

端的に言えば、世も末の意味は「どうしようもない世の中」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んだ。一緒に「世も末」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/トラコ
全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。
「世も末」の意味は?
「世も末」には、次のような意味があります。
《仏教の末法思想による言葉》この世も終わりであること。救いがたい世であること。「こんな歌がはやるとは世も末だ」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「世(よ)も末(すえ)」
「世も末」は慣用句で、その意味は、この世の終末、あるいは、どうしようもない世であることです。この世の終わり、救うのが難しい世の中という意味も。仏教の末法思想による言葉でもあります。
つまり、今ある現状を嘆いて言う言葉です。
「世も末」の語源は?
次に、「世も末」の語源を確認しておきましょう。先の意味で説明した通り、世も末という言葉は、仏教の「末法思想」に由来します。
末法思想とは、仏教における時代観の1つ。釈迦が入滅した後、その釈迦の教えが生きる時期(入滅後1000年)を「正法」、教えが形骸化した時代(さらにその1000年後)が「像法」、教えが忘れ去られた時代(10000年後まで)は「末法」と呼ばれ、3つの時代区分、三時思想が由来です。
日本では、平安時代末から末法に入ったと考えられ、中世は社会背景が不安定だったこともあって、末法思想が信じられてきました。
ちなみに、完全に忘れ去られた未来は「滅法」と言います。
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