この記事では「疑わしきは罰せず」について解説する。「疑わしきは罰せず」とは、慣用句ではありますが、かなり言葉通りの意味を持つ言い回しです。予備知識が無くても、どんな意味かピンとくる場合も多い。だから辞書上の意味よりも、もっと細かいことについて覚えるつもりで記事を読んでくれ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「疑わしきは罰せず」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「疑わしきは罰せず」ってどういう意味?

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「疑わしきは罰せず」の意味は以下のとおりです。

刑事訴訟で、犯罪事実がはっきりと証明されないときは、被告人の利益になるように決定すべきであるという原則。疑わしきは被告人の利益に。

出典:goo辞書「疑わしきは罰せず」

「疑わしきは罰せず」とは、そもそもの話をすると、国語的な言い回しというよりは法律の原則です。「疑わしいというだけで、はっきり犯人と決まったわけでもないのに罰してはいけない」という意味であり、状況証拠のみで犯人を断定したり、冤罪を避けようとする法律の成り立ちから言葉が出てきました。

現在は法律に関係なく日常の言い回しとしても使用されるようになり、さまざまな場面で使用される言葉です。ただし日常生活で使用する場合、「この人ははっきり悪事がわかるまで人を責めない人なんだな」と、使用者の性格や考え方として受け取られることもあります。

「疑わしきは罰せず」の使い方は?

「疑わしきは罰せず」の使い方は以下のとおりです。

\次のページで「「疑わしきは罰せず」について」を解説!/

1.トラブルの原因は彼かもしれないが、「疑わしきは罰せず」だ。
2.「疑わしきは罰せず」と言うでしょう。証拠もないのに、吊し上げのような真似はできないわ。
3.こういう時こそ、「疑わしきは罰せず」。犯人捜しは止めて、この件は忘れよう。

「疑わしきは罰せず」は言い回しというよりも、「疑わしきは罰せず」という言葉そのもので、文章として完結しているという側面があります。そのため、「疑わしきは罰せず」の後に「だ/である」などが繋がり、それだけで一文が終わるということも少なくありません。

例文の1、2、3のいずれも、「疑わしきは罰せず」の後には「だ/という」などが繋がるだけで、すぐに句読点が入り文章が切れています。実際に使用する際も例文のようなケースが多く、前後の繋がりにあまり気を払われない言葉でもあるのです。

「疑わしきは罰せず」について

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「疑わしきは罰せず」は、言葉の意味だけでなく、なりたちについても押さえておいた方が良い話がたくさんあります。他の多くの言葉と違い、人の手によって作られた言い回しという側面が大きいため、言葉の見方も他の言い回しとは異なるでしょう。

実際には生活の場でもしばしば使われているとはいえ、もっとも大きな特徴は、基本的に法律ないし法律に関連する言葉であるということです。特に業界専用用語というわけでもないのに生活には浸透していないという言葉も多い中、法律用語でありながら生活の場に広まっているという意味では、「疑わしきは罰せず」は珍しい言葉と言えます。

現代日本で使用される「疑わしきは罰せず」

「疑わしきは罰せず」は、言葉として使われると同時に、ある意味物の名前としても使われていると言っても過言ではありません。上記のピックで述べたような例文でもわかりますが、「疑わしきは罰せず」とは「疑わしいというだけで人を罰しない」という行為。そして同時に、「疑わしいというだけで人を罰するのはやめるべき」という考え方を表しています。

「疑わしきは罰せず」と一言いうだけで、相手の考え方や行動の指針が分かるのです。ある意味では目印やマークのような役割を果たしており、言葉というより考え方の名前として扱われていると言えるでしょう。

推定無罪と「疑わしきは罰せず」の関係

「推定無罪」という言葉があります。「疑わしきは罰せず」と並べられることもままありますが、推定無罪は「疑わしきは罰せず」とほぼ同様の意味を持っており、言い方が異なるだけと捉えておいて構いません。

「推定無罪」もまた近代法の原則であり、「有罪とはっきりするまでは無罪とみなされる(無罪と同様の扱いを受ける)」ということになります。「疑わしきは罰せず」は「疑わしいというだけでは罰しない」という意味であるため、双方「罪が確定するまでは誰も有罪扱いにならない」という点で共通していることがわかるでしょう。

ただ、「推定無罪」という言い方の場合、読んだだけでは相手に伝わりづらいことがあります。知識なしでも意味が推測できるという点では、「疑わしきは罰せず」の方がさらに分かりやすいと言えるでしょう。

「疑わしきは罰せよ」のパターンもある?

