この記事では「手を差し伸べる」について解説する。「手を差し伸べる」は一見もののたとえでも何でもなく、ただ事実を表した言葉のように見える。しかし実際はれっきとした慣用句のひとつです。しかも使用頻度が高いから、覚えておくようにな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「手を差し伸べる」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「手を差し伸べる」ってどんな意味?

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「手を差し伸べる」の意味は以下の通りです。

相手の方へ手を伸ばす動作や様子を表す言い回し。主に「援助する」「助ける」といった意味で用いられる。

出典:Weblio辞書「手を差し伸べる 意味」

上記引用ではひとまとめに解説されていますが、内容を読むと意味が2つあることがわかるでしょうか。まったく違う意味というわけではないため、覚えるのが難しいというわけではありません。しかしどちらか片方しか知らないと誤解の元であるため、両方を頭に入れておいた方が良いでしょう。とはいえ双方特に難しい意味ではないので、覚えるのにそれほどの苦労は不要です。

言い回しじゃない?「手を差し伸べる」

そもそも「手を差し伸べる」は慣用句でもなんでもなく、ただ事実を表した一文として使用されることが多々あります。上記のトピックでは辞書上の意味を引用で記載しました。そこに「相手の方へ手を伸ばす動作や様子を表す」という一文がありますが、読めばわかるとおりたとえでも何でもなく、単に動作の内容を説明しているにすぎません。

言い回し、と言うと「文字通りの意味でないということだな」と思われる場合がありますが、「手を差し伸べる」は正に文字通りの意味を持つ言葉です。わかりやすすぎて盲点にならないよう、覚えておきましょう。

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「手を差し伸べる」にはたとえとしての意味も!

前述のトピックでは「手を差し伸べる」とは文字通りの意味と解説しましたが、もうひとつの意味は「助ける/援助する」などの意味です。つまり、こちらの意味はたとえということになります。

そもそも相手に向かって「手を差し伸べる」とは、何かを差し出すように手を伸ばすという動作の様子です。では何のためにそのような行動を取るのかと言うと、多くの場合は相手を引っ張り上げたり、相手に何かを提供しているという理由が多いでしょう。このことから転じて、相手の味方をしている、有益なことをもたらそうとしているという意味が生まれました。

こちらの意味合いは小説や漫画など、メディアの世界でも頻繁に用いられるため、自然と覚えたという人も少なくないでしょう。

「手を差し伸べる」ってどう使うの?

「手を差し伸べる」の使い方は以下のとおりです。

1.困っている友人に「手を差し伸べる」。彼女はそういう性格だ。
2.信じる者には救いの「手が差し伸べられる」というのが、あの宗教の教えらしい。
3.幼い子が懸命に段差を上がろうとしていたので、私は「手を差し伸べた」。

1、2はたとえの意味を持つ文章であり、3は文字通りの意味を持つ例です。前後に「誰の/何の」「誰に対する」という言葉が繋がることが多く、例文でも「友人に」「救いの」「私が」などの言葉が並べられています。

たとえの意味の場合、「手を差し伸べる」というと単に「手助けする」と表現するよりもやや大仰なニュアンスが生じるため、「僕は手を差し伸べた」などと自分を主語にすることはやや少ないです。反面人に対して使用すると、対象に対し慈悲深い・情け深いというイメージを持たせやすくなります。

「手を差し伸べる」が象徴することとは?

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「手を差し伸べる」はとても象徴的な言葉と言えます。助ける・援助するなど比喩的な意味を持つ一方で、きわめて具体的な動作も同時に表しているため、頭の中でイメージを組み立てやすいのです。そのため、単に助ける、手伝うなどという表現を使うのではなく、「手を差し伸べる」という言葉を使うことでより強く対象を助けることを印象付けられます。

「手を差し伸べる」は絵になる言葉?

