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5分でわかる「心臓の自動性」心臓が拍動を止めない理由を現役大学院生がわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。今回のテーマは「心臓の自動性」だ。心臓は絶えず拍動して、全身へ血液を送るポンプとして働いている。実は心臓の拍動は脳や脊髄からの神経伝達を遮断しても、それどころか、体内から取り出してもしばらくの間は、止まることなく拍動し続けるようなシステムをもっている。これを心臓(拍動)の自動性というんだ。
生物に詳しいライターCaoriと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/Caori

国立大学の博士課程に在籍している現役の理系大学院生。とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。

心臓の自動性とは

image by iStockphoto

私たちの身体のほとんどの器官は、神経を介した脳や脊髄からの命令がなくては動くことが出来ません。ですが、心臓は特殊で脳や脊髄からの神経伝達を遮断しても一定のリズムで拍動をし続けます。それどころか、実験や手術などで心臓を体外へ摘出した状態でも、しばらくの間は動くことできるのです。これを心臓の自動性といいます。

心臓の自動性を担っているのが心臓内に存在する刺激伝導系です。詳しくは後述しますが、右心房の洞房結節と呼ばれる部位は自律神経の支配を絶たれても自発的に脱分極、再分極を繰り返すことができます。洞房結節の脱分極は、さらに隣の細胞を脱分極させ、これを繰り返すことで次々に伝達される仕組みです。このサイクルは規則正しく、刺激が伝わり、周期的に繰り返され、自動的な心臓の収縮のリズムをつくっています。

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心臓の自動性について解説する前に、まずは基本的な心臓の構造や機能について解説するぞ。しっかりと理解しておこう。

心臓の構造

心臓の構造

image by Study-Z編集部

心臓は特殊な筋肉である心筋で出来た袋状の構造をしていて、ヒトの場合は二対の心房・心室からできています。真ん中にある「壁(中隔)」で左右、さらに上下に分ける「弁」によって上の部屋が心房(左心房、右心房)下の部屋が心室(左心室、右心室)です。

全身から戻ってきた血液(静脈血)は、大静脈から右心房に流れ込みます。血液は右右心房から右心室へと送られ肺動脈を通って、肺へ送られて二酸化炭素と酸素を交換した後、肺静脈を経て左心房へ入ります(肺循環)。左心房に入った血液(動脈血)は僧帽弁を通過して左心室に送られ、ここで血液は左心室の強い収縮力を受けて大動脈から全身に送り出されます。血液は全身をめぐり、酸素や栄養を届け、さらに不要となった炭酸ガスや老廃物を受け取って、また心臓へと帰ります(体循環)。心臓は心房→心室の順に規則正しく収縮し、弁が逆流を防ぐため、血液は一定方向へと流れる仕組みです。

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血液循環の流れをまとめると、「左心室→大動脈→動脈→毛細血管→静脈→大静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→左心室(以下繰り返し)」となる。血液は心房から心室へと送られ、心房心室の間と動脈には逆流を防ぐ弁がついているため、血液は一方向へ流れ続ける。また、血液が一定方向へと流れるには規則正しい収縮、弛緩が欠かせないが、この仕組みついては後述するぞ。

心臓の機能

image by iStockphoto

全身の細胞が生きて働くためには、血液を介して絶えず必要な栄養や酸素を送り届け、細胞から生じた老廃物や二酸化炭素を運びださなければなりません。心臓は全身に血液を循環させるポンプの役割をしています。安静時の1分間の拍動の数(心拍数)は成人で60~75回程度で、成人の血液量は約5~6リットルです。

心臓は自律神経(交感神経と副交感神経)が分布しており、心臓の拍動を調節しています。日中や運動時などで交感神経が優位になると、心臓は心拍数を増加させ、収縮力も強くなり心臓のポンプ機能を促進するように調節。睡眠時などリラックスしているときなど、副交感神経が優位になると心拍数は減少、収縮力が低下し心臓のポンプ機能を抑制するように調節します。しかし、これらは心臓の収縮の強弱や速度を調整しているのであり、拍動そのものを支配しているものではありません。

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