この記事では「憂き目」について解説する。

端的に言えば憂き目の意味は「つらいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「憂き目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「憂き目」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「憂き目」の意味や語源・使い方まとめ

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あなたは「憂き目」に遭ったことはありますか?「憂(うき)」という言葉がキーワードになりそうですね。長い人生一度は「憂き目」をみるでしょう。今回は誰しもが経験する「憂き目」について詳しく解説していきます。

それでは早速「憂き目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憂き目」の意味は?

「憂き目」には、次のような意味があります。

1.つらいこと。
2.苦しい体験。
3.つらく悲しいこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「憂き目」

「憂き目」とは「うきめ」と読み、「つらく悲しいこと」の意。苦しさで耐えがたい体験という意味もあるので、つらさの度合いはかなり強めという事になりますね。つらいという感覚は人それぞれで、「憂き目」という言葉は失恋から親族の不幸まで、幅広く用いられる表現になりますよ。

「憂き目」の語源は?

次に「憂き目」の語源を確認しておきましょう。

「憂き」とは古語における「憂し(うし)」という形容詞の連体形です。「憂」という文字は「人の頭部を強調・心臓・下向きの足」からなる象形から「頭・心を悩ます・心配」という意味に成りましたよ。「目」はこの場合「経験や体験・ある事態に遭遇する」の意味があり、「ひどい目に遭う」なども「ひどい体験をした」という解釈になりますね。そこから「憂き目」は「つらい経験をした」という意味の言葉が出来上がりました。

\次のページで「「憂き目」の使い方・例文」を解説!/

「憂き目」の使い方・例文

「憂き目」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は長年想い続けた幼なじみに振られて憂き目を見た。
2.代替わりしてわずか1年で倒産してしまい、社員に憂き目を味わわせてしまった。
3.妊娠中に母が亡くなるという人生最大の憂き目に遭った。

3つの例文を挙げてみました。例文1は初めての失恋でしょうか。物心つく頃にはいつもそばにいた彼女を意識するようになって、長い年月が経っているほど失恋の痛手は大きいですね。例文2は個人事業だとあり得る話ではないでしょうか。親子と言えども個性も能力もそれぞれです。また時代の流れなどもあるでしょう。ですが先代の頃から付いてきてくれた社員にとっては、先代同様につらく悲しい出来事ですね。例文3は私の実体験を例文にしてみました。初めての妊娠中に母が他界し、寂しさはもちろん、これから控えている出産や育児もやっていけるか不安で押し潰されそうでしたよ。まさに人生最大の憂き目でした。

このように「憂き目」は、単独で用いるよりも「~を見る」「~に遭った」「~を味わう」など色んな言葉に接続して使われる事が多いですよ。

「憂き目」の類義語は?違いは?

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つらいこと・悲しいことを表す「憂き目」には、いったいどんな類義語があるでしょうか?

その1「不運に見舞われる」

「不運に見舞われる」とは「悪い結果に巻き込まれる」の意。運が悪いことのニュアンスとしても用いられます。「見舞われる」という言葉は、「見舞う」だと「慰め」の意味になり、病院に見舞う・お見舞いなどで使われていますね。これが受身形になると、多くの場合「好ましくないものに遭遇する」という意味に変わります。ですので「不運に見舞われる」は「不運に遭遇する」という解釈になりますよ。

そして同じ意味で実に多くの言い換え表現があるのも、この言葉の特徴です。「不幸に見舞われる」・「悲運に見舞われる」・「災難に見舞われる」など、状況に応じて適した言葉で表現出来ますよ。「憂き目」の類義語としては、総合的な意味を持つ「不運に見舞われる」がふさわしいでしょう。 

\次のページで「その2「羽目に陥る」」を解説!/

その2「羽目に陥る」

「羽目に陥る」「はめにおちいる」と読み、「追い詰められた事態になる」の意。

「羽目」とは建物などで板を平坦に張った板張りのことで、そこから派生して「羽目(板)を背に相手に追い詰められた状態」=「逃げ場がなくなった状態」のことを指す「羽目に陥る」という言い方が出来たのです。みなさんもよくご存じの「羽目を外す」もここからきていますよ。羽目板を外してしまうと柱や骨組みが丸見えになり外観を損なう、の意味を受けて「調子に乗りすぎて失敗する」の意味で使われるようになったのです。

「憂き目」の「つらく苦しい体験」と共通しているので類義語としてふさわしいでしょう。

「憂き目」の対義語は?

