この記事では「茶を濁す」について解説する。

端的に言えば「茶を濁す」の意味は「ごまかす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「茶を濁す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「茶を濁す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「茶を濁す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「茶を濁す」の意味は?

「茶を濁す」には、次のような意味があります。辞書や辞典で正確な内容を確認しましょう。

1.いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「茶を濁す」

あなたは聞かれたくないことを聞かれて曖昧な返答でその場をしのいだ経験はあるでしょうか。「茶を濁す」とは「いい加減なことを言ってその場をごまかすこと・その場を取り繕うこと」の意。読み方は「ちゃをにごす」です。「お茶を濁す」や「御茶を濁す」と表現することもありますよ。人には聞かれてほしくないことや踏み込んでほしくない物事がありますよね。このように答えたくないことなどをごまかす際に使用されている表現です。

「茶を濁す」の語源は?

次に「茶を濁す」の語源を確認しておきましょう。「茶を濁す」の「茶」は「抹茶」の意。抹茶をたてるにはきちんとした作法を身につけることが必要ですね。しかし、作法を知らない人たちはお茶をかき混ぜて濁らせることで抹茶をたてたように見せかけてその場を取り繕っていたとされています。このように「知識のない人たちがその場しのぎの振る舞いを見せること」から由来して「茶を濁す」ということわざが生まれたとされていますよ。「茶を濁す」の語源について理解が深まりましたね。

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「茶を濁す」の使い方・例文

「茶を濁す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この用語は、たとえば以下のように用いられます。

1.息子に英語の試験の点数を聞いたら茶を濁された
2.上司から仕事の進捗状況を聞かれたが、順調に進んでいないので茶を濁した。
3.苦手な先輩から食事に誘われていたが、急用があると言って茶を濁し帰宅した。

「茶を濁す」の使い方を例文から学びましょう。例文1は「学校」です。「息子に英語のテストの点数を聞いたがはぐらかされた状況」を示しています。点数があまり良くなかったのかもしれませんね。例文2は「ビジネス」です。「上司から仕事の進み具合を聞かれたが、思うように進んでいないのでごまかした場面」を表しています。曖昧な返事しかできないほど計画通りに進んでいないのかもしれませんね。

例文3は「日常会話」です。「苦手な人から食事に誘われたのでやんわりと断った場面」を言い表しています。その場をなんとかしのいだ光景が目に浮かびますね。例文1から3が示すように「茶を濁す」は幅広い場面で使うことができることわざです。実際に使ってみて下さいね。

「茶を濁す」の類義語は?違いは?

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「茶を濁す」の類義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。一緒に確認しましょう。

「ごまかす」

「茶を濁す」の類義語には「ごまかす」が考えられるでしょう。「ごまかす」とは「1.本心を見破られないように話を逸らしその場やうわべを取り繕うこと 2.人目を欺いて不正をすること」の意。漢字では「誤魔化す」「胡麻化す」と当て字で書くこともあります。「ごまかす」の由来には2つの説があるとされていますよ。

1つ目は、「護摩行(ごまぎょう)」という仏教の真言宗で行われている修行が関係しているという説。「護摩行(ごまぎょう)」では火を使い修行が終わった後にはたくさんの灰が残りました。これを開祖である弘法大師の灰だと偽って販売していた人たちが存在したことから生まれたことわざであるという説です。

2つの目は、江戸時代の「胡麻胴乱(ごまどうらん)」というお菓子から由来する説。このお菓子は中が空洞になっており、「見た目だけはおいしそうに見えるさま」から派生して「ごまかす=うわべを取り繕うこと」となったとされています。両方の語源を知っておきたいですね。

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「茶を濁す」の対義語は?

