この記事では「相好」について解説する。

端的に言えば相好の意味は「顔つき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「相好」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「相好」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「相好」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「相好」の意味は?

「相好」には、次のような意味があります。

そう‐ごう〔サウガウ〕【相好】
1 仏の身体に備わっている特徴。32の相と80種の好の総称。
2 顔かたち。顔つき。表情。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「相好」

相好(そうごう)」と読む言葉です。元々は仏の容貌を指す表現でしたが、そこから転じて「顔つき」「顔かたち」「表情」といった意味で使われるようになりました。しかし、このまま使われる頻度は少なく、「顔をほころばせて笑うこと、喜ぶこと」を指す「相好を崩す」という表現で使われることがほとんどです。

「相好」の語源は?

次に「相好」の語源を確認しておきましょう。

まずはそれぞれの漢字の意味ですが、「」は「人相」のように「見た目」という意味を持った漢字です。元々は「木の姿を見る」という意味から、転じて事物のすがたを見ることや、見た目を指して使われるようになったと言われています。続いて「」ですが、こちらは「好ましい」という意味ですので、直接「容貌」を指すような意味はありません。そのため、漢字の意味だけでは「相好」の語源を辿るには少し不十分です。

先ほども少し説明しましたが、相好の語源は仏の容貌にあります。昔から仏の見た目の特徴は「三十二相八十種好」と表現されていました。「足の裏が平らで安定している」「指が繊細で長い」など、仏の32個にわたる優れた特徴を「三十二相」、そこからさらに80個に分けたものを「八十種好」と呼んでいたのです。「好」というのは、「優れた特徴」というところからこの漢字が使われたと考えられます。

この仏の優れた特徴を指す言葉の「相」と「好」という漢字がセットになって「相好」という熟語は「顔つき」といった意味を持つ言葉として使われるようになりました。現在では見た目全体ではなく、「顔つき」「表情」など、顔の見た目に特化した意味で使用されているので、注意しておきましょう。

\次のページで「「相好」の使い方・例文」を解説!/

「相好」の使い方・例文

「相好」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.いつも厳格な校長先生が、相好を崩したところは見たことがない。
2.思いがけない知らせに、彼も相好を崩して喜んだ。
3.緊張が途切れたのか、真顔だった彼女の相好が崩れた

相好を崩す」という形で使われることがほとんどのため、例文もその用法のものを用意しました。

顔をほころばせて大いに笑ったり、喜んだりするさま」を意味する「相好を崩す」は、喜びや笑いが自然に溢れてくるような状態を指す表現です。何かをきっかけに思わず笑みがこぼれたり喜びがあふれたりした場合に使うことができます。また、普段あまり笑ったりしない人の表情が綻んだような場合にも使うことが可能です。

「相好」の類義語は?違いは?

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次に「相好」の類義語を見ていきましょう。ここでは「相好を崩す」に関連する言葉を紹介します。

その1「破顔一笑」

はがんいっしょう」と読む四字熟語で、「顔をほころばせてにっこりと笑うこと」という意味を持っています。「顔をほころばせて笑うこと」という意味の「相好を崩す」とはほとんど同じ意味です。

少し詳しく説明すると、「破顔」だけでも「顔をほころばせて笑う」という意味があります。「顔が破れる」と考えると少し恐ろしいですが、「相好を崩す」と同じように「それまでの表情が崩れて笑顔に変わる」と考えるとイメージが湧きやすくなるでしょう。

\次のページで「その2「喜色満面」」を解説!/

その2「喜色満面」

こちらも四字熟語で「きしょくまんめん」と読みます。「笑顔を浮かべる」という意味では、「相好を崩す」の類義語として挙げることができる言葉です。

違いとしては、「相好を崩す」や「破顔一笑」は「それまでの表情が崩れて笑顔になる」というニュアンスであるのに対し、「喜色満面」はあくまで「喜びを顔全体に表すこと」であるため、「表情の変化」というニュアンスが薄い点にあります。

同じような意味ではありますが、このニュアンスの違いを捉えておくようにしましょう。

「相好」の対義語は?

