この記事では「少年老い易く学成り難し」について解説する。

端的に言えば少年老い易く学成り難しの意味は「年は老いやすいが、学問は成就しない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

最近、少年老い易く学成り難しを実感している、読書家ライター伊勢雄真を呼んです。一緒に「少年老い易く学成り難し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/伊勢雄真

理工学部に所属する現役大学生。読書が好きで自然科学分野から人文学・社会科学まで幅広く読む。
読書で培った様々な知識と理系の勉強で養った論理的思考力で、みなさんを「少年老い易く学成り難し」の奥深い世界に誘いこもう。

「少年老い易く学成り難し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「少年老い易く学成り難し」の世界を桜木先生と一緒に見ていきましょう。

「少年老い易く学成り難し」の意味は?

「少年老い易く学成り難し」は「しょうねんおいやすくがくなりがたし」と読みます。それでは、「少年老い易く学成り難し」の辞書的な意味は何か?国語辞典を引いて調べてみましょう。

若いと思っているうちにすぐ年を取ってしまうが学問はなかなか成就しない。寸暇を惜しんで勉強せよという意味です。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「少年老い易く学成り難し」

詳しく見ていきます。前半部分は読んだ通りの意味です。後半に出てくる寸暇とはわずかな暇という意味ですね。どんな隙間時間も無駄にせず、勉強に励むべきだという意味になります。

寸暇という言葉について、もう少し説明しておきましょう。「寸暇を惜しんで勉強する」というのが正しい使いかたですが、近年では「寸暇を惜しまず勉強する」などと誤用していることが多いようです。寸暇はわずかな暇なので、わずかな暇を惜しまないという後者の使い方では意味が変わってしまいます。注意しましょう。

「少年老い易く学成り難し」の語源は?

次に「少年老い易く学成り難し」の語源を見ていきます。この慣用句は朱熹という中国の思想家の「偶成」からの句です。では、「少年老い易く学成り難し」はもともとどのような文脈で使われているのでしょうか。少し確認しておきたいと思います。

\次のページで「「少年老い易く学成り難し」の使い方・例文」を解説!/

少年老い易く学成り難し、一寸の光陰かるんずべからず、未だ覚めず池塘春草の夢、階前の悟用すでに秋声。

朱熹「偶成の詩」

このように使われているのですね。特に「少年老い易く学成り難し」と「一寸の光陰軽んずべからず」はセットなので、しっかり覚えておきましょう。「いっすんのこういんかるんずべからず」と読みます。

引用した句の意味をしっかり見ていきましょう。「少年老い易く学成り難し」は先ほどまで見てきた通り。「一寸の光陰軽んずべからず」は「わずかな時間も無駄にしてはならない」という意味です。「未だ覚めず池塘春草の夢」の部分は難しいですね。少年時代のはかない夢と訳します。階前は「庭先」、悟用アオギリの葉という意味です。秋声は風雨や木の葉のそよぎなどの音に感じられる秋の気配という意味。つまり、「階前の悟用すでに秋声」は「庭先のアオギリの葉はもう秋の気配を感じられるころになった」と訳せます。なんとなく似たようなことを繰り返している。そういった詩となっていますね。

「少年老い易く学成り難し」の使い方・例文

つぎに「少年老い易く学成り難し」の使い方を見ていきます。次の例文を見てください。

おじいちゃんとおばあちゃんは日々、私に「少年老い易く学成り難しだよ。子供のうちに勉強しなさい」と言った。

辞書の通りの意味となっているのがわかると思います。

ここでよく間違えられるのが「少年」を「男の子」と見なしてしまうケースです。ここで言う「少年」は年少の者、すなわち子供という意味。男児に絞って話をしているわけではないということを意識しておきましょう。

\次のページで「「少年老い易く学成り難し」の類義語は?違いは?」を解説!/

「少年老い易く学成り難し」の類義語は?違いは?

