この記事では「肩を窄める」について解説する。

端的に言えば肩を窄めるの意味は「しょんぼりする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「肩を窄める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。図体は大きいが、寒さには弱い。なので、特に冬は肩を窄めて歩くことになりがちだ。かと言って、暑さに強いわけでもない。

「肩を窄める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「肩を窄める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「肩を窄める」の意味は?

「肩を窄める」には、次のような意味があります。

肩を落とすように縮める。寒さや肩身の狭さなどのために、元気なくしょんぼりとしたようす。「北風の中を—・めて歩く」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩(かた)を窄(すぼ)・める」

まず、「窄める」は「すぼめる」と読みます。「搾る」(しぼる)と間違えた人もいるのではないでしょうか。それもそのはず、「せばめる」という意味の「窄」に手へんを付けて、「手でせまくする、しぼる」という意味の「搾」という漢字ができました。漢字の意味が近く、かつ成り立ちも同じところへたどり着けるとあれば、混同するのも仕方がないでしょう。

慣用句である「肩を窄める」(かたをすぼめる)の意味は「肩身の狭い思いをする」です。文字通りの意味であれば「寒さなどで肩を縮める動作をする」ですが、慣用句としては「しょんぼりする」という意味で使われます。

「肩を窄める」の使い方・例文

「肩を窄める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「肩を窄める」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.第一志望の高校受験に失敗して肩を窄める。
2.彼女と失恋して以来何もする気が起こらず、ずっと肩を窄めて過ごす毎日だ。
3.私はすでに社会人となって自立したつもりだからいいのだが、実家の両親は30年間2人で切り盛りしてきた店を去年閉め、特に父親が2か月前後も肩を窄めてうつろな表情でいた。

前掲した辞書にもある通り、「肩を窄める」には「寒さで肩を縮こませる」という意味もあります。確かに「木枯らしが冷たくて肩を窄める」などとも使いますが、それでは文字通りの使い方でしかありません。

慣用句として「肩を窄める」を使うのは、「しょんぼりする、肩身が狭い」という意味の場合がほとんどです。3つの例文は、すべてその「しょんぼりする」という意味で「肩を窄める」を使っています。

「肩を窄める」の類義語は?違いは?

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ところで、「肩を窄める」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「項垂れる」

「肩を窄める」と同じように、体の一部分が語中に入る「しょんぼりする」という意味の慣用句に「項垂れる」があります。読み方は「うなだれる」です。「項」(うな)とは首の後ろの部分を指します。「項」(うな)の「後」(しり)が「うなじ」であり、今では「項」を「うな」や「うなじ」とも読むようになりました。

さて、「項垂れる」という慣用句ですが、改めて辞書でその意味を確認してみましょう。「悲しさや恥ずかしさのため首を前に垂れる、うつむく」などとあります。「肩を窄める」も「項垂れる」も、居心地の悪さを体で表現する慣用句です。しかし、体の動き以上に決定的に違うものがあります。「肩を窄める」は寒さに対してもそのような態度を取りますが、「項垂れる」ではそれがありません。寒さに対して「肩を窄める」を使うのはその用法の中で少数ですが、「項垂れる」との意味上の違いはその程度だと思って良いでしょう。

「肩を窄める」の対義語は?

さらに「肩を窄める」の対義語も見ていきましょう。

\次のページで「「肩を怒らせる」」を解説!/

「肩を怒らせる」

「肩を窄める」の対義語と言える慣用句で「肩をいからせる」というものがあります。「いかり肩」などと聞いたことがあるでしょう。

「いかり肩」も「肩をいからせる」も、それぞれ「怒り肩」「怒らせる」と書きます。「いかる、おこる」の「怒」で「肩を怒らせる」です。「いかる」でまず思い出される意味は「腹を立てる」であり、次に「荒れ狂う」(波が怒るなど)ではないでしょうか。しかし、もともとの「いかる」は「角が立つ」という意味です。感情が角立って腹を立てることを、のちに「怒(いか)る」と言うようになりました。そして「肩を怒らせる」とは、「肩を角張らせるように上に持ち上げて威圧的な態度を取る」という意味になります。

「肩を窄める」の英訳は?

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では、「肩を窄める」は英語で何と言うでしょうか。

「shrug one's shoulders」

「窄める」を英語で表すには、「shrug」という単語を使います。「shrug」は「肩を窄める、肩を縮こませる」という意味のある動詞です。欧米の人のジェスチャーで、肩を縮こませ両手のひらを上に向けて「why?」などと言うのは見たことがあるでしょう。あれこそが、英語で一般的に用いられる「shrug」です。

しかし、「shrug」では肩が上がるため、「窄める」というよりは「竦(すく)める」に近いかもしれません。ネットの英和辞典で検索した場合、「肩を窄める」は「shrug one's shoulders」と結果が表示されますが、別の表現に変えたいのであれば、「squeeze」(絞る)や「hunch」(丸める)を使う方法もあります。

ただし、どの動詞を使うにしても、肩は「shoulders」としなければなりません。「肩を窄める」では左右2つの肩を縮こませるため、複数形である「shoulders」とする必要があります。

「肩を窄める」を使いこなそう

この記事では「肩を窄める」の意味・使い方・類語などを説明しました。

辛く苦しいときや悲しいときには、思わず「肩を窄め」たくなるでしょう。ストレスは溜まっていき、「項垂れ」たくもなるし、「顔色が悪くな」ったりもします。確かにあまり「肩を窄める」状況に身を置きたくはありませんが、感情がある限りはそうも言っていられません。大事なのは、「肩を窄める」ことを減らせるように努めることと、「肩を窄める」ことがあってもすぐに一過性のものとして心を切り替えることではないでしょうか。

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国語言葉の意味

【慣用句】「肩を窄める」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「肩を窄める」について解説する。

端的に言えば肩を窄めるの意味は「しょんぼりする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「肩を窄める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。図体は大きいが、寒さには弱い。なので、特に冬は肩を窄めて歩くことになりがちだ。かと言って、暑さに強いわけでもない。

「肩を窄める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「肩を窄める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「肩を窄める」の意味は?

「肩を窄める」には、次のような意味があります。

肩を落とすように縮める。寒さや肩身の狭さなどのために、元気なくしょんぼりとしたようす。「北風の中を—・めて歩く」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩(かた)を窄(すぼ)・める」

まず、「窄める」は「すぼめる」と読みます。「搾る」(しぼる)と間違えた人もいるのではないでしょうか。それもそのはず、「せばめる」という意味の「窄」に手へんを付けて、「手でせまくする、しぼる」という意味の「搾」という漢字ができました。漢字の意味が近く、かつ成り立ちも同じところへたどり着けるとあれば、混同するのも仕方がないでしょう。

慣用句である「肩を窄める」(かたをすぼめる)の意味は「肩身の狭い思いをする」です。文字通りの意味であれば「寒さなどで肩を縮める動作をする」ですが、慣用句としては「しょんぼりする」という意味で使われます。

「肩を窄める」の使い方・例文

「肩を窄める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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