この記事では「物言い」について解説する。

端的に言えば、物言いの意味は「異議を唱えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「物言い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「物言い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「物言い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「物言い」の意味は?

まず、「物言い」には、次のような意味があります。

1.物を言うこと。また、物の言い方。言葉遣い。
2.言い合い。口論。
3.異議を口に出すこと。特に相撲で、行司の勝負判定に、審判委員や控え力士が異議を申し入れること。
4.うわさ。とりざた。
5.話がうまいこと。また、その人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「もの-いい【物言い】」

「物言い」(読み方は、ものいい)には、さまざまな意味があります。

まずは、ものを言うこと言葉遣いです。「ていねいな物言いをする」「物言いに気を付ける」といった表現で用いられます。また、「物言い」というと、言い合い口論であることも。

そして、最もよく知られた意味は、異議を口に出すこと。これは、相撲で聞いたことがある人が多いかもしれません。さらに、うわさ取沙汰話が上手い人なども「物言い」と言います。

「物言い」の語源は?

次に、「物言い」の語源を、確認しておきましょう。

物言いの語源は、大きく分けて3つ。1つが、物の言い方や言葉遣い。そして、言い争いや口げんか、口論。そして、異議を唱えることです。

特に、相撲において、行司の判定に対し、審判委員や控えの力士らが異議を申し入れることを「物言いがつく」「物言いをつける」と言います。

これが派生し、現代ではビジネスシーンなどでも用いられることも。使い方については、次に詳しく説明します。

\次のページで「「物言い」の使い方・例文」を解説!/

「物言い」の使い方・例文

「物言い」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今日の大相撲では、きわどい行為と結果に対する物言いの協議が続いた。
2.「善処します」とばかり挨拶する相手に、物言いを唱えて、距離を置いた。
3.彼らの物言いで、人気ぶりや出世に納得できた。
4.人間関係のトラブルで、耳障りな物言いとストレスが現在絶えない。

それでは、それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、相撲における異議、そのまま「物言い」と使った表現。そして、例文2も、物言いを「異議を申し出る」という意味で使っています。

例文3は、「物言い」を、物の言い方や言葉遣いという意味で用いた文章。さらに、文章4は、言い合いや口論といった意味合いです。

「物言い」の類義語は?違いは?

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次に、「物言い」について、類義語(類語)を見ていきましょう。

物言いは、その言葉自体の意味が多い分、類義語もそれぞれ異なり、今回は「異議を申し立てる」という意味で取り上げます。

例えば、不服申し立て、抗議、異議、抗弁、抗告、反対、反論、抗辯、反抗、訓戒、論争、言い争い、悶着、喧嘩などです。

その1「異議」

類義語の1つ、「異議」について、まずは確認しておきます。

意義の意味は、1つの意見に対し、反対または不服であるという意見、です。

一方、法律用語でもあり、法律上の効果を生じさせないために相手の行為に対して反対・不服の意思を表示する、裁判所その他の国家機関の処分に対する不服の意思表示も、異議となります。

物言いとの違いは、申し立てではなく意思表示や意見といった部分です。

\次のページで「その2「抗弁」」を解説!/

その2「抗弁」

「抗弁」の意味は、3つあります。1つが、相手の主張に対し、自己の立場を堅持して反論すること。あと2つは、民事訴訟で被告が相手方の申し立てや主張を排斥するのに別の事項を主張する、債務者が相手方の請求権の行使を拒否してその延期を要求することです。旧字体で「抗辯」と言うことも。

そして、「物言い」との違いは、抗弁はただ反論するだけでなく、自己の立場を堅持して、というところがポイントです。

その3「不服申し立て」

「不服申し立て」は、法律用語です。

意味は2つあり、1つが、行政庁の処分または不作為に不服を申し立てて再審査を請求する、もう1つが、民事訴訟上において裁判・執行行為や書記官の処分などで不利益を受けた者が取消や変更などを求める申し立て。

「物言い」との違いとしては、不服申し立ては通常のシーンではあまり使われません。

「物言い」の対義語は?

「物言い」の対義語は、はっきりとした言葉はありません。

例えば、類義語の異議には、同意、同調、同義などがあります。これらの言葉が、物言いのほぼ反対の意味となる言葉と考えられなくもありませんので、念のため、頭に入れておきましょう。

「物言い」の英訳は?

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「物言い」の英訳について、見ていきましょう。

この「物言い」を英語に訳すと、例えば、dissentprotestobjectionlinguistic communicationlanguagedeliverymanner of speakingspeechchoice of wordswording などが挙げられます。

その1「manner of speaking」

「物言い」にはさまざまな意味があるため、英訳も多岐にわたります。

例えば、manner of speaking は、言葉遣いであり、物言いの意味の1つ。speechchoice of wordswording なども、話し方や話し言葉などの意味を持つ英単語で、同じ意味合いです。

それでは、例文を見ていきます。

・She speaks politely.

彼女はていねいな物言いだ。

・The man has a very strange way of speaking.

その男性はまったく変わった物言いをする。

・He speaks roughly. [curtly]

彼は物言いがぶっきらぼう(乱暴)だ。

・His manner of speaking was quite abrupt.

彼の物言いは大変唐突だった。

\次のページで「その2「discent」」を解説!/

その2「discent」

物言い、この言葉で最もよく知られる「異議」を表現する英単語は、dissentprotestobjection などです。

もし、物言いが、異議という意味で使われる場合、その1で紹介した単語は使われませんので、注意しましょう。

それでは、例文を見ていきます。

・The sumo referee's decision was contested.

相撲のその一番に物言いがついた。

・I must be explicit now.

今ここで厳密な物言いをする必要がある。

「物言い」を使いこなそう

この記事では「物言い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

物言いには、大きく分けて2つの意味があり、1つが言葉遣いや物の言い方、もう1つが相撲などでの異議申し立てです。

英訳も、物言いの意味によって大きく異なります。間違って使わないよう、気を付けましょう。

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国語言葉の意味

「物言い」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「物言い」について解説する。

端的に言えば、物言いの意味は「異議を唱えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「物言い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「物言い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「物言い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「物言い」の意味は?

まず、「物言い」には、次のような意味があります。

1.物を言うこと。また、物の言い方。言葉遣い。
2.言い合い。口論。
3.異議を口に出すこと。特に相撲で、行司の勝負判定に、審判委員や控え力士が異議を申し入れること。
4.うわさ。とりざた。
5.話がうまいこと。また、その人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「もの-いい【物言い】」

「物言い」(読み方は、ものいい)には、さまざまな意味があります。

まずは、ものを言うこと言葉遣いです。「ていねいな物言いをする」「物言いに気を付ける」といった表現で用いられます。また、「物言い」というと、言い合い口論であることも。

そして、最もよく知られた意味は、異議を口に出すこと。これは、相撲で聞いたことがある人が多いかもしれません。さらに、うわさ取沙汰話が上手い人なども「物言い」と言います。

「物言い」の語源は?

次に、「物言い」の語源を、確認しておきましょう。

物言いの語源は、大きく分けて3つ。1つが、物の言い方や言葉遣い。そして、言い争いや口げんか、口論。そして、異議を唱えることです。

特に、相撲において、行司の判定に対し、審判委員や控えの力士らが異議を申し入れることを「物言いがつく」「物言いをつける」と言います。

これが派生し、現代ではビジネスシーンなどでも用いられることも。使い方については、次に詳しく説明します。

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