次に対義語について考えていきます。ここでも「相好を崩す」という形で考えていきましょう。

対義語「仏頂面」

「笑顔になる」という意味の「相好を崩す」の対義語は多く存在していますが、ここではせっかくなので「相好」の語源と同じく、仏様の表情から生まれた言葉である「仏頂面」を対義語として紹介します。

「仏頂面」は「無愛想な顔」「不機嫌な顔」「ふてくされた顔」を指す言葉です。少し罰当たりな気もしますが、「仏頂尊」という仏の面相から生まれた言葉とされています。笑顔を指す「相好を崩す」とは逆の表情を指す言葉と言えるでしょう。

こうして考えると、仏教に関連のある語源を持つ言葉は多く存在していますね。

「相好」の英訳は?

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最後に「相好」の英訳について見ていきましょう。

相好の英訳は「feature」

「相好」自体は「顔つき」「表情」を示す言葉ですので、英訳は「feature」や「looks」という単語が用いられます。どちらも文脈によっては「顔立ち」だけでなく「容貌」自体を指す場合もありますので、注意しておきましょう。

また、「相好を崩す」という表現を英訳したい場合は「smile」という単語を使って表現することができます。表現の仕方はさまざまですが、たとえば「be all smiles」や「a big smile」という言い方であれば「満面の笑み」というニュアンスで表現することが可能です。

以下に例文を用意しておりますので、チェックしてみてください。

He has regular features.
彼は整った相好をしている。

The girl has a good-looking.
その女の子は相好が良い。

He was all smiles at the news.
その知らせに彼は相好を崩して喜んだ。

\次のページで「「相好」を使いこなそう」を解説!/

「相好」を使いこなそう

この記事では「相好」の意味・使い方・類語などを説明しました。

そのままではほとんど使われず、「相好を崩す」という用法がメインですが、語源を覚えておくと何かの役に立つかもしれません。熟語のほとんどは漢字の意味を分析することで読み解くことができますが、「相好」のように特別なエピソードがある場合もあるのです。そこまで理解できると一気に記憶にも残りやすくなりますので、意味を調べるときは語源までしっかり辿ってみることをおすすめします。

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国語言葉の意味

「相好」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

この記事では「相好」について解説する。

端的に言えば相好の意味は「顔つき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「相好」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「相好」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「相好」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「相好」の意味は?

「相好」には、次のような意味があります。

そう‐ごう〔サウガウ〕【相好】
1 仏の身体に備わっている特徴。32の相と80種の好の総称。
2 顔かたち。顔つき。表情。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「相好」

相好(そうごう)」と読む言葉です。元々は仏の容貌を指す表現でしたが、そこから転じて「顔つき」「顔かたち」「表情」といった意味で使われるようになりました。しかし、このまま使われる頻度は少なく、「顔をほころばせて笑うこと、喜ぶこと」を指す「相好を崩す」という表現で使われることがほとんどです。

「相好」の語源は?

次に「相好」の語源を確認しておきましょう。

まずはそれぞれの漢字の意味ですが、「」は「人相」のように「見た目」という意味を持った漢字です。元々は「木の姿を見る」という意味から、転じて事物のすがたを見ることや、見た目を指して使われるようになったと言われています。続いて「」ですが、こちらは「好ましい」という意味ですので、直接「容貌」を指すような意味はありません。そのため、漢字の意味だけでは「相好」の語源を辿るには少し不十分です。

先ほども少し説明しましたが、相好の語源は仏の容貌にあります。昔から仏の見た目の特徴は「三十二相八十種好」と表現されていました。「足の裏が平らで安定している」「指が繊細で長い」など、仏の32個にわたる優れた特徴を「三十二相」、そこからさらに80個に分けたものを「八十種好」と呼んでいたのです。「好」というのは、「優れた特徴」というところからこの漢字が使われたと考えられます。

この仏の優れた特徴を指す言葉の「相」と「好」という漢字がセットになって「相好」という熟語は「顔つき」といった意味を持つ言葉として使われるようになりました。現在では見た目全体ではなく、「顔つき」「表情」など、顔の見た目に特化した意味で使用されているので、注意しておきましょう。

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