この記事では「危ない橋を渡る」について解説する。

端的に言えば危ない橋を渡るの意味は「危険な手段をとること。特に承知で法律に違反するような行為を行うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「危ない橋を渡る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「危ない橋を渡る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「危ない橋を渡る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「危ない橋を渡る」の意味は?

「危ない橋を渡る」には、次のような意味があります。

危険な手段をとる。特に、承知で法律に違反するような行為を行う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「危ない橋を渡る」

「危ない橋を渡る」とは「危険な手段をとる。特に、承知で法律に違反するような行為を行う」という意味の言葉です。目標を達成するために、ある程度リスクを冒して危険な手段を選択するような時に使われます。特に法律に違反するような行為を行うときに使われますが、これ以外に使ってはいけないということではありません。また、言わずもがなですが実際に橋を渡る行為でなくても使用可能な表現です。

正攻法では目的を達成できないようなことを行うときに、いわば「反則すれすれの手段」を使っていくようなことをするのが「危ない橋を渡る」となります。失敗すれば、谷底に真っ逆さまに落ちてしまうような、リスクと隣り合わせの「一か八か」の行為を指して使われる言葉です。

「危ない橋を渡る」の語源は?

次に「危ない橋を渡る」の語源を確認しておきましょう。向こう岸に行くための手段として、橋を渡る際に、その橋が、今にも落ちてしまいそうな頼りない吊り橋の場合、あなたならどうしますか。もし、どうしても向こう岸に行きたいと思うのであれば、橋が崩れて、自分も谷底に落ちてしまうリスクを背負ってでもその橋を渡ろうとするでしょう。そうしたシーンになぞらえて「危険な手段をとる」ことを「危ない橋を渡る」と言うようになったのです。

\次のページで「「危ない橋を渡る」の使い方・例文」を解説!/

「危ない橋を渡る」の使い方・例文

「危ない橋を渡る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

健太は芸能界での成功をつかむために悪の組織とも付き合っていたが、それは危ない橋を渡るようなものだった。

「危ない橋を渡る」は「危険な手段をとる」ことを指して使われる言葉です。例文では「芸能界での成功」という、実力以上の要素も必要な目標に対して、悪の組織と付き合ってでも成し遂げようと試みる行為をさして「危ない橋を渡る」と表現しています。つまり、「危ない橋」とは「悪の組織と付き合うこと」であり、橋を渡ってたどり着く「向こう岸」とは「芸能界での成功」ということです。

成功をつかむためには、一定のリスクを背負わなくてはならない場面もあります。そうした時に、それを「背負ってでも成功を目指して突き進む」のか「リスクを敬遠して撤退する」のかを決めなくてはなりません。「危ない橋を渡る」はそのリスクが非常に高いと知っていながら、あるいは、それが法律に違反するような行為であると承知していながらも「進む」と決めて取り組むことをさしています。

「危ない橋を渡る」の類義語は?違いは?

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「危険な手段をとる。特に、承知で法律に違反するような行為を行う。」という意味の「危ない橋を渡る」という言葉。類義語として挙げられるのは「綱渡り」「火中の栗を拾う」「虎穴に入らずんば虎子を得ず」などがあります。

「綱渡り」については「橋」ではなく「綱の上」を渡っていくということでリスクを冒していることを表した言葉。「火中の栗を拾う」は燃え盛る火の中にある栗に手を伸ばすというリスクを表していますが、これは自分ではなく、他人のためにリスクを冒している時に使う言葉です。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は「虎穴」という危険な場所に入っていかなくては、虎の子を獲ることはできないという意味で、「大成功するためには、リスクを冒さなくてはならない」ということのたとえとなっています。

その1「綱渡り」

「綱渡り」とは「空中に張った綱の上を芸などをしながらわたること」ですが、そこから転じて「危険をおかして物事を行うこと」という意味を持っています。一歩間違えてしまえば、綱の上から落ちてしまうということに加えて、そもそも不安定な綱の上にいる状況ということで、厳しい状況下であることも表現されているのが、「綱渡り」という言葉です。

\次のページで「その2「火中の栗を拾う」」を解説!/

終盤で相手のクリーンアップに対して真っ向勝負とは、バッテリーも綱渡りの選択をしたものだ。

その2「火中の栗を拾う」

「自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すたとえ」である「火中の栗を拾う」という言葉。これは、フランスの詩人、ラ・フォンテーヌの寓話の中に出てくる、猿におだてられた猫が、いろりの中の栗を拾って大やけどをするお話からできた言葉です。

