この記事では「放縦」について解説する。

端的に言えば放縦の意味は「勝手気ままなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「放縦」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「放縦」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「放縦」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「放縦」の意味は?

「放縦」には、次のような意味があります。

ほう‐しょう〔ハウ‐〕【放▽縦】
[名・形動]「ほうじゅう(放縦)」に同じ。

ほう‐じゅう〔ハウ‐〕【放縦】
[名・形動]何の規律もなく勝手にしたいことをすること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「放縦」

放縦」という書き方で「ほうじゅう」「ほうしょう」と2通りの読み方が可能ですがどちらで読んでも意味は同じです。「気ままなこと、わがまま」「なんの節度もなく気ままにふるまうこと」という意味の熟語になります。まずは読み方と意味について理解しておきましょう。

「放縦」の語源は?

次に「放縦」の語源を確認しておきましょう。今回はそれぞれの漢字の意味から考えていきます。

」という漢字は「解放」「放牧」などの熟語で目にする「はなれる」「ときはなす」という意味の他、四字熟語の「自由奔放」に使われているように「勝手気まま」という意味も持っている漢字。さらに「」という字についても、「ときはなつ」「気ままにする」という意味を持っています。

こうした似た意味の言葉が合わさって「勝手きまま」という意味の「放縦」という熟語が構成されているのです。

\次のページで「「放縦」の使い方・例文」を解説!/

「放縦」の使い方・例文

「放縦」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.他人の放縦な生き方は、なかなか真似できるものではない。
2.放縦すぎる会社の方針のせいで、職場は混乱している。
3.放縦な生活の中でも心理的なストレスはある。

どれも「勝手気まま」「好きな様に振る舞う」という意味で使われている例文を3つ用意しました。傾向としては、「性格」「生き方」などとセットで使われることが多いようです。前後の文脈によって褒め言葉にも、揶揄にもとれる表現になるので、少し使う際には注意が必要になります。

「放縦」の類義語は?違いは?

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ここからは「放縦」の類義語について、詳しく見ていきましょう。

その1「放埒」

これは「ほうらつ」と読む熟語です。「」という漢字は「埒(らち)が明かない」などの表現で使われています。ここでは「ほうらつ」と読みますので注意しましょう。「放埒」も「放縦」と同じ様に「勝手気まま」という意味がありますが、この2語には少しニュアンスの違いがあります。

「放埒」の「」は「」の意味があり、元は馬が柵から放たれることを指す表現でした。そのため、今まで縛られていたものから解放されるようなイメージです。今ではどちらかと言うと「女色・酒色にふける」「素行がおさまらない」といった様な意味で使われることが多くなっています。一方で「放縦」には「素行が悪い」といったニュアンスまでは含まれないことが多いです。

細かい違いではありますが、2語のニュアンスの違いをしっかり理解しておきましょう。

\次のページで「その2「放逸」」を解説!/

その2「放逸」

こちらは「ほういつ」という読みます。簡単に言うと「気まま」「わがまま」という意味で、放縦と似た意味の類義語として挙げられる言葉です。

2語の違いは「放逸」の意味を確認すると見えてきます。「放逸」は「わがままで節度がないようす」「乱暴で残酷なこと」を意味し、「放縦」よりも社会のルールや常識、一般的な価値観から逸脱しているニュアンスを含む表現になっているのです。

そのため、「放縦」と「放逸」を使い分ける際は、ニュアンスの違いを踏まえた上で文脈に合わせて判断できるようにしましょう。

その3「放恣」

最後は「ほうし」と読む言葉を紹介します。こちらも「自分のやりたいようにやる」といった意味を持っていて、「放縦」と類似した言葉です。

詳しく見てみると「」という漢字は「ほしいまま」と読むことができ、「自分の思うとおりにふるまうさま」を指します。実は、「放縦」の「」という漢字も「ほしいまま」という読みを持っているのです。そのため、熟語としての意味も似たものになっている、ということですね。

とはいえ、ニュアンスの違いは少し存在しています。「放恣」はどちらかというと「しまりがない」という状態を示す言葉で、「わがままでだらしない」というようなマイナスのイメージが強い表現になりますので、注意しましょう。

「放縦」の対義語は?

次に、「勝手気まま」という意味を持つ「放縦」の対義語について見ていきましょう。

放縦の対義語は「自制」

勝手気まま」という意味を持つ「放縦」の対義語としては、「自分の感情や欲望を抑える」という意味の「自制」がぴったりです。「自制心」のような形でも使われますので、合わせて覚えておくと良いでしょう。

また、「自制」似た言葉で「節制」といった表現もあります。「度をこさないようにほどよくすること」「欲望を理性によって統御すること」という意味で、こちらも幅広い場面で使える言葉です。どちらも「放縦」の対義語として理解しておきましょう。

「放縦」の英訳は?

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最後に、「放縦」の英訳について見ていきましょう。

放縦は英語で「dissolute」

放縦」に対応する英単語としては「dissolute」という形容詞があります。人やふるまいが「ふしだら」「放縦」「だらしない」といった様子を表す表現です。また、「dissoluteness」とすれば名詞として表現することもできます。

その他にも、「self-indulgence」という名詞表現で訳すことも可能です。こちらも「わがまま」「放縦」といった意味で使われますので、文脈によってはこちらを使用しても良いでしょう。

以下にそれぞれの例文を用意しておりますので、チェックしてみてください。

\次のページで「「放縦」を使いこなそう」を解説!/

We lead a dissolute life.
我々は放縦な生活を送っている。

They are given to self-indulgence.
彼らは放縦に流れがちだ。

「放縦」を使いこなそう

この記事では「放縦」の意味・使い方・類語などを説明しました。

2通りの読み方があるということを知らなかった方も多いかもしれません。意味については、それぞれの漢字の持つ意味から連想するとわかりやすくなります。これは「放縦」だけでなく、他の熟語に関しても言えることですので、ぜひ覚えておいてください。また、関連する類義語も多く存在しますので、合わせてチェックしてきましょう。

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国語言葉の意味

「放縦」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

この記事では「放縦」について解説する。

端的に言えば放縦の意味は「勝手気ままなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「放縦」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「放縦」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「放縦」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「放縦」の意味は?

「放縦」には、次のような意味があります。

ほう‐しょう〔ハウ‐〕【放▽縦】
[名・形動]「ほうじゅう(放縦)」に同じ。

ほう‐じゅう〔ハウ‐〕【放縦】
[名・形動]何の規律もなく勝手にしたいことをすること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「放縦」

放縦」という書き方で「ほうじゅう」「ほうしょう」と2通りの読み方が可能ですがどちらで読んでも意味は同じです。「気ままなこと、わがまま」「なんの節度もなく気ままにふるまうこと」という意味の熟語になります。まずは読み方と意味について理解しておきましょう。

「放縦」の語源は?

次に「放縦」の語源を確認しておきましょう。今回はそれぞれの漢字の意味から考えていきます。

」という漢字は「解放」「放牧」などの熟語で目にする「はなれる」「ときはなす」という意味の他、四字熟語の「自由奔放」に使われているように「勝手気まま」という意味も持っている漢字。さらに「」という字についても、「ときはなつ」「気ままにする」という意味を持っています。

こうした似た意味の言葉が合わさって「勝手きまま」という意味の「放縦」という熟語が構成されているのです。

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