この記事では「人の噂も七十五日」について解説する。

端的に言えば人の噂も七十五日の意味は「世間で騒がれた噂も、しばらくたてば消えてしまう」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「人の噂も七十五日」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「人の噂も七十五日」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「人の噂も七十五日」の意味や語源・使い方まとめ

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人の噂も七十五日」(ひとのうわさもしちじゅうごにち)は、身近なことわざですね。しかし、なぜ「七十五日」なのでしょうか?由来を知ればますます理解が深まるでしょう。

それでは早速「人の噂も七十五日」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「人の噂も七十五日」の意味は?

まず初めに「人の噂も七十五日」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「人の噂も七十五日」には、次のような意味があります。

1.世間のうわさは長く続かず、しばらくすれば忘れられるものである。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「人の噂も七十五日」

2.世間のうわさもそう長くは続かない。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「人のうわさも七十五日」

どんなに騒がれたとしても、良い噂でも悪い噂でも、いずれは世間に飽きられて話題にのぼらなくなる、と言うことですね。

人は飽きやすく忘れやすいものですから、噂など放っておけばよい、と言う意味合いの教訓でもあります。

また、七十五日を、仏教用語で使われる四十五日と間違えて「人の噂も四十九日」と誤用ている例がしばしばあるようです。気をつけましょう。

「人の噂も七十五日」の語源は?

次に「人の噂も七十五日」の語源を確認しておきましょう。なぜ「七十五日」なのでしょうか?

「七十五日」の由来は諸説ありますが、有力なものは季節に関係のある日数である、と言う考えです。現代では、日本の季節は春夏秋冬の四季と考えるのが一般的ですね。実は昔の日本では、この四季に初夏の梅雨時期を合わせて五季節と言う考えがありました。一年365日を5で割ると、大体七十五日になりますから、五季節のうちの一季節が七十五日と言うわけです。

つまり「人の噂も七十五日」とは、人の噂も季節を一つ過ぎれば忘れられてしまう、と言うことなのですね。

\次のページで「「人の噂も七十五日」の使い方・例文」を解説!/

「人の噂も七十五日」の使い方・例文

それでは、「人の噂も七十五日」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.悪い噂の中心になってしまったが、人の噂も七十五日と言うから、我慢して日常生活を送っていれば、いずれ周りの人も忘れるだろう。
2.芸能人の醜聞は、毎度テレビやネットで取り沙汰され注目されるが、人々はすぐに興味を失ってしまう。まさに人の噂も七十五日と言ったところだ。
3.所詮、人の噂も七十五日と言うし、君の失敗の噂なんて長い期間続かないから、気にしない方が良いよ。

上記の例文の通り、「人の噂も七十五日」を使う時、あまり良くない噂に対して用いられることが多いでしょう。噂話自体があまり良くないもの、と言う感覚があるからかも知れません。

例文3のように、噂はすぐに消えるから大丈夫、と言う励ましで使うこともできますね。また、例文2のように、飽きやすい世間に対して、批判や揶揄するような意味合いで使うこともあります。

「人の噂も七十五日」の類義語は?違いは?

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「人の噂も七十五日」の類義語には「世の取り沙汰も七十五日」があります。

「世の取沙汰も七十五日」

世の取沙汰も七十五日」(よのとりざたもしちじゅうごにち)は、「人の噂も七十五日」ほど有名な表現ではありませんが、同じ意味を持つことわざです。

「取り沙汰」には二つの意味があります。一つめは人々が噂をすること。二つめは、取り扱って処理をする、と言うことです。上記のことわざにおいて「取り沙汰」は人々が噂をすること、と言う意味ですから、「世の取沙汰も七十五日」は、人々が噂をすることも七十五日で消えていく、と言うことですね。

\次のページで「「人の噂も七十五日」の対義語は?」を解説!/

「人の噂も七十五日」の対義語は?