無能な球団社長のせいで低迷したチームの監督に就任するとは、火中の栗を拾う様なものだ。

その3「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

「危険を冒さなければ、大きな成功は得られないことのたとえ」という意味を持つ「虎穴に入らずんば虎子を得ず」言葉。中国の後漢書班超伝からできたものです。虎が大切に育てている子供を捕獲するためには、あえて虎が住んでいるほら穴に入っていかなければ不可能だということを意味しています。「虎穴」とは「危険な場所」であり、「虎子」は「大きな成功、大切なもの」という意味です。それぞれ単独でも意味を持って使われる場合があります。スポーツなどではゲームの中で苦労して手に入れて守り抜いている1点について「虎の子の1点」などと使われますね。

虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。今こそ設備投資をして事業を拡大しよう。

「危ない橋を渡る」の対義語は?

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「危ない橋を渡る」の対義語は、ずばり「石橋を叩いて渡る」です。同じ橋でも「今にも崩れてしまいそうな危ない橋」ではなく、「石で作られた頑丈な橋」をさらに、叩くことで強度を確認したうえで渡っていくことになります。「危ない橋を渡る」のように、リスクを冒して向こう岸に行くために橋を渡ってしまうのではなく、安全が担保されているはずの石橋を慎重に、万全を期して渡るかどうかを判断していく姿勢も対照的です。

\次のページで「「石橋を叩いて渡る」」を解説!/

「石橋を叩いて渡る」

「堅固に見える石橋でも、なお、安全を確かめてから渡る。用心の上にも用心深く物事を行うことのたとえ」である「石橋を叩いて渡る」という言葉。「危ない橋を渡る」のリスク承知の無謀な行為とは正反対の慎重な行動を指して使われます。物事を疑い、自分の手で確かめて、慎重に行動することはリスクを回避するうえでは重要ですが、そればかりでは、チャンスを逃してしまうこともあるでしょう。そうした時に「石橋を叩いて割る」という表現が使われたりします。厳密にいえば正しくはない表現ですが「言葉遊び」としては、ウィットもあって悪くはないですね。

今日の調子を考えて、4番との対戦は避けた。勝利に向けて石橋を叩いて渡るような選択をした。

「危ない橋を渡る」を使いこなそう

この記事では「危ない橋を渡る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「危険な手段をとる」ことの中でも、特に法律に違反することを承知の上でそのような行為を行うことを指して使われるのが、この言葉です。ビジネスやスポーツにおいて、駆け引きは成功や勝利を手にするために重要。時には「ルール違反」だとしても、そのリスクを取らなくてはならない場面もあります。ただし、あまり「危ない橋」ばかり渡って勝利していると、周囲からは良くは思われないでしょう。そのあたりのさじ加減は、かなり注意しなくてはなりません。いつか、橋の綱を切られるかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

「危ない橋を渡る」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「危ない橋を渡る」について解説する。

端的に言えば危ない橋を渡るの意味は「危険な手段をとること。特に承知で法律に違反するような行為を行うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「危ない橋を渡る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「危ない橋を渡る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「危ない橋を渡る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「危ない橋を渡る」の意味は?

「危ない橋を渡る」には、次のような意味があります。

危険な手段をとる。特に、承知で法律に違反するような行為を行う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「危ない橋を渡る」

「危ない橋を渡る」とは「危険な手段をとる。特に、承知で法律に違反するような行為を行う」という意味の言葉です。目標を達成するために、ある程度リスクを冒して危険な手段を選択するような時に使われます。特に法律に違反するような行為を行うときに使われますが、これ以外に使ってはいけないということではありません。また、言わずもがなですが実際に橋を渡る行為でなくても使用可能な表現です。

正攻法では目的を達成できないようなことを行うときに、いわば「反則すれすれの手段」を使っていくようなことをするのが「危ない橋を渡る」となります。失敗すれば、谷底に真っ逆さまに落ちてしまうような、リスクと隣り合わせの「一か八か」の行為を指して使われる言葉です。

「危ない橋を渡る」の語源は?

次に「危ない橋を渡る」の語源を確認しておきましょう。向こう岸に行くための手段として、橋を渡る際に、その橋が、今にも落ちてしまいそうな頼りない吊り橋の場合、あなたならどうしますか。もし、どうしても向こう岸に行きたいと思うのであれば、橋が崩れて、自分も谷底に落ちてしまうリスクを背負ってでもその橋を渡ろうとするでしょう。そうしたシーンになぞらえて「危険な手段をとる」ことを「危ない橋を渡る」と言うようになったのです。

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