ネガティブな印象の「憂き目」という言葉には、ポジティブな対義語はあるでしょうか?

「日の目」

「日の目」とは「日光・日差し」のことを言い、「日の目を見る」という慣用句で用いられる時、「注目・評価される」を意味します。「長い間不遇だった者が世に認められるようになる」という意味もあることから、「つらい・苦しいこと」の反対の意味として「憂き目」の対義語に定義されましたよ。

よく「陽の目」という間違った表記がありますが、本来は「の光」という意味ですので書き間違いに注意しましょう。

「憂き目」の英訳は?

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「憂き目」やその類義語から英語ではいくつか表現方法があります。そのうちの2つを紹介していきましょう。

その1「hardship」

「hardship」「憂き目・苦難」などと表現したい時に使える英単語です。たとえば「苦難を乗り越えた」と言いたい時は「overcame hardships」などと表現しますよ。

その2「sorrow」

「sorrow」「悲しみ・悲哀」を表す名詞です。人の死のような深い悲しみを表す時に用いられますよ。「grief」という単語も同じ意味ですので、言い換えが可能ですよ。例文を挙げるので参考にしてください。

\次のページで「「憂き目」を使いこなそう」を解説!/

「I was sollowed by my mother's death,but overcame hardships and gave birth.」

(私は母が亡くなる憂き目に遭ったが、苦難を乗り越えて出産した。)

「憂き目」を使いこなそう

この記事では「憂き目」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しましょう。

「憂き目」とはつらく悲しいこと・苦しい体験を意味する言葉でしたね。今回は類義語で紹介した「見舞われる」や「羽目」の幅広い意味にも触れてみました。普段何気なく使っている言葉ですが、受身形になると意味が全く違うものになったりするので言葉とは奥深いなと感じますね。

憂き目に遭いたくて遭う人はいませんよね。できれば穏やかに過ごしたいと誰しもが願うと思います。もし身近な人が「憂き目」に遭ってつらい思いをしていたら、迷わず手を差し伸べる人でありたいものですね。

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国語言葉の意味

「憂き目」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「憂き目」について解説する。

端的に言えば憂き目の意味は「つらいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「憂き目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「憂き目」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「憂き目」の意味や語源・使い方まとめ

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あなたは「憂き目」に遭ったことはありますか?「憂(うき)」という言葉がキーワードになりそうですね。長い人生一度は「憂き目」をみるでしょう。今回は誰しもが経験する「憂き目」について詳しく解説していきます。

それでは早速「憂き目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憂き目」の意味は?

「憂き目」には、次のような意味があります。

1.つらいこと。
2.苦しい体験。
3.つらく悲しいこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「憂き目」

「憂き目」とは「うきめ」と読み、「つらく悲しいこと」の意。苦しさで耐えがたい体験という意味もあるので、つらさの度合いはかなり強めという事になりますね。つらいという感覚は人それぞれで、「憂き目」という言葉は失恋から親族の不幸まで、幅広く用いられる表現になりますよ。

「憂き目」の語源は?

次に「憂き目」の語源を確認しておきましょう。

「憂き」とは古語における「憂し(うし)」という形容詞の連体形です。「憂」という文字は「人の頭部を強調・心臓・下向きの足」からなる象形から「頭・心を悩ます・心配」という意味に成りましたよ。「目」はこの場合「経験や体験・ある事態に遭遇する」の意味があり、「ひどい目に遭う」なども「ひどい体験をした」という解釈になりますね。そこから「憂き目」は「つらい経験をした」という意味の言葉が出来上がりました。

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