「疑わしきは罰せよ」という言葉があります。「疑わしきは罰せず」のパターンと比べ、どちらが間違いなのかと悩む人をときおり見かけますが、これらはふたつとも正解です。

「疑わしきは罰せよ」とは、法律でも何でもなく、「疑わしきは罰せず」が元になった造語とも言えます。意味は文字どおり、「疑わしいと感じた時点で罰するべきである」という意味です。

考えが浅く短絡的という見方もできるため、基本的にはこのような考え方は生活においてされませんが、まれにミステリー作品やボードゲームなどで考え方の例として出てくることもあります。いずれにしろ「疑わしきは罰せず」を元に新たに生まれただけで、特に間違いというわけではありません。

\次のページで「「疑わしきは罰せず」の類義語には何がある?」を解説!/

「疑わしきは罰せず」の類義語には何がある?

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「疑わしきは罰せず」の類義語には、「推定無罪/疑わしきは被告人の利益に」などが該当します。元々意味としてはかなり限定的であり、さまざまな要素を一つの言葉に含むため、類義語の数はかなり少なめです。「推定無罪/疑わしきは被告人の利益に」の2つも一般的には近代法の解説などに出番が偏りがちであり、生活で頻繁に出てくるとは言えません。

知名度と言う意味では「疑わしきは罰せず」がもっとも高く、予備知識なしでも意味を推測しやすいです。そのため、どうしても「疑わしきは罰せず」を使えない時以外で、あえて類義語を使う意味は薄めと言えるでしょう。

「疑わしきは罰せず」の現実

「疑わしきは罰せず」は近代法の原則です。つまり、現代日本の法律は「疑わしきは罰せず」を前提として作成され、運用されています。ただし、このことが常に万事に適用されているとは限りません。

人間の犯す罪は常にはっきりした証拠があるとは限らないわけですが、それでもその中でどこかに線を引き、法律を適用しなければならないわけです。その線が「疑わしきは罰せず」の法則ですが、言い換えると証拠が無い限りは、実際に罪を犯していても裁かれないということになります。

法律の世界ではともかく、人の生活の中では「疑わしきは罰せず」が適用されないこともあるのです。企業などの中では状況証拠で人に罰則が下されることもあり得ますし、あくまで理想であることは心にとどめておきましょう。

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国語言葉の意味

近代法の原則が生活にも?「疑わしきは罰せず」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターが簡単にわかりやすく解説!

この記事では「疑わしきは罰せず」について解説する。「疑わしきは罰せず」とは、慣用句ではありますが、かなり言葉通りの意味を持つ言い回しです。予備知識が無くても、どんな意味かピンとくる場合も多い。だから辞書上の意味よりも、もっと細かいことについて覚えるつもりで記事を読んでくれ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「疑わしきは罰せず」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「疑わしきは罰せず」ってどういう意味?

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「疑わしきは罰せず」の意味は以下のとおりです。

刑事訴訟で、犯罪事実がはっきりと証明されないときは、被告人の利益になるように決定すべきであるという原則。疑わしきは被告人の利益に。

出典:goo辞書「疑わしきは罰せず」

「疑わしきは罰せず」とは、そもそもの話をすると、国語的な言い回しというよりは法律の原則です。「疑わしいというだけで、はっきり犯人と決まったわけでもないのに罰してはいけない」という意味であり、状況証拠のみで犯人を断定したり、冤罪を避けようとする法律の成り立ちから言葉が出てきました。

現在は法律に関係なく日常の言い回しとしても使用されるようになり、さまざまな場面で使用される言葉です。ただし日常生活で使用する場合、「この人ははっきり悪事がわかるまで人を責めない人なんだな」と、使用者の性格や考え方として受け取られることもあります。

「疑わしきは罰せず」の使い方は?

「疑わしきは罰せず」の使い方は以下のとおりです。

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