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それでは、「少年老い易く学成り難し」の類義語とその違いを説明していきます。3つ紹介しましょう。

その1「盛年重ねて来らず」

「せいねんかさねてきたらず」と読みます。陶淵明の「雑誌」から出てきた慣用句です。若い時は二度と来ないので、人生のもっともよい時間を失うことなく、充実したときを過ごすべきであることという意味ですよ。実際には次のように使われています。

盛年重ねて来たらず、一日再び晨(あした)なり難し。

出典:陶淵明「雑誌」

日本語に訳すと、「若い時は二度と来ないし、一日に朝は二度やってくることもない」となります。

その2「日暮れて道遠し」

ひくれてみちとおし」と読みます。「ひぐれて」と読むのは誤用なので気を付けましょう。意味は「年を取ったのに、まだ少ししか目的を達成していない」という意味です。「期限が迫っているのに、仕事がはかどらない」という意味もあります。

その3「少年学ばざれば老後知らず」

若い時にしっかりと学んでおかなければ、物を知らないがために老年になってから苦労するという意味です。中国の古い詩である「長歌行」に出てくる表現となっています。こちらの「少年」も男の子という意味ではなく、「若者」という意味ですので気を付けましょう。

\次のページで「「少年老い易く学成り難し」の対義語は?」を解説!/

「少年老い易く学成り難し」の対義語は?

「少年老い易く学成り難し」の対義語ですが、存在しません。「少年老い易く学成り難し」という言葉自体が格言のようなで、自明な事柄ですので、これと対立するという言葉が存在しないのです。

「少年老い易く学成り難し」の英訳は?

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最後に「少年老い易く学成り難し」の英訳をしていきます。

その1「The young become old soon but it is too difficult for their to be a learned person.」

若者はすぐに年を取るが、学のある人になるのは難しいという意味です。「the young」で若者という意味ですが、集合と見なしているので動詞は複数と見なします。butより後ろの部分が「学のある人になるのは難しい」という意味ですが、ここは文法的にも難しいですね。強調構文を使って書いています。itは後ろの「for their to be learned person」を指していて、ここが「彼ら(=若者)が学のある人になること」という意味になるのです。それが、「it is difficult」、つまり難しいということですね。

その2「Art is long , life is short.」

「芸術は長く、人生は短い」という英語のことわざです。ここでいう「art」は芸術作品自体が長いことを指しているのではなく、芸術ということを修めるには時間がかかるという意味ですよ。それをするのには、人生は短すぎるということですね。

「少年老い易く学成り難し」を使いこなそう

この記事では桜木先生と一緒に「少年老い易く学成り難し」について学んできました。最後にこの記事のポイントを確認しましょう。1.「少年老い易く学成り難し」の意味。2.「少年老い易く学成り難し」の使い方。3.少年老い易く学成り難しの類義語。4.「少年」のもう一つの意味。5.「少年老い易く学成り難し」の英訳。さて、すべて答えられましたか?答えられなかったところは振り返って確認するようにしましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「少年老い易く学成り難し」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「少年老い易く学成り難し」について解説する。

端的に言えば少年老い易く学成り難しの意味は「年は老いやすいが、学問は成就しない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

最近、少年老い易く学成り難しを実感している、読書家ライター伊勢雄真を呼んです。一緒に「少年老い易く学成り難し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/伊勢雄真

理工学部に所属する現役大学生。読書が好きで自然科学分野から人文学・社会科学まで幅広く読む。
読書で培った様々な知識と理系の勉強で養った論理的思考力で、みなさんを「少年老い易く学成り難し」の奥深い世界に誘いこもう。

「少年老い易く学成り難し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「少年老い易く学成り難し」の世界を桜木先生と一緒に見ていきましょう。

「少年老い易く学成り難し」の意味は?

「少年老い易く学成り難し」は「しょうねんおいやすくがくなりがたし」と読みます。それでは、「少年老い易く学成り難し」の辞書的な意味は何か?国語辞典を引いて調べてみましょう。

若いと思っているうちにすぐ年を取ってしまうが学問はなかなか成就しない。寸暇を惜しんで勉強せよという意味です。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「少年老い易く学成り難し」

詳しく見ていきます。前半部分は読んだ通りの意味です。後半に出てくる寸暇とはわずかな暇という意味ですね。どんな隙間時間も無駄にせず、勉強に励むべきだという意味になります。

寸暇という言葉について、もう少し説明しておきましょう。「寸暇を惜しんで勉強する」というのが正しい使いかたですが、近年では「寸暇を惜しまず勉強する」などと誤用していることが多いようです。寸暇はわずかな暇なので、わずかな暇を惜しまないという後者の使い方では意味が変わってしまいます。注意しましょう。

「少年老い易く学成り難し」の語源は?

次に「少年老い易く学成り難し」の語源を見ていきます。この慣用句は朱熹という中国の思想家の「偶成」からの句です。では、「少年老い易く学成り難し」はもともとどのような文脈で使われているのでしょうか。少し確認しておきたいと思います。

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