この記事では「囃立てる」について解説する。

端的に言えば囃立てるの意味は「盛んにはやすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「囃立てる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読み続けていく中で、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「囃立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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恋愛でよく「囃立てる」という言葉を耳にします。なんとなく「周りがある人物をちやほやしてる」とイメージを持ってしまいますが、実はマイナスなイメージでも使われる事があり、正しい意味と使い方を知る事は大切ですそれでは早速「囃立てる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「囃立てる」の意味は?

「囃立てる」には、次のような意味があります。

盛んにはやす。「やんやと—・てる」「失敗を—・てる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「囃立てる」

「囃し立てる」とは「はやしたてる」と読み、「盛んにはやすこと」を意味する言葉です。多くの人は「周りの人々が褒める」「ちやほやする」というイメージでとらえがちですが、周りの人々が「冷やかし」「馬鹿にする」という場合でも、使われます。

「囃し立てる」は「はやしたてる」「はやし立てる」と、平仮名で表記される事も多いです。「囃す」という漢字は常用漢字でないため、日常生活でも目にすることは少ないのではないでしょうか。更に、書き言葉として使う場合は、相手に伝わりやすいように「はやし立てる」と表記するのもいいでしょう。

「囃し立てる」の語源は?

次に「囃し立てる」の語源を確認しておきましょう。「囃し立てる」の語源は、「能楽」や「歌舞伎」などの伝統芸能にあると言われています。というのも、歌舞伎や能楽では、気分を高めるために、三味線や横笛を使い演奏する事を「囃す」と言っていたのです。これが語源となり、現代では「多くの人が声を揃え、褒めたり冷やかしたりすること」という意味で、広く使われるようになりました。

\次のページで「「囃し立てる」の使い方・例文」を解説!/

「囃し立てる」の使い方・例文

「囃し立てる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.生徒たちは拍手をしたり、口笛を吹いたりして教師を囃し立てた。
2.彼女と歩いている所を見られてしまい、囃し立てられた。
3.ものみ高く囃し立てる人だって、いじめの主犯達と同罪だ。

これらの例文について、1つ1つ詳しく見ていきましょう。例文1の文章の「囃し立てた」は、ネガティブな意味での使い方です。大勢で馬鹿にしたり、からかったりしている状況で使われます。良い意味でも悪い意味でも使われますが、基本的には悪い意味で使われる事の多い言葉です。

例文2のように、「囃し立てる」は恋愛でも使われる事があります。恋愛でも悪い意味で使われる事が多く、まだ恋愛関係に発展していない男女に対して、「お似合いだよ」「まだ付き合ってないの?」などと、からかれることが多いです。当事者たちの気持ちを無視し、周囲が煽っている状況を「囃し立てる」と悪い意味で表現しましょう。

「囃し立てる」には、「ものみ高く囃し立てる」という言い回しがあります「ものみ高く」とは、「何でも珍しがって見たがるさま。好奇心が強い」という意味。つまり、「ものみ高く囃し立てる」とは「なんでも珍しがって、面白半分でからかったり冷やかしたりする人」を指します。これは悪い意味でのみ使われるので、覚えておきましょう。

「囃し立てる」の類義語は?違いは?

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「囃し立てる」には「盛んにはやすこと」という意味がありました。そんな「囃し立てる」の類義語についても見ていきましょう。

その1「野次る」

「囃し立てる」の類義語には、「野次る」が挙げられます。「野次る」とは、「やじる」と読み「人の言動を、ひやかしたり、はやし立てたりして妨げる。」という意味。意味に「はやし立てる」とあるように、意味は非常に似ています。しかし、「囃し立てる」は、少ないですが良い意味で使われる事があるのに対し、「野次る」は、悪い意味でのみ使いましょう。

\次のページで「その2「ほめそやす」」を解説!/

・気に食わないからといって、1人に対し大勢で野次るのはどうかと思う。

・プロ野球の観客が口汚く大声で野次っている様子を目にした。

・最近のニュースで、野次が多く飛び交い、もみくちゃになりながら会議をする姿を見ると、本当に日本の未来が不安になる。

その2「ほめそやす」

「囃し立てる」をポジティブな意味で使う場合の類義語は「ほめそやす」です。「ほめそやす」とは「盛んにほめる。ほめたてる。」という意味で、ポジティブな意味での「囃し立てる」の類義語と言っていいでしょう。

「囃し立てる」の対義語は?

