけしゃあしゃあ」
2 水を注ぎかけたり、水が勢いよく流れ出たりする音を表す語。「しゃあしゃあ(と)シャワーを浴びる」


出典:デジタル大辞泉(小学館)「しゃあしゃあ」より
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「いけしゃあしゃあ」の説明は割とあっさりしていましたが、接頭語である「いけ」は品詞別に用例があることもあり少しボリュームがありましたね。ポイントは、後半にある「語誌」の記述で、この言葉は近世(江戸時代)の言葉でもともと上方(大阪や京都)では用例が少なく(名詞にしかつかない)、江戸で様々な品詞に接続するように発展したということが書かれています。たしかに、いかにも江戸弁といった雰囲気を持っている言葉ですね。

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「いけしゃあしゃあ」の語源は?

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次に「いけしゃあしゃあ」の語源を確認しておきましょう。「いけ」は、嫌悪感や非難の気持ちを表す接頭語で、現代ではこのほかに「いけ好かない」と言う言葉が用いられます。その「いけ」に「しゃあしゃあ」という言葉が接続しているのですが、この「しゃあしゃあ」とは何なのでしょうか。

『デジタル大辞泉』にある「しゃあしゃあ」の説明1は「いけしゃあしゃあ」と重複しており要領を得ません。ただ、関連する事項があります。ここで、『デジタル大辞泉』の「しゃあしゃあ」の説明2に関する語源説をごしょうかいしましょう。

信用のおける情報源があるわけではないのであくまでも「諸説あり」という感覚で読んでいただきたいのですが、この「しゃあしゃあ」は流水の音声を模した擬音語として説明があり、それに関する当て字として「洒蛙洒蛙」という表記があります。「洒」は水をそそぐという意味を持った漢字なのでカエルの顔に水をかけている様子が連想されます(あくまでも連想の域を出ませんが)。カエルに水をいくらかけても平気な顔をしていることでしょう。そこから厚かましい様子を表すようになったという理屈なのですが、当て字の場合言葉が先に合ってあとから漢字をあてるケースがあるので、語源説として決定するのには慎重になる必要があります。

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人はとかく語源を求めたがる性質がある。そして語源説は読んでいて面白い。それによって性格とは言えない(裏が取れていない)語源説が出回ってしまうことがしばしばある。信頼のおける情報源があるかどうかの見極めをする姿勢はこの手の言葉を学ぶにあたってとても重要だ。

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「いけしゃあしゃあ」の使い方・例文

「いけしゃあしゃあ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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1.入髪でいけしゃあしゃあと中の丁(『誹風柳多留』
2.容疑者は「俺は関係ない」といけしゃあしゃあとしている。
3.「あなたには関係の無いことです」彼はいけしゃあしゃあと答えた。

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1.は『精選版日本国語大辞典』にも載っている用例で、江戸時代に作られた川柳です。この川柳をキーワードにネットで検索をするといくつか言葉に関するサイトがヒットします。その検索結果によるとここで詠まれている「中の丁」とは「中の町」、現在の東京都港区赤坂であるという説明が大半を占めているのですが、それではこの川柳の面白さがわかりません

そもそも、入髪(いれがみ)とはお坊さんなどが僧であることを隠すために着けたといわれる「付け髪」のことですお坊さんはわざわざ身分を隠して何をするのか。そう、「遊び」に行くのです。そう考えるとこの川柳における「中の丁(中の町)」とは赤坂ではなく、吉原の中央通りを指す「仲の町」であるという解釈が生まれます。お坊さんが、付け髪をしながら吉原の大通りを闊歩しているその厚かましさが「いけしゃあしゃあ」に現れていると考えた方が川柳として自然でしょう。

2, 3と現代日本語で用いられる用例も挙げました。「厚かましい」という意味から、不利な立場にあっても平気な態度でいるというニュアンスで用いられることが多いようです。

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