この記事では「職位」について解説する。

端的に言えば職位の意味は「職場での仕事の地位」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「職位」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「職位」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「職位」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「職位」の意味は?

「職位」には、次のような意味があります。

1.官職と官位。
2.職務上の地位。

出典:明鏡国語辞典第三版(大修館書店)「職位」

会社では例えば代表取締役社長、会長、専務、常務、本部長、事業部長、監査役、相談役などのポストがあり、公務員には部長、課長、主幹、係長、主査、主任、主事などの役職があることはご存じでしょう。企業と国や地方自治体では肩書きこそ違え、その職責は同じようなものがあり、また部長や課長など共通した職位もあります。

以前の人事制度では就職してからの年数によって昇進させる年功序列が一般的でしたが、最近では労働者のやる気を引き出し、お互いに競争意識を持たせるために能力や資格取得の有無により昇進させる例が増えてきました。

「職位」の語源は?

次に「職位」の語源を確認しておきましょう。職位とは組織での職業上の階級を表すもので「職務における地位」のことです。似た言葉に「職階」「職責」があります。しかしこれらの言葉には明確な違いがあるのです。「職階」は職務の地位とともにその制度全般を指します。また「職責」は仕事のうえでの責任を意味しているのです。

\次のページで「「職位」の使い方・例文」を解説!/

「職位」の使い方・例文

「職位」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。

1.一企業の社員として採用されたからには、それなりの職位に就きたいものだ。
2.人気のある企業に転職したが、管理職以上の職位に就くのは簡単ではない。
3.職位が高くなったら、部下からの評価をついつい気にしてしまう。

「職位」にはそれぞれの内容に応じた役割が与えられるのが普通です。企業や自治体にはいろいろな職位がありますが、同じ名称の職位でもそれぞれの企業や自治体によって定義は違います。あるところでは係長より主査のランクが高いこともありますし、またその逆もあるのです。それは企業や自治体の規則によって決まっています。

また職位が上がるにつれて部下は増え、責任も重くなるのでその肩にかかる負担は重くなるでしょう。そのため、なかには昇進したことによりうつ病を発症するなど、いわゆる「燃え尽き症候群」にかかってしまう人もおり、最近どこの企業や自治体でもそれが課題の一つになっています。それを解決するために産業医を置くようになってきました。

「職位」の類義語は?違いは?

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ここでは「職位」の類義語を見ていきましょう。いろいろな企業や自治体の数だけ類義語はあります。

その1「役職」

「役職」は最も一般的な「職位」の類義語でしょう。役目や職務を一つの言葉で表現した言葉が「役職」です。特に管理職を指す場合が多く、普通「肩書き」と言えばこのポジションのことを言います。「役職」は「職位」より上位の印象を与える言葉です。

\次のページで「その2「職階」」を解説!/

その2「職階」

「職階」とは会社や自治体内での階級のことです。例えば専務、部長、課長などを指し、これを制度化したものを職階制と言います。同一の職位に就いている人には同一の給料を支給しようとする制度です。現在話題になっている「同一労働同一賃金」もその一つと言えるでしょう。

職階制はいろいろな種類の職務の複雑さ、難しさ、責任の度合いによって各集団に分けるものです。アメリカでは一般的に取り入れられている制度ですが、日本では戦前まで身分制度と強く結びついており、賃金格差や身分的差別が見受けられました。そのためGHQの指導により、こうした差別を解消するため取り入れられた制度が職階制です。ただし国家公務員や地方公務員については、何度も議論されて一部改正が繰り返されましたが結局陽の目を見ることはなく、厳密な意味での職階制はまだ取り入れられていません。しかしこれまでの制度では実態に合わない部分が多く、不都合が出てきたので慣例的に職階制が機能している状態です。

その3「職掌」

「職掌」は仕事の内容が似た仕事や職種を分けたもので、組織の構成のなかでは最も大雑把な分類法です。職掌はその仕事内容によって事務職と技術職に大別されます。一般的には営業職、事務職、技術職などに分けられるものです。例えば事務職掌に含まれるものには経理、財務、人事などが含まれます。

さらには総合職とか一般職に分類する方法も職掌分類の一つのやり方です。この場合は同じような仕事をしていても、総合職はより責任の重い内容の仕事を担当し、一般職は総合職の補佐的業務を任されます。昭和61(1986)年に男女雇用機会均等法が施行されたことに伴い、総合職と一般職といった職掌分類を採用する企業が増えてきました。

「職位」の対義語は?

はたして「職位」の対義語はあるのでしょうか。職位が仕事に関することであることを考えると、仕事に就いていない人、つまり「無職」はどうでしょう。しかしいまいちしっくりきません。「パート」や「アルバイト」も職種の一つです。そう考えると「職位」の対義語はないと言えるでしょう。

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最後に「職位」の英訳を見ていきましょう。

その1「duty position」

「duty」は仕事、「position」は立場ですから「duty position」で「職位」という意味の英語になります。「duty」にはほかに義務とか関税の意味合いもあり「duty free」と言えば免税品のことです。

その2「employment position of rank」

「employment position of rank」はそのままで「職位」を意味する英語です。「employment」は雇われて働く人、「position」は立場、「 rank」は階級を意味します。わかりやすく訳すると「それぞれの立場で働く人」とでも言えばいいのでしょうか。「employment」は雇われた人ですが、似た単語の「employer」は逆に雇い主となります。

\次のページで「「職位」を使いこなそう」を解説!/

「職位」を使いこなそう

この記事では「職位」の意味・使い方・類語などを説明しました。職位、職階、職責、職務、階級など似たような言葉がたくさんあって、企業の人事担当でなければ簡単には理解できない部分が多いでしょう。それでも職位や職務など基本的な言葉の区別だけは覚えておいてください。

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国語言葉の意味

「職位」の意味や使い方は?例文や類語を元広報紙編集者がわかりやすく解説!

この記事では「職位」について解説する。

端的に言えば職位の意味は「職場での仕事の地位」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「職位」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「職位」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「職位」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「職位」の意味は?

「職位」には、次のような意味があります。

1.官職と官位。
2.職務上の地位。

出典:明鏡国語辞典第三版(大修館書店)「職位」

会社では例えば代表取締役社長、会長、専務、常務、本部長、事業部長、監査役、相談役などのポストがあり、公務員には部長、課長、主幹、係長、主査、主任、主事などの役職があることはご存じでしょう。企業と国や地方自治体では肩書きこそ違え、その職責は同じようなものがあり、また部長や課長など共通した職位もあります。

以前の人事制度では就職してからの年数によって昇進させる年功序列が一般的でしたが、最近では労働者のやる気を引き出し、お互いに競争意識を持たせるために能力や資格取得の有無により昇進させる例が増えてきました。

「職位」の語源は?

次に「職位」の語源を確認しておきましょう。職位とは組織での職業上の階級を表すもので「職務における地位」のことです。似た言葉に「職階」「職責」があります。しかしこれらの言葉には明確な違いがあるのです。「職階」は職務の地位とともにその制度全般を指します。また「職責」は仕事のうえでの責任を意味しているのです。

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