「手を差し伸べる」は、具体的な動作を表す言葉であり、絵や映像など視覚化しやすい表現です。さらに意味合いとして「誰かを助ける」という内容であるため、誰かが誰かを助けるシーンの象徴として使用されることも多々あります。

「手を差し伸べる」で検索すると、「構図」「描き方」などの言葉がサジェストに出てくるのはその表れであり、何らかのメディア作品に対し「手を差し伸べる」というシーンを入れるべく考えを巡らせる人が多い証拠です。人間の手は決して珍しいものではなく、日常の中で多くの人が日夜自然に見ているものですが、「差し伸べる」という動作をすることでメッセージ性が生まれます。

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「手を伸ばす」と「手を差し伸べる」は違う?

「手を伸ばす」という表現があります。これは文字通り手が意思を持ってどこかの方向に伸びている様子ですが、「手を差し伸べる」とは意味がまったく違う言葉です。「手を差し伸べる」は差し伸べる側と差し伸べられる側の2つがありますが、「手を伸ばす」には「助ける」というニュアンスが無いため、ひとりであっても成立します。

そのため、「助けるために手を伸ばした」などという表現で「助ける」というニュアンスを付け加えてやっと意味が同じになるのです。小さい違いに思えるかもしれませんが、受け取る側の印象が変わってくるため注意してください。

「手を差し伸べる」の類義語は?

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「手を差し伸べる」の類義語は「手助け/援助する/助ける/手伝う/支援する」などです。単に動作としての意味合いでは、「手を差し出す/手を伸ばす」などが該当します。上記のトピックで記載しましたが、「手を差し伸べる」には意味が2つあるため、類義語も2種類あるのです。

そのため、置き換えには注意が必要となります。動作としての「手を差し伸べる」の置き換えとして「支援する」などの言葉を当てはめると内容が変わってしまいますし、その逆もまた同じ結果です。くれぐれも注意しましょう。

「手を差し伸べる」の奥深さ

「手を差し伸べる」は表している動作としてはとても具体的で、かつシンプルです。人の手とは日常の中のさまざまな場面で見るものであり、珍しいものでも知名度が低いようなものでもありません。しかしそのありふれている「手」というパーツが、「手を差し伸べる」という言い回しになった途端、誰かが誰かを助ける象徴に一変するのです。

この奥深さ、変化の自由さこそ言葉の世界の真骨頂。醍醐味と言っても良いでしょう。もちろんこのようなことは試験には出ませんし、覚えておかなくてもテストの点が引かれることもありません。しかし、国語の世界の一端だけでも知っておいて欲しいと思います。国語に限らず、あらゆる学習の楽しみはそこにこそ眠っているものです。

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国語言葉の意味

簡単だけど奥深く象徴的!「手を差し伸べる」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「手を差し伸べる」について解説する。「手を差し伸べる」は一見もののたとえでも何でもなく、ただ事実を表した言葉のように見える。しかし実際はれっきとした慣用句のひとつです。しかも使用頻度が高いから、覚えておくようにな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「手を差し伸べる」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「手を差し伸べる」ってどんな意味?

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「手を差し伸べる」の意味は以下の通りです。

相手の方へ手を伸ばす動作や様子を表す言い回し。主に「援助する」「助ける」といった意味で用いられる。

出典:Weblio辞書「手を差し伸べる 意味」

上記引用ではひとまとめに解説されていますが、内容を読むと意味が2つあることがわかるでしょうか。まったく違う意味というわけではないため、覚えるのが難しいというわけではありません。しかしどちらか片方しか知らないと誤解の元であるため、両方を頭に入れておいた方が良いでしょう。とはいえ双方特に難しい意味ではないので、覚えるのにそれほどの苦労は不要です。

言い回しじゃない?「手を差し伸べる」

そもそも「手を差し伸べる」は慣用句でもなんでもなく、ただ事実を表した一文として使用されることが多々あります。上記のトピックでは辞書上の意味を引用で記載しました。そこに「相手の方へ手を伸ばす動作や様子を表す」という一文がありますが、読めばわかるとおりたとえでも何でもなく、単に動作の内容を説明しているにすぎません。

言い回し、と言うと「文字通りの意味でないということだな」と思われる場合がありますが、「手を差し伸べる」は正に文字通りの意味を持つ言葉です。わかりやすすぎて盲点にならないよう、覚えておきましょう。

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