「人の噂も七十五日」の反対の意味は「人の噂は簡単には消えない」と言うことですね。ぴったりの言葉はありませんが、反対の意味に近いものに「悪事千里を走る」がありますので紹介します。

「悪事千里を走る」

悪事千里を走る」は(あくじせんりをはしる)と読みます。

「悪事」とは悪いこと。「千里」は約四千キロメートルの事ですが、このことわざではとても遠い距離を表現するのに用いられています。つまり「悪事千里を走る」は、悪い行いや悪い評判は噂となってあっという間に世間に知れ渡ってしまう、と言う教訓です。

元々の由来は中国の故事にあり「好事門を出でず、悪事千里を行く」と言う文章でした。「いい行いは中々世に知られることが無いが、悪い行いは世間にすぐ広まってしまう。」と言う意味です。そして、この言葉の「悪事千里を走る」の部分が、日本でことわざとして使われるようになりました。

「七十五日」を使った言葉

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「人の噂も七十五日」「七十五日」を使った言葉は、意外に多くありますので、二つ紹介します。

初物七十五日」(はつものしちじゅうごにち)は、健康に関することわざです。「初物」とは、その季節にできた最初の作物や獲れた物を指します。「初物七十五日」とは、「初物」を食べればその季節の間、健康でいられると考えから作られたことわざです。

もう一つは「七十五日は金の手洗い」で(しちじゅうごにちはかねのてあらい)と読みます。このことわざは、嫁や婿などに行った時は、しばらくの間、金属でできた手洗いを使わせてもらうほど大事にされるという意味です。「きん」ではなく「かね」ですから、読み方の誤りには注意しましょう。

このように「七十五日」が使われた言葉が多くあることを考えると、昔の日本では「七十五日」と言う期間が、一般的な季節の一区切りであったことが良くわかりますね。

「人の噂も七十五日」を使いこなそう

この記事では「人の噂も七十五日」の意味・使い方・類語などを説明しました。

由来の項で説明した通り、「七十五日」は五季節のうちの一季節です。「七十五日」と言う季節の区切りは、今は一般的ではなくなってしまいましたが、言葉の中には名残がしっかりと残っているのですね。このことからも、文化と言葉の密接な関係が伺えます。言葉のルーツをたどってみれば、古い文化にたどり着くと言うわけです。現在、若者が使うネット言葉など現代語と言われる言葉も、未来に置いては、今の文化をうかがい知るヒントになりうるのかも知れませんね。

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【ことわざ】「人の噂も七十五日」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「人の噂も七十五日」について解説する。

端的に言えば人の噂も七十五日の意味は「世間で騒がれた噂も、しばらくたてば消えてしまう」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「人の噂も七十五日」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「人の噂も七十五日」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「人の噂も七十五日」の意味や語源・使い方まとめ

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人の噂も七十五日」(ひとのうわさもしちじゅうごにち)は、身近なことわざですね。しかし、なぜ「七十五日」なのでしょうか?由来を知ればますます理解が深まるでしょう。

それでは早速「人の噂も七十五日」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「人の噂も七十五日」の意味は?

まず初めに「人の噂も七十五日」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「人の噂も七十五日」には、次のような意味があります。

1.世間のうわさは長く続かず、しばらくすれば忘れられるものである。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「人の噂も七十五日」

2.世間のうわさもそう長くは続かない。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「人のうわさも七十五日」

どんなに騒がれたとしても、良い噂でも悪い噂でも、いずれは世間に飽きられて話題にのぼらなくなる、と言うことですね。

人は飽きやすく忘れやすいものですから、噂など放っておけばよい、と言う意味合いの教訓でもあります。

また、七十五日を、仏教用語で使われる四十五日と間違えて「人の噂も四十九日」と誤用ている例がしばしばあるようです。気をつけましょう。

「人の噂も七十五日」の語源は?

次に「人の噂も七十五日」の語源を確認しておきましょう。なぜ「七十五日」なのでしょうか?

「七十五日」の由来は諸説ありますが、有力なものは季節に関係のある日数である、と言う考えです。現代では、日本の季節は春夏秋冬の四季と考えるのが一般的ですね。実は昔の日本では、この四季に初夏の梅雨時期を合わせて五季節と言う考えがありました。一年365日を5で割ると、大体七十五日になりますから、五季節のうちの一季節が七十五日と言うわけです。

つまり「人の噂も七十五日」とは、人の噂も季節を一つ過ぎれば忘れられてしまう、と言うことなのですね。

\次のページで「「人の噂も七十五日」の使い方・例文」を解説!/

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