「茶を濁す」の対義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。関連する言葉を一緒に確認しましょう。

「白黒をつける」

「茶を濁す」の対義語には「白黒をつける」が考えられるでしょう。「白を黒つける」とは「物事の善悪や真偽などを決めること・物事をはっきりとした状態にすること」の意。「白黒をつける」は「囲碁の石は白と黒だけでとても明確ではっきりとしていること」が語源だと考えられていますよ。

使い方を例文から学びましょう。例文1は「ある問題を明確にしようとしている場面」です。例文2は「物事を曖昧なままにしておくことは好まない性格であること」を表しています。例文のように「曖昧ではなく物事を明確にはっきりとさせる場面」で使われている言葉ですよ。これを機会に覚えておきたいですね。

1.今日中にこの問題に白黒をつけよう

2.彼は白黒をはっきりとつけることを好む性格だ。

「茶を濁す」の英訳は?

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「茶を濁す」の英訳にはどのような表現が考えられるのでしょうか。キーワードとなる英単語を一緒にチェックしましょう。

「gloss over」

「茶を濁す」の英語訳には「gloss over」が考えられるでしょう。「gloss over」とは「1.光沢をつける・つやを出す 2.隠す・軽く扱う 3.うまく取り繕う・ごまかす」の意。「リップグロス」の「グロス」として「光沢を出す」という意味で有名ですが、「うまく取り繕う・ごまかす」という意味も持っている英単語です。「都合の悪いことに対して取り繕う」というニュアンスが強いことがポイントですよ。使い方を例文で確認しましょう。例文1は「ミスをしたことを笑ってごまかした場面」を示しています。「gloss over」はイディオムとして覚えておきたい表現です。知識として身につけておきましょう。

1.He glossed over his mistake by laughing.
(彼は彼のミスを笑うことで茶を濁した。)

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「茶を濁す」を使いこなそう

この記事では「茶を濁す」の意味・使い方・類語などを説明しました。日本では自分の考えや意見などを明確な言葉で示すのではなく、波風を立てず協調性や謙虚さを重んじる傾向にありますよね。このような日本文化を顕著に示している言葉が「茶を濁す」と言えるのでないでしょうか。文化と言語には深い深い関わりがあることが感じられますね。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「茶を濁す」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

「茶を濁す」の対義語は?

「茶を濁す」の対義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。関連する言葉を一緒に確認しましょう。

「白黒をつける」

「茶を濁す」の対義語には「白黒をつける」が考えられるでしょう。「白を黒つける」とは「物事の善悪や真偽などを決めること・物事をはっきりとした状態にすること」の意。「白黒をつける」は「囲碁の石は白と黒だけでとても明確ではっきりとしていること」が語源だと考えられていますよ。

使い方を例文から学びましょう。例文1は「ある問題を明確にしようとしている場面」です。例文2は「物事を曖昧なままにしておくことは好まない性格であること」を表しています。例文のように「曖昧ではなく物事を明確にはっきりとさせる場面」で使われている言葉ですよ。これを機会に覚えておきたいですね。

1.今日中にこの問題に白黒をつけよう

2.彼は白黒をはっきりとつけることを好む性格だ。

「茶を濁す」の英訳は?

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「茶を濁す」の英訳にはどのような表現が考えられるのでしょうか。キーワードとなる英単語を一緒にチェックしましょう。

「gloss over」

「茶を濁す」の英語訳には「gloss over」が考えられるでしょう。「gloss over」とは「1.光沢をつける・つやを出す 2.隠す・軽く扱う 3.うまく取り繕う・ごまかす」の意。「リップグロス」の「グロス」として「光沢を出す」という意味で有名ですが、「うまく取り繕う・ごまかす」という意味も持っている英単語です。「都合の悪いことに対して取り繕う」というニュアンスが強いことがポイントですよ。使い方を例文で確認しましょう。例文1は「ミスをしたことを笑ってごまかした場面」を示しています。「gloss over」はイディオムとして覚えておきたい表現です。知識として身につけておきましょう。

1.He glossed over his mistake by laughing.
(彼は彼のミスを笑うことで茶を濁した。)

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