「囃し立てる」の類義語についても見ていきましょう。

「盛り下げる」

「囃し立てる」の対義語には「盛り下げる」が挙げられます。「囃し立てる」とは、「雰囲気や空気を高める」という意味があるので、「気持ちや勢いを削ぐのこと。」という意味の「盛り下げる」は対義語になります。

「囃し立てる」の英訳は?

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次に「囃し立てる」の英訳についても、確認しておきましょう。

「jeer」

「囃し立てる」を英語で表現する場合、類義語である「野次」を意味する「jeer」という単語が適しています。「jeer」とは「~に野次を飛ばす」という意味なので、「~を囃し立てる」と置き換える事が出来るでしょう。

\次のページで「「囃し立てる」を使いこなそう」を解説!/

・jeering mob(野次を飛ばす群衆)

・jeered and yelled at(馬鹿にされ罵声を浴びる)

・I was surprised at his jeering remarks about gay people. (彼のゲイの人をからかうような意見に驚いた)

 

「囃し立てる」を使いこなそう

この記事では「囃し立てる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「囃し立てる」とは「盛んにはやす」という意味で、「はやしたてる」「はやし立てる」などと、平仮名で表記される事もあります。書き言葉として使う場合は「はやし立てる」と平仮名で表記するなど、上手く使い分けていきましょう。

「囃し立てる」はポジティブな意味で使われるというイメージがありますが、相手を大勢でからかったり、馬鹿にしたりなど、ネガティブな意味で使用される事が多いです。類義語である「野次る」は、悪い意味でのみ使われるため、使い分けが必要になります。

人の色恋沙汰は聞いてて楽しいですし、当事者をいじったりすることは楽しいですよね。しかし、当事者たちは気分よく思っていない可能性もあるため、あまり「囃し立てる」ことはよくないでしょう。

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国語言葉の意味

「囃立てる」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「囃立てる」について解説する。

端的に言えば囃立てるの意味は「盛んにはやすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「囃立てる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読み続けていく中で、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「囃立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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恋愛でよく「囃立てる」という言葉を耳にします。なんとなく「周りがある人物をちやほやしてる」とイメージを持ってしまいますが、実はマイナスなイメージでも使われる事があり、正しい意味と使い方を知る事は大切ですそれでは早速「囃立てる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「囃立てる」の意味は?

「囃立てる」には、次のような意味があります。

盛んにはやす。「やんやと—・てる」「失敗を—・てる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「囃立てる」

「囃し立てる」とは「はやしたてる」と読み、「盛んにはやすこと」を意味する言葉です。多くの人は「周りの人々が褒める」「ちやほやする」というイメージでとらえがちですが、周りの人々が「冷やかし」「馬鹿にする」という場合でも、使われます。

「囃し立てる」は「はやしたてる」「はやし立てる」と、平仮名で表記される事も多いです。「囃す」という漢字は常用漢字でないため、日常生活でも目にすることは少ないのではないでしょうか。更に、書き言葉として使う場合は、相手に伝わりやすいように「はやし立てる」と表記するのもいいでしょう。

「囃し立てる」の語源は?

次に「囃し立てる」の語源を確認しておきましょう。「囃し立てる」の語源は、「能楽」や「歌舞伎」などの伝統芸能にあると言われています。というのも、歌舞伎や能楽では、気分を高めるために、三味線や横笛を使い演奏する事を「囃す」と言っていたのです。これが語源となり、現代では「多くの人が声を揃え、褒めたり冷やかしたりすること」という意味で、広く使われるようになりました。

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