地軸とは地球が自転するときの回転軸、自転軸のことです。地軸は北極と南極を結んでいる。この軸は少し傾いていて、これが季節を生み出すカギとなっている。地球以外の惑星でも、それぞれ時点の軸を「地点軸」と呼ぶ。
それでは今回は地軸について学ぶ。解説は化学系科学館員のたかはしふみかです。
ライター/たかはし ふみか
まだまだ勉強中の国立大学工学部化学系出身の科学館職員。大学ではこれからの社会に役立つ研究がしたいと再生可能エネルギーの研究をしていた。理科教育に関わりたくて理系に進んだので、科学館での仕事が大好き。科学にまつわる雑学も好きで本やネット、新聞から日々情報を集めている。
地軸とは
皆さんはコマで遊んだことがありますか?コマには軸があり、それを中心にくるくると回っていますね。今回のテーマ「地軸」は地球が回転するときの軸のことです。
地球儀を思い浮かべてください。北極と南極を回転させるための軸が貫いていますね。これが地軸です。そして地球儀を机の上に置くと地軸と北半球と南半球の間にある赤道が斜めに傾いています。これは実際の地球も地軸が傾いているからです。そして地軸と赤道を通る面は垂直な関係となっています。
地軸をコトバンクで調べると
「地球の回転軸、また地球の北極と南極を結ぶ直線のこと」
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と書かれています。
地球が回転していることはみなさんご存じですね。地球は地軸を中心にコマのように一周します。これを自転と言い、自転を1回すると太陽が昇って沈むと1日となるのです。そして太陽の周りを1周するのが公転、こちらは1周することで1年となりますね。地球は太陽の周りを公転していますが、上の図から見てわかるように地軸は公転面(公転する軌道によって書かれる平面)よりも傾いています。その角度は23.4°です。
地球の自転・公転について知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
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地軸と季節
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地軸の傾きは地球にどのような影響を与えているのでしょうか。 地軸が太陽側を向くとその分南中高度が高くなります。南中とは天体が日周運動により子午線(赤道と垂直に交わる、北極と南極を結ぶ線)を通過するこで、南中高度とは太陽が最も高く上がったとこの高度のことです。
すると太陽が出ている時間、つまり昼間の時間が長くなります。では地軸が太陽の反対側を向いているとどうなるでしょうか。地軸が太陽と反対の方向を向くとその分南中高度が低く、昼間が短くなります。
夏至と冬至はいつ?白夜と極夜って?
方の地軸が太陽側を向くと、反対側は太陽と反対の方を向いてしまいます。そのため、北半球と南半球では季節が真逆なのです。例えば6月、北半球は夏至で日が長いですが南半球では冬至となります。ということで南半球にあるクリスマスは真夏。そのためオースラリアなどでサンタクロースは真っ赤なコートでトナカイはなく、水着を着てサーフィンでプレゼントを配ることもあるそうです。
そして夏至と冬至の位置に来た時に春と秋になります。そのため3月20日くらいと9月22日くらいにある春分の日と秋分の日に昼と夜が半分ずつとなるのです。
白夜と極夜
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地軸が23.4度傾いているため緯度が66.6°よりも高い地域、北極圏と南極圏では1日中日が当たる日と当たらない日が存在しています。夏至前後の太陽が沈まない日が白夜、冬至前後の太陽が昇らない日が極夜(きょくや)です。
アイスランドの首都であるレイキャビクは北緯64°にある都市では、夏至の頃は太陽が沈まず、その前後も日照時間が長く沈んだ太陽がすぐに昇るという不思議な光景を見ることができます。もちろん、その分、冬の日照時間はわずかしかありません。
北極と南極以外で白夜と極夜を体験できる地域はアイスランド、グリーンランド、アラスカ、カナダ、ノルウェイ、スウェーデン、フィンランド、ロシア北部です。どこも寒そうなイメージの場所ですね。
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ところで北極と南極は年に1回しか日の入り、日の出がないと知っていますか?北極と南極は真横から太陽の光を浴び続けています。そのため春分の日に日の出して夏至にもっとも太陽の位置が高くなり、逆に秋分の日に日の入りするのです。半年が昼で半年が夜、というイメージですね。
ただし、日の出と日の入りは「太陽の上辺が地平線と一致する瞬間」とされています。これは日の出は太陽の一部が出た時点であるのに対し、日の入りは太陽が完全に隠れた時ということです。このため微妙に日の出ている時間の方が長くなっています。また、地球の大気に入った光が屈折してしまうため、厳密には春分の日・秋分の日前後は太陽が見えているそうです。そのため、北緯66.4°よりも赤道側の北緯67°の地点でも1か月程度の白夜があり、冬至には1時間半程度の日照時間があります。
なぜ地軸は傾いているのか
なぜ地軸は傾いているのでしょうか。これは地球は出来上がった頃(46~45億年前)に火星ほどの大きな天体が衝突したためと考えられています。これは「ジャイアント・インパクト説」という仮説です。そしてこの時に飛び散った破片から月が生まれたと考えられています。地軸の傾きと月の誕生の間に関係があるとは驚きですね。
ちなみに地軸の傾きがずっと同じかと言うとそうではありません。それを示しているのが北極星です。北極星は「天の北極近くに輝き、北の方角の目印になる」星のことで、北半球の地軸の先には北極星があります。実は地軸の傾き方によってその時々で北極星が変わっているのです。と言っても北極星が変わるスパンは何千年もあるので、現在の人類にとっての北極星はこぐま座α星、ポラリスといって間違いありません。
あれ?でも地球は公転してるから地軸の位置も動くのにずっと北極星が変わらないのは変じゃない?と思う人もいるでしょう。北極星が430光年(1光年=約 約 9 兆 4600 億 km)先にある一方地球の公転軌道の直径はわずか3億㎞程度しかありません。そのため、公転したぐらいでは北極星の見え方は変わらないのです。
北極星についてはこちらの記事をどうぞ。
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水星 0°
金星 177°
地球 23.4°
火星 25.2°
木星 3.1°
土星 26.7°
天王星 98°
海王星 28.3°
傾いている順に並べると
金星(177°)>天王星(98°)>海王星(28.3°)>土星(26.7°)>火星 (25.2°)>地球(23.4°)>木星(3.1°)>水星(0°)
となります。
一番傾いているのは金星で177°、ほぼ正反対です。そのため、太陽系の惑星は北極星から見て反時計回りをしているのに対し、金星は時計回りとなります。またその回転がおもしろいのは天王星です。天王星の自転軸の傾きはは90°なので、寝転んでいるように回っています。
そして海王星・土星・火星が地球と同じぐらいの角度で傾いている一方、木星はほとんど傾いておらず水星は傾きが0°です。
地球に季節があるのは地軸の傾きのおかげ
地球には季節があり、特に日本には美しい四季があります。地軸が太陽の方に傾いているのが夏、太陽と逆方向に傾いているのが冬です。夏の方が日が長く、冬は日が短くその間に春と秋があります。
地軸の影響は季節だけではありません。地軸が傾いているため、南極や北極の周りでは日が沈まない時期と、太陽が出ない時期があるのです。白夜と極夜、それぞれ確認しておきましょう。